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ITオートメーションの今後:注目すべき6つのトレンド

ケビン・ケーシー

エキスパート達が、そう遠くない将来のオートメーションの姿を語ります。継続して目を光らせておくべきトレンドばかりです。

最近私たちは、何がITオートメーションを加速させているのか、ITオートメーションの浸透と注目すべき4つのトレンド、特定のプロセスのオートメーションに着手しはじめたばかりの組織向けのヒントを掲載してきました。

そしてまた、長期にわたって成功をおさめるための鍵や、企業におけるオートメーションのユースケースの作り方のアドバイスをエキスパートに訊きました。 そして今、残る一つの疑問は「ではその将来の姿はどうなるのか?」です。そこで私たちは、そう遠くない将来のオートメーション姿を様々なエキスパートにたずねてみました。ここではITリーダーが注意を払っておくべき6つのトレンドを取り上げます。

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1. 機械学習の成熟

機械学習については、自己学習システムとオーバラップしつつ様々な話題が飛び交っていますが、ほとんどの組織において実際の導入という点では、まだまだその初期段階にあります。それでも、ITオートメーションの次の波では機械学習がきわめて大きな役割を担うと期待されています。

Advanced Systems Concepts, Inc.でDirector of Engineeringを務めるMehul Aminは、ITオートメーションにおいて機械学習が次の大きな成長の鍵になると指摘しています。

「蓄積されたデータがあれば、開発者が責任を負っている意思決定をオートメーション・ソフトウェアが行えるようになります。たとえば、開発者は実行すべきものを開発します。しかし、そのプロセスを実行するベストなシステムの特定は、システム内のアナリティクスを用いてソフトウェアが行うのです。」とAminは言います。

この考え方は様々なシステムにも当てはまります。自動化されたシステムは、もう利用されていないようなリソースを撤去したり、また、意図しているタイムラインやSLAに応えるために追加のリソースを必要に応じてプロビジョニングできるとAminは言います。

このように考えているのはAminだけではありません。

Sungard Availability ServicesのCTO ArchitectであるKiran Chitturiは「ITオートメーションは自己学習へと進んでいます。システムは自分自身の検証と監視をできるようになり、ビジネス・プロセスやソフトウェア・デリバリーを充実させるのです」と説明します。

Chitturiはテストの自動化を例に上げています。

テスト・スクリプトはすでに広く浸透しています。そしてこれら自動化されたテストプロセスは新しいコードやコードの変更が、プロダクション・ラインに対してどのように影響を及ぼすのか大まかに認識するなど、開発の分野にも浸透していくことが予想されます。

2. AIがオートメーションの機会を拡げる

前述と関連した(しかしそれとは別に)AIのフィールドでも同じようなことが事が言えます。AIをどのように定義するのかにもよりますが、機械学習の方が近い将来より大きなITインパクトを与えるのだろうと考えられます(そして私たちの中では、これら二つの領域に対する定義と理解がかなりオーバラップしているわけです)。新たなAIテクノロジーが生まれることによって、新たなオートメーションも生まれると考えられます。

SolarWindsのHead GeekであるPatrick Hubbardは「今後ビジネスを成功させていくためには、AIと機械学習の融合がひじょうに重要であると広く認識されています」と言います。

3. でも人が不要になる事はありません

先の二つのトレンドは、私たちの仕事がなくなってしまうことを示している訳ではありません。ここまで目を通して過呼吸になっている方は少し落ち着いてください。

この状況によって様々な職務に変化が訪れることが事実ですが、新たな職務も作り出します。

近い将来は、まだロボットの大群に向かって戦いを挑むための準備をする必要は少なくとも無さそうです。

「機械は与えられた環境変数について考えるだけなのです。選択して新たな変数を取りこめる訳ではありません。それをできるのは、今はまだ人間だけなのです。しかしこの状況は、ITプロフェッショナルがプログラミングやコーディング、そしてAIや機械学習の機能を上手く利用するのに欠かせない基本的なアルゴリズムの理解、そしてより洗練されたサイバー攻撃に対応するためのセキュリティの知識の習得など、AIやオートメーションに対するスキルを養わなければならないことを意味しています。」とHubbardは説明します。

Hubbardは、石油パイプラインにおけるメンテナンスの必要性を遠隔地から発見するAI対応のセキュリティ・ソフトウェアや機械学習アプリケーションなど、新しいツールや機能を例に上げて説明してくれます。これらは効率と効果を向上してくれるのです。情報セキュリティにおいても、パイプラインの保守関しても、必要な人材を自動的に置き換えるものではないのです。

「新しい機能の多くは、人の目によるチェックが欠かせません。言い換えれば、機械が何か『予測』を『指示』だと認識するためには、そこには人の手による管理が必要なのです」とHubbardは言います。

機械学習やAIをから少し離れ、一般的な、特にソフトウェア開発ライフサイクルにおけるITオートメーションについて考えてみてもこの原則は成り立ちます。

Juniper NetworksでArchitect for Automationを率いるMatthew Oswaltは、ITオートメーションが成長している基本的な理由は、基盤環境を運用するのに必要なマニュアル作業の量を削減して、即座に効果を上げることができるからだと言います。

Oswaltは次のように説明します「また運用ワークフローを、あっと言う間に古くなってしまうドキュメントや部署内でのナレッジとしてではなく、コードとして目に見える形で共有してくれるからです。発生した出来事に対して、オートメーション・ツールがどのように対応するのかについてを決めるために、まだまだ運用スタッフが必要なのです。オートメーションの採用に関する次のフェーズは、IT全体を通して興味深い出来事の認識とそれに対する対応を自動的に行うシステムを導入することになるでしょう。真夜中の午前三時に自ら基盤環境の課題に取り組むのではなく、運用エンジニアはイベント・ドリブンのオートメーションを使い、事前に必要なワークフローをコードとして定義しておけるのです。こうしておけば、エンジニアは自らが行うのと同じやり方で、いつでもシステムに対応させることが出来ますから。」

