OpenShift Weblog
OpenShift 4.4 continues the evolution of the Kubernetes platform
2020年4月21日、寄稿者:Tushar Katarki
今週、Red Hat は、主要なエンタープライズ Kubernetes プラットフォームの最新アップデートである OpenShift 4.4 をリリースします。このリリースでは、引き続き Kubernetes Operators モデルを使用して効率性を向上し、コンテナ化アプリケーションのデプロイメントに利用される OpenShift プラットフォームおよびサービスを自動化します。OpenShift 4.4 には、IT 運用チームとアプリケーション開発者の双方から高く評価される機能が搭載されています。
信頼できる Kubernetes プラットフォーム
OpenShift 4.4 は、Kubernetes 1.17 の安定性をベースに構築されています。また、コンピューティング、ネットワーキング、およびストレージに関するコアプラットフォーム機能も向上しています。
Descheduler は、OpenShift 管理者向けの便利な新しいツールであり、OpenShift のユーザー全体に対するワークロード (Pod) の分散を再調整して効率性と使用率を向上します。OpenShift 4.4 では、HAProxy 2.0 を使用するようにイングレスコントローラーの実装もアップグレードされています。HAProxy 2.0 を使用すると、エンドツーエンドの HTTP/2 サポートやスケーラブルなマルチスレッド化など、Kubernetes がホストするアプリケーションのパフォーマンス・イングレスが高まり、アプリケーションのセキュリティと応答性が向上します。HAProxy 2.0 では、全体的にパフォーマンスが向上します。たとえば ACL の一意の ID 割り当ての生成にかかる時間は、大規模なインストールで分単位から秒単位 (計算量 O(N^2) から O(NlogN)) に短縮され、1 秒あたりの要求処理能力が最大 3 倍になっています。
新たなエッジユースケースの登場を見据え、OpenShift 4.4 にはストリーム制御伝送プロトコル (SCTP) のサポートが追加されます。SCTP は、フォールトトレラント接続 (マルチホーミング) 向けに複数の IP アドレスを有効にします。OpenShift 4.4 は、Persistent Volume (PV) のサイズ変更、スナップショット、復元、およびクローン機能を備え、ストレージも強化しています。これらは、ステートフル・アプリケーションを構築する開発者と、本番環境でのデプロイメントを管理する管理者にとって重要です。
ハイブリッドクラウド全体で一貫したエクスペリエンス
OpenShift で Kubernetes Operator モデルを使用することにより、Red Hat は OpenShift のインストール・エクスペリエンスを向上させました。オペレーティングシステム (Red Hat Enterprise Linux CoreOS) からエンドユーザーサービスまでの完全なインフラストラクチャをインストールすることで、ハイブリッドクラウドに OpenShift をインストールするために必要なオーバーヘッドが削減されます。OpenShift 4.4 では、そのセルフガイドのインストール・エクスペリエンスに、Red Hat Virtualization (RHV) でのフルスタックの自動化 (IPI) によるデプロイメントのサポートが追加されました。
さらに、このリリースでは、Red Hat OpenStack Platform と Microsoft Azure の既存インフラストラクチャを使ったインストール方法 (UPI) を利用できます。OpenShift のもう 1 つの機能強化は、DNS 転送のサポートの向上です。OpenShift 4.4 リリースでは、OpenShift DNS がクラスタ外の DNS サーバーを使用してエンドポイントの名前付きクエリを解決できるため、ハイブリッドクラウドの基盤となるコンテナプラットフォームとして OpenShift を組み込みやすくなります。
OpenShift 管理者は、リリース 4.4 では日常的に利用する機能の使いやすさが向上し続けることに気付くでしょう。これらの機能強化は、新しいメトリクスダッシュボードから始まります。Kubernetes Operators の使用が OpenShift 4 の中心であるため、モニタリングの可視性も Red Hat Operators に拡張されました。OpenShift はハイブリッドクラウド内の複数のアプリケーション向けのプラットフォームであり、Red Hat は OpenShift クラスタのためのコスト管理機能を提供し、ワークロードとクラウド・コンピューティングの使用量のビューを 1 つのツールに組み合わせました。OpenShift Cost Management は、各名前空間がリソースをどのように使用しているかを可視化し、各プロジェクトに関連するコストを示します。
開発者を重視
