「Red Hat アイデアソン 2021」を開催。
“5Gとエッジコンピューティング“の可能性を追求した
独創的なアイデアが続々と誕生!新たなビジネス展開への期待も。

「Red Hat アイデアソン 2021 Spring Online 5G/Edge編」が、5月22日(土)にレッドハット主催により開催されました。オンライン上のスペースでその日に出会った参加者たちが、それぞれの多様な視点や知識を持ち寄って共にアイデアを創出したこのアイデアソン。当日の模様をレポートします。

oVice Red Hat アイデアソン会場
完全オンライン上でチームごとにコミュニケーション

 第1回目となる今回のアイデアソンの主テーマは、5G/エッジコンピューティングを使って、ニューノーマル時代の「働き方」「ライフスタイル」「遊び方」をアップデートすること。さまざまなバックグラウンドや専門知識を持った参加者たちが、オンラインプラットフォーム「oVice」上で出会い、チームを結成し、それぞれのチームごとにコミュニケーションを重ねながら、Googleスプレッドシートを使ってそれぞれのアイデアを書き込み、拡げていきました。

親和性の高い5Gとエッジコンピューティング
5Gとエッジコンピューティング

 冒頭では、参加者のアイデア創出を促す3つのインプットセッションが行われました。最初のセッションに登壇したのは、レッドハット シニアソリューションスペシャリスト、長滝 信彦です。「5Gとエッジコンピューティング」をテーマにしたこのセッションでは、5Gとエッジコンピューティングの親和性の高さやその組み合わせの効果などについて、国内の通信業界やクラウド事業者などによる取り組み動向、そして北米での先進事例を交えて解説が行われました。
 長滝は、「近くで処理できるものは近くで処理することで、より良いユーザー体験を生み出すことができます。これによりDX(デジタル・トランスフォーメーション)も加速するのではないかと期待されているのです」と語りました。

5G+クラウドでドコモが目指す世界
Open Innovation Cloud

 2つ目のインプットセッションでは、NTTドコモ ソリューションサービス部 ネットワークカスタマイズ推進 エッジクラウド推進担当の部長 西田 卓爾氏が、同社が5Gサービスを開始したのと同じ2020年3月25日より展開している「Open Innovation Cloud」を紹介しました。低遅延かつ高セキュリティな通信環境を実現する「Open Innovation Cloud」は、既に300万件の契約数に達しています。
 京浜急行電鉄や高知県農業担い手育成センターをはじめ、実際の活用事例をいくつか紹介した西田氏は、「光ファイバーからワイヤレスへという流れを加速してイノベーションを創出していくのを目指します」と力説しました。

RHEL Runtimeにも対応したAI推論ソフトウェア
OpenVINO

 最後の3つ目のインプットセッションには、インテル 新規事業推進本部 サービスプロバイダー技術担当 小鮒 亮介 氏が登壇。「5GエッジとAI推論」をというテーマを掲げ、同社と強力なパートナーシップを結んでいるブイシンクをはじめ、リテール事業向けのパートナー企業のソリューションなどを紹介しました。それらで活用されているのが、インテルが提供するさまざまなハードウェアでディープラーニング推論をより高速に実行するためのソフトウェア開発環境/ライブラリー・スイートである「OpenVINO」です。

 小鮒氏は、今年3月にリリースされた「OpenVINO」について、「サーバーやIoTなどあらゆる環境で動くテクノロジーであり、RHEL Runtimeにも対応しています」と強調しました。

178ものアイデアを出し合いチーム結成へ!
アイデア発散&チームビルディング

 インプットセッションが終わると、いよいよアイデアソンも本番に。レッドハット ISVビジネス開発マネージャー 三島 匡史が、「5G×エッジコンピューティングはまさに令和のゴールドラッシュです。今日は新しいアイデアをどんどん出し合って、ともに楽しみましょう」とオープニングラップアップで語りかけ、最初のアイデア発散&チームビルディングが始まりました。

 ファシリテーターを務めたのは、一般社団法人MA 理事 伴野 智樹氏です。まず最初のステップは参加者によるアイデア発散で、ニューノーマル時代の「働き方」「生活」「遊び方」から発想されるキーワードがスプレッドシートに書き出されていきました。続いてそれぞれのアイデアを書いたのとは別の参加者が、キーワードをよりイノベーティブに書き換えると、さらにそこに先のインプット情報(5G/エッジ)をかけ合わせて思いついたジャストアイデアを書き込んでいきます。その結果、合計178個ものジャストアイデアが生み出されました。

 そうしたジャストアイデアの中から、各参加者はディスカッションしたいアイデアを選び、その概要とイノベーティブなポイントを記述。さらにそれらをベースに、お互いにコミュニケーションしながら一緒に組むチームメンバーを形成していきました。

