編集者注:数分前に、Red Hatの社長兼CEOであるジム・ホワイトハーストがこのメールをRed Hat社員に送信しました。

 

数分前に、私たちは過去最大のソフトウェア企業買収の形でRed HatがIBMとの提携の合意を締結したと発表しました。Red Hatは、今後もIBM内の独立した事業部門として存続します。

明日(2018年10月29日)、全社集会を開き、私、Paul、そしてIBM会長・社長兼CEOであるジニー・ロメッティ氏から皆さんにお話をします。皆さんの都合が付くことを願っています。場所などの詳細については、このあとにお知らせします。

その前に、なぜ私が胸を躍らせ、今日のニュースがRed Hatとオープンソースにとって大きなチャンスを表すものだと確信しているか説明したいと思います。

ノースカロライナ州立大学にあったRed Hatのかつての本社を私が初めて訪れたのは、日曜日でした。そこに行ったのは、当時Red HatのCEOだったMatthew Szulikに会うためです。建物内の明かりは消えていて、ドアには鍵がかかっていました。私は狐につままれた思いでした。やがてMatthewが現れて、喫茶店で気持ち良いほど型破りの面接が始まり、私たちはRed Hatとオープンソースについて長時間語り合いました。MatthewがRed Hatについて語ることのひとつひとつに、この会社とその将来性に対する私の興奮が高まりました。話が終わったときには、Red Hatが特別な存在であり、自分がその一員になりたいと感じていることが分かりました。結局、それは私がこれまでに飲んだ最高のコーヒーになりました。これは、私がこれまで就いてきた中で最高の仕事です。

皆さんの多くと同じように、私は自分の価値観と一致しているためRed Hatに入社しました。私には、仕事を遂行する上で使命感が必要であり、「パートナー、お客様、開発者からなるコミュニティのカタリストとなり、オープンソースのやり方でより良いテクノロジーを構築する」というRed Hatのミッションが今も私を突き動かしています。

私が2008年1月に入社したとき、Red Hatは社員約2,200人で、収益5億ドルを超えた初めてのオープンソースソフトウェア企業でした。当時のポートフォリオは、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat JBoss Middleware、および両者を管理するテクノロジー「だけ」でした。現在では、約12,600人のRed Hat社員がおり、ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャ、クラウドネイティブ・アプリケーション・プラットフォーム、および管理と自動化にわたるポートフォリオを有しています。

まだ私たちは、この先に広がるチャンスのほんの表面に触れているに過ぎません。オープンソースこそ、エンタープライズITの未来です。私たちは、Red Hatの最大市場規模(TAM)が2021年には730億ドルになると確信しています。もしソフトウェアが世界を飲み込むなら(そして、デジタル変革があらゆる業界で起きている今、ソフトウェアは本当に世界を飲み込んでいます)、オープンソースはその鍵となる要素です。

IBMの力を得て、私たちは現在行っていることを大幅に拡大し加速させることができます。Red Hatがより多くのリソースを手に、この先にあるチャンスへと成長する姿を想像してください。Red Hatがより多額かつ迅速な投資を行う能力を備え、新興分野のオープンソース・イノベーションを促進する姿を想像してください。Red Hatが全世界のあらゆる場所にビジネスを広げ、お客様やパートナーとの関係を現在よりもさらに深める姿を想像してください。ハイブリッドおよびマルチクラウドによって提供される選択肢と柔軟性の恩恵を、さらに多くのお客様が享受できるように協力する私たちの姿を想像してください。IBMと力を合わせることで、そのすべてが与えられ、単独で行った場合より何年も早く達成することができます。両社が一体となれば、「まさに」業界を代表するハイブリッドクラウド・ソリューションプロバイダーになることができます。

重要なのは、Red Hatが依然としてRed Hatだという点です。前述のように、この契約が完了した時点でRed HatはIBM内の独立した事業部門になり、私はジニー氏の直属となります。オープンソース・イノベーションに対する私たちの揺るぎない取り組みは今後も変わることはありません。IBMが約束している独立性によって、Red Hatは、お客様の選択を可能にし、企業におけるオープンソースの成功に不可欠となっている、幅広いエコシステムの構築を続けることができます。IBMがRed Hatを買収するのは、驚くほど優秀な社員と、より良いソフトウェアを作るための信じられないほど特別なカルチャーとアプローチを評価しているからです。彼らは、私たちがなぜどのように独自であるかを理解し評価しており、私たちがRed Hatのままでいるとともに、彼らのリソースを使って私たちの成功の要因となっているすべてのものを拡大し加速させることを認めると約束しています。

このニュースの結果として、誰もが一連の感情を体験すると思います。新しい課題や業務上の関係を含む、未知のものに対する興奮、不安、驚き、恐れ – これらはすべて、私の感情の説明になっています。分かっているのは、私たちが新しい組織の一部としてこれからも自分たちのカルチャーの育成に重点を置き続けるということです。私たちは、お客様の成功を重視し続けます。パートナーとの関係の育成を続けます。協業、透明性、参加、実力主義 – これらの価値が私たちをRed Hatたらしめているもので、それが変わることはありません。実際、私はこのカルチャーをIBM全体に広めるために貢献したいと考えています。私たちが力を合わせれば、それが可能です。

最後に、皆さんへの感謝の言葉なしにこのメールを終えるわけには行きません。オープンソースとRed Hatを立ち上げた先駆者たち、過去25年以上にわたってこの驚異的な会社の成功に貢献してきたRed Hat社員たち、信義に厚いお客様とパートナー、そしてかつては想像できなかったほどの勢いでテクノロジーを進化させているイノベーションを提供しているオープンソースコミュニティに感謝します。

オープンソース、オープンフォーマット、そしてオープンスタンダードは、単にテクノロジーを変えただけではなく、私たちの社会も良い方向に変化させました。そのすべてにおけるRed Hatの役割を軽く見ることはできません。IBMとともに、さらに大きな規模でこの作業を加速させ、オープンが真に世界の可能性を拓くことをすべての人々に示す機会が待っています。


ジム・ホワイトハースト

 

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Important Additional Information and Where to Find It:
https://www.redhat.com/ja/blog/monumental-day-open-source-and-red-hat