OpenShift の主な差別化要因の 1 つは、開発者がプラットフォームに接続する方法です。OpenShift の独自の開発者コンソールにより、開発者がコンテナプラットフォームでコードを表示および管理する方法が改められました。OpenShift 4.4 には新しいメトリクスとモニタリングビューが追加され、開発者とアプリケーション運用者にとってワークロードのパフォーマンス特性の可視性が向上します。
Red Hat は、OpenShift で開発者エクスペリエンスを引き続き向上し、開発者の日々の作業方法に合わせたワークフローの提供に重点を置いています。そしてさらに、開発者は毎日、サーバーレス・アプリケーション・アーキテクチャを実装しています。
OpenShift Serverless を使用すると、開発者はイベント駆動型のアプリケーションとサービスを構築して、それをさまざまなハイブリッドクラウド・インフラストラクチャで実行することができます。これらのサーバーレス・アプリケーションは、多数のイベントソースによってトリガーされ、必要に応じてゼロからスケールアップあるいはゼロに戻して負荷を処理できます。OpenShift Serverless は通常の Kubernetes Pod を起動するため、開発者は任意の言語またはランタイムを使用して、アプリケーションを標準のコンテナイメージに構築できます。Knative プロジェクトに基づく OpenShift Serverless の機能は非プロプライエタリーで、あらゆるハイブリッドクラウド・インフラストラクチャのターゲットで実行できます。OpenShift Serverless の一般提供 (GA) とサポートの開始をお知らせできることを非常に嬉しく思います。また、Eventing 機能は Technology Preview にプロモートされ、間もなく一般提供されます。
Helm の利用
Helm は、開発者が Kubernetes でアプリケーションをパッケージ化、インストール、更新するときによく使われるツールです。Helm 3 のリリースにより、Helm コミュニティは、まずは Tiller を削除することで、以前のバージョンの根本的なセキュリティ問題のいくつかに対処しました。OpenShift 4.4 は Helm 3 をサポートしており、Helm チャートを表示して OpenShift Console の開発者カタログで利用できるようにしています。
開発者の日々の作業をさらに改善するために、OpenShift Pipelines は Tech Preview に移行しました。オープンソースの Tekton プロジェクトに基づく OpenShift Pipelines は、OpenShift への CI/CD アドオンであり、Kubernetes ネイティブな方法で、Kubernetes プラットフォーム間で移植可能な CI/CD パイプラインを作成し、コンテナ内でオンデマンドで実行します。Jenkins に代わるものとして、OpenShift Pipelines は、コンテナと Kubernetes が開発者向けのアプリケーション提供を効率化および自動化するために構築された、クラウドネイティブの CI/CD エクスペリエンスを提供します。
また、Red Hat は、OpenShift Builds の Developer Preview を発表します。OpenShift Builds を使用すると、開発者は OpenShift およびその他の Kuberentes プラットフォームで多くの Kubernetes ツール (Source-2-Image、Buildah、Cloud Native Buildpacks など) を使用して、アプリケーションのソースコードおよびバイナリからリーンなイメージを構築できます。Red Hat のコンテナネイティブ開発のビジョンでは、OpenShift Pipelines を使用して、完成した OpenShift Builds を OpenShift Serverless、Kubernetes デプロイメント、Helm チャート、およびその他のツールに提供し、どのスタイルのアプリケーションを構築している場合でも、すべてのアプリケーションのホームとなるプラットフォームを形成します。
Red Hat のエンタープライズ Kubernetes プラットフォーム
OpenShift のユーザーベースが拡大し続けるにつれ、プラットフォームにデプロイされたアプリケーションの高度化に伴い、OpenShift も進化し続ける必要があります。OpenShift 4.4 により、Red Hat は、Kubernetes プラットフォームをさらに新たな高みへと押し上げます。OpenShift は、リリースごとに、コンテナ・デプロイメントの未来を切り拓き、IT 運用と開発者のニーズを同様にサポートします。OpenShift を Kubernetes のプラットフォームとして検討されていない方は、今こそ、OpenShift を試して詳細をご確認ください。openshift.com/try にアクセスすれば、OpenShift が Kubernetes のプラットフォームとして非常に多くのユーザーや顧客から信頼を得ている理由を、すぐに知ることができます。