8つのチームが独創的なアイデアを発表

 こうして8つのチームが形成され、チームごとにランチやアイデアブラッシュアップを挟んでアイデアソンを実践し、中間発表を行いました。中間発表では、各チームの代表がそれぞれ3分ほどでアイデア内容を説明しました。
 中間発表を終えると、チームごとに再びアイデアソンを実施し、さらにアイデアをブラッシュアップ。そして最終発表資料を作成して、各チーム持ち時間2分で成果発表を行いました。各成果発表後には、審査員からの質疑の時間も設けられました。

各チーム名とアイデアのタイトルと概要は以下の通りです。

チーム名 アイデアのタイトル/概要
あっさり醤油ラーメン 「バーチャルツアーガイド」
観光地を繋いでバーチャルツアーを行うサービス。各観光地と参加者を映像、音声でつなぎ、ガイドと参加者のリアルタイムに対話をしながらツアーを実現する。
孤独の八苦
(こどくのはっく)
「バーチャル専門家との対話サービス」
各領域の既存の専門家をバーチャルに構成し、質問への回答など対人コミュニケーションのように感じることができるサービス。
こぼれ豆 「バーチャルキス(2.0)でとろけよう!」
第1レベル=バーチャル握手、第2レベル=バーチャルハグ、第3レベル=バーチャルキスといった特別国際規格バーチャル署名。離れ離れの人々の触れ合いを5Gで送出する。
チーム極 「コネクテッドバイオリン」
これまで口頭でしか伝えられなかった、目指すべき指や腕の動きを、指導者の動きをトレースすることで体感できるバイオリン。
タケコプター 「Ocean life powered by 5G」
海上に5Gの基地局を設置することで、海上の情報を収集し、津波の予測や海上事故の救援に活用するサービス。
チーム猫 「パーソナルモビリティのシェア」
搭乗者のスマートグラスやビッグデータと連携して、周囲の状況を横断的に判断し、自立して移動できるモビリティをシェアするサービス。
New ライフスタイル 「遠距離で高齢者の生活支援」
遠隔からでもオンラインで会うことができるクラウドベースの介護ベット。家族がいない場合でも、ベットの利用状況、ヘルスケア情報から、病院・医療への手配をサジェストするプラットフォームも提供する。
Real Naturaleza
(リアル ナチュラレザ)
「スマートミラーを活用した生活の記録、提案」
携帯のカメラを通してユーザーが日々の生活を記録する。例えば、美容室に来店すると、その情報をもとに髪型だけでなく美容に関する様々な提案を受けることができる。
最優秀賞のアイデアにはビジネスマッチングも実施へ

 成果発表後、審査員による審査会が行われるとともに、各参加者もライブ投票システムを利用して自分のチーム以外に1人1票を投じました。
 その結果、審査員賞には、チーム極の「コネクテッドバイオリン」が選ばれました。審査員の西村氏は、「5Gとエッジコンピューティングという観点から5Gの低遅延性を上手く活用しており、実現可能性も高い点を評価しました」とコメントしました。

 そして最優秀賞に輝いたのが、Teamタケコプターの「Ocean life powered by 5G」です。その理由について長滝は、「海上での生活という”斜め上”の発想の意外性に驚きました。実現性についても、まずは富裕層向けから始めるなど多様な展開が考えられるのも評価のポイントとなりました」とコメントしました。
 最優秀賞のアイデアは、メディアでの記事掲載とともに、Red Hatとの共同マーケティングが行われることになります。

最優秀賞 Teamタケコプター「Ocean life powered by 5G」

 こうしてアイデアソンのメインコンテンツは終了しましたが、その後も同じ「空間」内に人々が残って懇親会が行われました。懇親会の冒頭では、日本マイクロソフトAzureビジネス本部マーケットデベロップメント部 プロダクトマネージャー/Azure SME 佐藤 壮一 氏からスペシャル講演が行われ、「Azure Intelligent Edge」を軸に、クラウドとエッジ双方から企業のDXを促進していく同社の方針が示されました。
同氏からは、「Microsoft Azureは65を超えるRegionでサービスを提供している。クラウドからエッジまで対応した幅広い機能を活用いただくことで、さらなるデジタル化、広いイノベーションをともに取り組んでいきたい」とメッセージが届けられました。

Red Hat Kubernetes Operator Project(KOP)

「アプリケーションのOperator化が真のDXをもたらす」と考えるRed Hatでは、コンテナ環境において自律的な運用が可能なアプリケーションを提供するパートナー(ISV)を支援するためのプロジェクト「Red Hat Kubernetes Operator Project(KOP)」を展開しています。盛況のうちに幕を閉じた今回のアイデアソンも、今後のKOP活動のさらなる拡がりにつながっていくことでしょう。