第15回 Red Hat Innovation Awards受賞企業の発表

今年で15回目を迎えるRed Hat Innovation Awardsは、創造的な思考で問題を解決し、Red Hat テクノロジーによる変革的な活用を実施した世界中のRed Hatのお客様のテクノロジーにおける功績を称えます。今年の受賞企業は、アルゼンチン保健・社会開発省（Argentine Ministry of Health and Social Development）、Education Payroll Limited、アイルランド農業・食料・海洋省（Ireland Department of Agriculture, Food and the Marine）、Medifé Asociación Civilおよびフォルクスワーゲン（Volkswagen AG）です。

今年の受賞企業は以下の通りです。

アルゼンチン保健・社会開発省

アルゼンチンの保健・社会開発省（MSAL）は、医療サービスに関する行政上の問題に対応し、社会全体の医療へのアクセスと質の向上に取り組むアルゼンチンの公的機関です。世界の他の地域と同様に、2020年初頭から、アルゼンチンは最適な情報の収集・分析・発信方法を含め、新型コロナウイルス（COVID-19）感染症の対応に注力してきました。

保健省は、オープンでスケーラブルな医療情報システムである全国的なデジタル医療ネットワーク・プロジェクトの構築を踏まえて、Red HatコンサルティングおよびRed Hatトレーニングと協働して、国内の新型コロナウイルス感染症拡大の進行に関するすべての公的情報を含んだコントロールパネルとして機能するダッシュボードの開発に取り組みました。このダッシュボードは、Red Hat OpenShiftを基盤に、Red Hat Enterprise Linux （RHEL）、Red Hat Virtualization、Red Hat Fuse、Red Hat 3scale API Management、Red Hat Data GridおよびRed Hat Ansible Automationを採用しています。これは、24州の600万人を超える患者の情報を統合し、リアルタイムで国内の新型コロナウイルス感染者数をモニタリングし、50を超える指標を示しています。リアルタイムのデータを提供することにより、本プラットフォームはデータ管理を改善し、政府機関相互の調整を強化し、複数のデータソース統合に成功し、ペイシェント・エクスペリエンスの向上、公衆衛生政策に関する意思決定プロセスの合理化につながりました。

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Education Payroll Limited

Education Payroll Limitedはニュージーランドの教育分野の中核であり、教育システム内の職員への給与支払いを管理しています。同社は、オンライン給与管理アプリケーションEdPayを通じて、2,500校の約10万人の教員と支援スタッフへの給与支払いを担っています。

利用者のニーズをより一層満たすため、Education Payrollは、主力サービスEdPayのためのプラットフォームを構築して、同社のチームが開発を合理化し、テストを迅速化し、市場投入時間を短縮できるようにすることを希望していました。最終的なビジョンは、製品寿命と複雑なシステムをアップグレードし、紙ベースのプロセスを排除し、顧客を中核に据えるデジタル環境を推進することにより、今後のすべてのソリューション開発の基盤となるプラットフォームを構築することでした。このプラットフォームを構築するため、Education PayrollはRed Hatグローバルシステムインテグレータ（GSI）パートナーであるデロイトニュージーランドおよびRed Hatに、この新しいビジョンの実現に向けた支援を依頼しました。ソリューションには、Red Hat OpenShiftおよびRed Hat Ansible Automation Platformを実行するRHELが採用されました。テクノロジー実装に加えて、同社のチームは、誰もが迅速かつ効率的に作業するのを支援するためにDevOps原則とアジャイル手法を採用しました。結果的に、Education Payrollは、EdPayを強化し、合理化して、直感的で使いやすいアプリケーションに変え、技術的リスクと事務処理リスクを低減し、支援している学校のために給与管理機能を向上させることができました。

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アイルランド政府 農業・食料・海洋省

アイルランド政府の農業・食料・海洋省（DAFM）は農業・食品分野の指導、開発、規制を行い、公衆衛生を保護し、アイルランド政府および国民ための社会的、経済的および環境的利益を最適化することを責務としています。また、EUの規制に従い、総額12億ユーロ、12万戸を超える農家向けの補助金の申請と支払いを担っています。

