Red Hat APAC Innovation Awards 2020 日本の受賞団体は、三菱UFJ銀行、NTTドコモ、理化学研究所と富士通、三井住友フィナンシャルグループと日本総合研究所

Red Hatのオープンソース・ソリューションを利用して実現された変革プロジェクトと技術的成果を評価

東京 -

オープンソース・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするレッドハット株式会社(本社:東京都渋谷区、暫定社長:ダーク - ピーター・ヴァン・ルーウェン)は本日、Red Hat APAC Innovation Awards 2020 日本における受賞団体を発表しました。株式会社三菱UFJ銀行、株式会社NTTドコモ、理化学研究所および富士通株式会社、株式会社三井住友フィナンシャルグループおよび株式会社日本総合研究所は、Red Hatソリューションの格別な、また革新的な活用により、本日Red Hat Forum Asia Pacific 2020において表彰されました。

Icon-Red_Hat-Media_and_documents-Quotemark_Open-B-Red-RGB

2020年は不確実性の高い1年となりましたが、可能性の1年でもありました。変化する市況と消費者の要求に素早くかつ効果的に対応するために、アジア太平洋地域の組織がオープンソースを活用するのを目にするのは、刺激的です。

レッドハット株式会社 暫定社長 アジア太平洋地域担当 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ダーク - ピーター・ヴァン・ルーウェン

消費者の変化をもたらしている昨今のグローバルな出来事に対し、多くの組織は、これらに適応するためデジタル・トランスフォーメーションの取り組みを加速させています。Red Hatが協賛した2019年11月の調査において、アンケートに応じたAPACエグゼクティブのうち95%は、デジタル・トランスフォーメーションの重要度が増していると答え1、ニューノーマルでの生き残りと成長の両面の戦略としてデジタル・トランスフォーメーションを認識していました。このため、新たなビジネスモデル、商品またはサービスを生み出すべく、革新的な技術を利用する必要性が高まっています。

デジタル・トランスフォーメーションにはすべての場合に当てはまる青写真がないので、今年のRed Hat Forum Asia Pacific 2020は、短期目標を達成し、ネクストノーマルに向けて将来も事業を継続するために、オープンソース・テクノロジーの力を解き放つよう組織に促すことを目指しています。これを支えるため、Red Hat APAC Innovation Awards 2020は、ビジネス、業界または社会に変化をもたらす独創的な考え方、確固たる問題解決、Red Hatソリューションの独創的な利用を実証する組織の技術的成果を評価しています。

受賞団体は、Red Hatテクノロジーのデプロイメントがビジネス目標、業界、コミュニティに与える影響や、プロジェクトのビジョンの独自性に基づいて選出されました。オープンソースのプラットフォームと文化が、将来の課題やトレンドに対し一層自信をもって効果的に取り組む力を与え、生産性、俊敏性、コスト削減の改善にいかに役立ってきたかを示しました。今年の賞は、デジタル・トランスフォーメーション、ハイブリッド・クラウド・インフラストラクチャ、クラウドネイティブ開発、自動化、レジリエンス(回復力)という5つのカテゴリーで、27のアジア太平洋地域の組織に授与されました。今年の日本における受賞団体は下記の通りです。

 

受賞カテゴリー:Digital Transformation and Cloud-Native Development
(デジタル・トランスフォーメーションおよびクラウドネイティブ開発)
受賞団体:株式会社三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、三菱UFJフィナンシャルグループの中で、個人向け、法人向け、投資銀行部門として機能する日本の銀行です。同行は、顧客の期待を超え、信頼できる安定的な支援を提供し、グローバルにおけるプレゼンスを強化することにより、世界で最も信頼される金融グループになることを目指しています。

このビジョンを実現するために、三菱UFJ銀行は、新たな価値創造や競争力の源泉となり、特に俊敏性を重視するSoE系システムの基盤開発技術として、また、変化の速いデジタル・テクノロジーに対応可能な開発スタイルを獲得するために、Red Hatコンサルティングサービスの支援のもと、Red Hat OpenShiftRed Hat Runtimesを採用し、クラウド上にコンテナ基盤を展開しました。これにより三菱UFJ銀行は、外部パートナーとの協業案件も含めたサービス開発のスピードを向上し、お客様へ迅速に付加価値を提供できるようになりました。同行はまた、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)パイプラインを構築し、アプリケーションのテストに要する工数を削減しました。新たにスピードとアジリティ、効率性を手にすることで、三菱UFJ銀行は、競合企業に対し優位となるべく、自行のデジタル商品やサービスを容易に拡大することができるようになりました。

