ジム・ホワイトハースト ゼネラルセッション

初日のセッションでは、製品の発表やパートナーシップといった「What(何が)」を主軸にお伝えしました。私のセッションでは、「How(どのようにして)」デジタルトランスフォーメーションの世界を生き残り、繁栄していくのか、についてお伝えしましょう。

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現在のビジネスにおいて、問題を特定することは難しくありません。また、変化に迅速に対応し、効果的に事業を変革する必要があることは皆が理解しています。しかし問題の解決には、既製のソリューションは存在しません。解決方法はそれぞれの組織や目的、出発点などによって異なるので、組織がテクノロジーを取り込んで構築する能力が必要とされます。

一昨年のSummitのテーマは「The Power of Participation」でした。そのとき私は、人々が集まって問題を解決する方が、一個人や一組織で解決するよりも早く効率的であると話しました。続く昨年のテーマは「Impact of the Individual」でした。そこでは、個人が積極性をもって参加するコミュニティの力について、また明確なロードマップが用意されていない参加型のコミュニティでは、問題解決に積極性が重要でなることをお伝えしました。

先が読めず、ボトムアップで自然発生的に問題を解決していく必要がある環境では、昨年お伝えしたとおり「Planning is Dead(計画は役に立たない)」のです。時間をかけて「PLAN(計画)」して「PRESCIRBE(処方)」を考え、それから「EXECUTE(実行)」するというやりかたは、従来の世界では意味があります。しかし、不確実で変わりやすく、思わぬ方角から競合が現れる「Uberize(Uber化)した」現在では、未来を予測してプランを立てることは非常に難しいのです。

「PLAN」「PRESCIRBE」「EXECUTE」は、それぞれ「CONFIGURE(適合させる)」「ENABLE(できるようにする)」「ENGAGE(従事する)」に置き換えることができます。PLAN(計画)ではなく、継続的な変化に向けてCONFIGUREしていく。決められた指示で物事に取り組むPRESCRIBE(処方)モデルは、人々が自身の判断によって動くことをENABLEするモデルに置き換えられます。また、上からの命令によるEXECUTE(実行)は、起きたことに組織横断で対応するENGAGEに置き換えられます。

継続的な変化へのCONFIGUREとは、去年私が言った「Try, Learn, Modify(試し、学び、修正する)」の考え、すなわちアプリケーション開発におけるアジャイルやDevOpsを、ビジネスプロセス全般に広げるものです。最終目的地が明確でなくても、試していく過程から学び、前に進み、変化に適合させることができるのです。

ここ数年の間に、テクノロジーによって人の作業を自動化したり補助したりすることが可能になりました。人々が必要なときに情報やテクノロジー、ツールを手にすることができ、即座に課題に取り組めるようになるのがENABLEです。これには、組織の視点では人々が戦略や仕事の価値を理解すること、テクノロジーの視点では適切なタイミングで適切な人に適切なシステムを提供することが求められます。難しいことですが、オープンソースの柔軟性が助けになるでしょう。

最後のENGAGEで私が言いたいのは、人々がリアルタイムに正しい意思決定をできるようにし、変化に応えるペースを上げ、異なる速度で物事を進めることで、課題を機会に変えていくことの重要性です。 これらを実現するのが、現在のITです。かつてはビジネスの添え物だったITが、今ではビジネスの変化をドライブするエンジンにまでなったのです。

本日ご紹介するお客様たちは、実際にこの「CONFIGURE」「ENABLE」「ENGAGE」を体現された方たちです。では、お話を伺いましょう。

Interview 01

UPS
UPS
情報テクノロジー担当副社長
Nick Costides 氏

Red Hat Innovation Awards 2018受賞

UPSは、全世界に5,000名のITプロフェッショナルを擁しており、事業運営と顧客対応にUPS Smart Logistic Networkというシステムを利用しています。1日に2,000万個の荷物を配達する同社はMy Choiceというモバイルアプリを提供しており、配達先の変更などきめ細やかなサポートを顧客に提供しています。

それらを実現しているのは、CIPEと呼ばれるEDGEプラットフォームが提供する機能の一つです。リアルタイムで配送員と荷物の状況を把握しており、バックエンドでは何十億ものイベントを処理し、必要な情報をモバイルデバイスに伝えます。CIPEはオペレーションを最適化するだけでなく、顧客エクスペリエンスの向上にも繋がっています。 EDGEはプライベートクラウド上に構築されており、Red Hatのテクノロジーは私たちのクラウド戦略とDevOps戦略において極めて需要な役割を担っています。

UPSのクラウド戦略とDevOps戦略の中核を担うのがOpenShiftです。またRed Hatとのパートナーシップでもたらされたツールや環境は、私たちの開発とデプロイの方法を根本的に変革しました。従来12~18ヶ月を要していた開発が、今では1ヶ月から数週間にまで短縮されました。

年末の繁忙期には5週間の短期間で、約7億6,200万の荷物を扱いますが(昨年実績)、OpenShiftであればピーク時でもワークロードをシームレスにパブリッククラウドに移してキャパシティを増やせます。このように、顧客のニーズに柔軟に応じられるようになった点もRed Hatとの協業の大きなメリットです。

Interview 02

Lufthansa  Technik
ルフトハンザ テクニック
Head of Technology and Infrastructure
Tobias Mohr 氏

Red Hat Innovation Awards 2018受賞

ルフトハンザ テクニックが開発したAVIATARは、航空機の状態や信頼性などを管理し、世界中の航空機のオペレーションを改善するためのプラットフォームです。

ルフトハンザの役員会の要請により、わずか100日間で構築する必要があったため、即座にアイデアを模索しながら開発に着手しました。初日にエキスパートを1つの部屋に集め、2日目にはUIのスケッチが仕上がり、5日目には最初のコードを書き始めました。すでにオープンソースやRed Hatのソリューションとのつながりがあったことが、時間を無駄にしないという点で極めて有効に作用しました。

30日目にはインフラを立ち上げ、ルフトハンザグループ内のユーザーからフィードバックをもらいました。初期からフィードバックによって方向を修正する方法は、私たちにとっては自然なことでした。

2017年4月のローンチ後は、業界内で競合する航空会社からも注目されました。すでにデジタル化を進めていた他社からも好意で献身的なフィードバックがあり、新たな機能の開発にもつながりました。現在は、予測的メンテナンスに関する機能の開発に取り組んでいるところです。

イメージ 左からルフトハンザ テクニック Tobias Mohr氏、UPS Nick Costides氏、Red Hat ジム・ホワイトハースト