DAFMがプログラムの一環として取り扱っていた大量の機密データや情報について、申請者が誤って情報を表示したり、スタッフが誤った許可を得てデータを確認する事象が発生しており、潜在的なプライバシー侵害や一般データ保護規則（GDPR）違反の可能性がありました。これに対応するべく、DAFMは、データ侵害リスクの軽減を支援するための新しいテクノロジーを用いた一連のツールを開発するため、Red Hatコンサルティングおよび基本支払制度のシステムの支援と維持を担っていたRed HatパートナーであるVersion 1と協働することを決定しました。その1つがSmart Textであり、DAFMはVersion 1と協力して、Red Hat OpenShift、Red Hat 3scale API Managementなどのオープンソーステクノロジーを活用したツールを構築しました。Smart Textはテキスト・アナリティクス—自然言語処理を用いて非構造化テキストを構造化データに変換して分析する人工知能（AI）技術—を採用し、農家がアップロードした情報を評価し、人的ミスに注意を与え、データが気密性の高いものである可能性を特定し、適切に管理できるようにします。Smart Text実装以来、DAFMでは管理費が低減され、従来、データ漏洩違反の可能性に対応していた業務時間の大幅な削減に成功しました。

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Medifé Asociación Civil

Mediféはアルゼンチンで有数の非営利組織であり、合理化された行政管理と顧客サービスのための様々な医療保障プランを通じて健康保険を提供しています。同組織の包括的なポートフォリオは、アルゼンチン全土の60支店を通じて幅広いプランとサービスを網羅し、30万人を超える加入者にサービスを提供しています。

承諾書、処方箋、請求書、カルテなどのデジタル化を含む、デジタルサービスへの高まるニーズに対応するため、同組織は、インフラストラクチャをアップグレードし、最新のアプリケーション・アーキテクチャにシフトする必要がありました。MediféはRed Hatと連携して、レガシーアプリケーション・マップをより強靭なプラットフォームに変換することを計画し、組織の紙への依存と対面取引を減らし、新たに導入されたダッシュボードを支援し、コロナ禍における業務の強化を支援できるようにしました。Red Hat OpenShift上に構築した、Red Hat IntegrationおよびRed Hat Process Automationによる新しいアーキテクチャにより、コロナ禍でプラットフォームを100倍に拡張し、Mediféの加入者はロックダウン期間中に遠隔医療支援を受けることができました。さらに、同組織のチームは、以前は6年かかっていた取り組みを今では6カ月で完了できるようになり、市場投入時間の92%短縮、スケーラビリティに関する課題の軽減、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現させました。

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フォルクスワーゲンAG

フォルクスワーゲンAGは世界をリードする自動車メーカーの1社であり、欧州最大の自動車メーカーです。31カ国で123カ所の生産工場を運営し、153カ国で自動車を販売し、2019年単独で約1,000万台が顧客に納車されました。この競争の激しい業界では、自動車メーカーは競争力を維持するのを支援する大規模なデジタルトランスフォーメーションを展開しており、自動運転車はイノベーションの未来を象徴しています。

自動運転車はソフトウェアが複雑化し、テストなどの従来の開発ワークフローでは対応できない製造上の新たな課題が発生しています。この新たに浮上してきた要求に対応するため、フォルクスワーゲンはRed Hatに対し、仮想テストベンチの構築支援を依頼しました。Red Hat Open Innovation Labsを通じて、同社のチームは、Red Hat OpenShift Container Platform、RHEL、Red Hat Virtualization、Red Hat Ansible Automation、Red Hat RuntimeおよびRed Hat Quayを使用した完全に自動化された仮想テストベンチを実現しました。このプラットフォームは、より一貫性のあるCI/CD（継続的インテグレーション／継続的デリバリー）ツールチェーンを確立し、リリースサイクルタイムを数カ月または数年から24時間に短縮し、より柔軟性がありカスタマイズ可能なTest-as-a-Serviceソリューションを生み出しました。このツールチェーンはさらに進化し、増加するデジタルコンポーネントと車両への接続を支援しています。

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