4. オートメーションに対する不安は低減する

SolarWindsのHubbardは、単にITの中だけでなくプロフェッショナルの間で、オートメーションという言葉は不明瞭かつ懸念的に拡散していると言い、またそれは理にかなった話しだと指摘します。しかし中には過度に恐怖心を抱いている者もいて、またテック業界ではそれが持て囃されてる節もあります。しかし、この状況もやがて落ち着きます。オートメーションを実際に導入し利用する事で、人々は3.に書いたことを感じ、この4.が自然発生するのを目の当たりにするはずです。

「今年は、オートメーションに対する不安が減っていき、そしてより多くの企業が既存の人的リソースを強化するためにAIや機械学習をを取り入れていくのを目にするはずです。これまでもオートメーションは、小規模なタスクを達成するために必要なコストと時間を削減してより多くのジョブをこなせるようにし、そして自動化できないことや、人でなければ出来ないことにスタッフが改めて集中できるようにしてきました。AIや機械学習についても同様のことが言えるはずです」とHubbardは言います。

また、ITリーダーの血圧を押し上げるセキュリティのようなトピックに関しては、オートメーションが不安を和らげてくれるはずです。Red HatのChief ArchitectであるMatt Smithは、オートメーションはメンテナンス・タスクに関連したセキュリティ・リスクを削減するのに、ITグループを大いに手助けしてくれるでしょうと最近コメントしています。

「まず、メンテナンス期間中のITアセット間のやりとりをドキュメント化し、自動化します。オートメーションの利用によって、マニュアル作業や事細かな正確さが必要なスキルなどのタスクを排除できるだけでなく、人的エラーを削減することができます。そして仕事のための変化や新たなメソッドをIT部門が受け入れることで、どんなことが可能かを提示できるのです。これは最終的に速やかなセキュリティパッチの適用へとつながっていきます。最終的には、新しく大きなセキュリティの問題が表面化した場合でも、ビジネスがその被害を被らないようにしてくれるのです」と彼は言います。

[ この記事を全て読む:エンタープライズが改めるべきセキュリティに関する12の悪習慣(12 bad enterprise security habits to break) ]

5. スクリプティングやオートメーション・ツールの継続的な進化

多くの企業が、スクリプティングやオートメーション・ツール(時には構成管理ツールと表現される場合もあります)をまず採用し、自動化の第一歩を踏み出すことが大事だと捉えています。

しかし、様々なオートメーション・テクノロジーの利用や成長に合わせて、それらツールの捉えられ方も変化していきます。

DataVisionのChief Operating OfficerであるMark Abolafiaは「データセンター環境には、人的エラーの原因になりやすい繰り返しのプロセスが色々あります。なのでAnsibleのようなテクノロジーが、それらの課題の抑制につながるのです。Ansibleなら、特定のPlaybookにアクションを一組に記述し、変数でアドレスなどの異なる値を用意してしまえば、以前なら人の手の介在と長いリードタイムが必要だった一連の長いプロセスを自動化できます」と言います。

[ Ansibleについて、もっと踏み込んだ内容を知りたいですか?関連記事をご覧ください:Ansibleの導入を成功に導くためのヒント(Tips for success when getting started with Ansible)]

また、ツールそのものも継続的に進化していくという事実を忘れてはいけません。

ASCIのAminは「洗練されたITオートメーション・ツールを利用すれば、コードに起因したエラーを削減しつつ、開発者はより少ない時間でワークフローを組み立てて自動化できます。これらのツールには、ドラッグ&ドロップ統合環境やAPIジョブ、様々な変数、ファレンス機能、オブジェクト・リビジョン履歴などが、予め組み込まれて検証も終っています」と言います。

6. オートメーションが新たな機会を生み出していく

ここでも既にお話ししたとおり、オートメーションは万能薬ではありません。破綻しているプロセスを修正できるわけでもありませんし、企業が直面しているあらゆる課題を緩和できるわけでもありません。

それは継続的なアクションであり、オートメーションを採用したことでパフォーマンスの測定が不要になる訳でもないのです。

[ DevOpsの基準に関する記事を参照してください:必要な値を測定できていますか?(Are you measuring what matters?)]

実際、オートメーションはここで新たな機会を生み出してしかるべきものなのです。

「ソース・コントロール、DevOpsパイプライン、ワーク・アイテム・トラッキング、そしてAPIドリブンなプラットフォームへの移行のように、開発者のアクティビティが活性化するにつれ、そこから生まれるrawデータを繋ぎ合わせて企業の効率性を描き出したいという機会や衝動が増えるものなのです」

Janeiro DigitalのVP of ArchitectureであるJosh Collinsはこのように説明しています。

Collinsはこれを「組織の測定基準一覧の生成」のようなものだと考えています。しかし、ITの行っている全ての事を、機械やアルゴリズムがある日突然計測できるようになるとは思わないでください。

「個人リソースの計測であれチーム全体の計測であれ、この測定基準はとても有効なものとなります。しかしコンテクストを重要視し、バランスを考えることが大切です。ハイレベルなトレンドの把握や性質的な観測にこれらのデータを利用し、チームに対する評価に用いないことが重要です。」

Kevin Casey

ケビン・ケーシーは、様々な出版物でテクノロジーとビジネスについて書います。InformationWeek.comの記事"Are You Too Old For IT?"ではAmerican Society of Business Publication EditorsのAzbee Awardを受賞しました。Small Business Influencer Awardsにも地域から選出されたことがあります。
» 詳細(https://enterprisersproject.com/user/kevin-casey)