 

受賞カテゴリー:Automation(自動化)
受賞団体:株式会社NTTドコモ

NTTドコモは、「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」というビジョンを掲げて、自社のサービスを通じよりパーソナルなコミュニケーションの確立を目指す通信事業者です。

5Gの利用が拡大するに伴い、NTTドコモは、顧客のための品質または競争力ある価格設定に妥協することなく、次世代インフラと新技術を導入することにより、自社のサービスを増強しようとしています。同社はRed Hatコンサルティングと共に作業を進め、5G時代のサービスの多様性と増大するトラフィックの両面を支え、システムの柔軟性と拡張性を改善するため、同社の共通サービス基盤であるCiRCUS/MAPSシステムにおいて使用される10,000台を超える機器を統合、自動化すべくRed Hat Ansible Automation Platformを採用しました。NTTドコモは、サーバー、ネットワーク、ストレージ、クラウド、セキュリティ、アプリケーションの構成管理、プロビジョニング、デプロイなどのあらゆるITプロセスを自動化するために、Red Hat Ansible Automation Platformを利用し、2022年までにインフラ開発の時間、運用コストと工数を半減することを見込んでいます。また以前は、CiRCUS/MAPSの仮想基盤としてのRed Hat OpenStack Platformも実装しており、これらRed Hatソリューションが一体となって、NTTドコモがIT環境の質を高め、開発や運用プロセスに必要な人材の介在を最小限にすることに役立ち、同社が高品質なサービスを顧客に提供することを可能にしています。

 

受賞カテゴリー:Digital Transformation and Resilience
(デジタル・トランスフォーメーションおよびレジリエンス)
受賞団体:理化学研究所および富士通株式会社

理化学研究所は、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学などに及ぶ広い分野で研究を進めています。その計算科学および計算機科学の分野では、国際的な高性能計算分野の中核拠点として、スーパーコンピュータを中心とした高性能な「計算」という事象自身を「計算の科学」として探求し、それによって得られる莫大な計算パワーを様々な科学分野の問題解決に適用してそれらの発展に寄与する「計算による科学」を推進し、更には両者の高度化に貢献する他の科学分野の産物である「計算のための科学」と連携を果たしています。

ITサービス・製品のプロバイダーである富士通と共同で、理化学研究所は、差し迫った社会的・科学的課題に対応することを目指すスーパーコンピュータ「富岳」を開発しています。これらの課題は、生命科学、防災、環境問題、エネルギー、ものづくり、基礎科学の領域に及び、科学技術の発展、産業競争力の強化に資する課題に取り組みます。「富岳」及びそのために開発された技術は、ビッグデータや人工知能(AI)などを支える情報分野の基盤自身、及び基盤技術でもあります。

理化学研究所と富士通は、「富岳」のオペレーティングシステムとしてRed Hat Enterprise Linuxを採用しました。Red Hat Enterprise Linuxは、スーパーコンピュータ環境においても一貫して予測可能で信頼できるインタフェースを提供するため、使いやすく、他のソフトウェアとの互換性を有しながら、高い生産性と信頼性を確保することを手助けします。Arm CPUの種々の標準に完全準拠し、それによってRed Hat Enterprise Linuxが変更なく動作し、また、今後のアップデートに対しても合理化された更新機能を提供、ハイブリッドクラウド環境での活用も可能となります。

「富岳」は2021年度に共用開始をする予定ですが、理化学研究所は、COVID-19パンデミックに対処するために必要な研究開発の取り組みを支援すべく、「富岳」の計算資源の一部を供出しています。具体的には、「富岳」は現在、COVID-19ウィルスのたんぱく質の動的構造を予測し、ウィルスと闘う薬剤候補を特定することなどの医学的研究やCOVID-19の感染がどのように広まるのか、そのウィルスの社会経済的影響をよりよく理解するための社会的研究に使用されています。

 

受賞カテゴリー:Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)
受賞団体:株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)および株式会社日本総合研究所(日本総研)

SMBCグループは、株式会社三井住友銀行(SMBC)や日本総研を含む様々な企業で構成されており、銀行、リース、証券、クレジットカード、コンシューマー・ファイナンスなど幅広い金融サービスを提供しています。

同グループの事業戦略である「Transformation & Growth(既存ビジネスのモデル改革と新たなビジネス領域への挑戦)」の実現に向けSMFGと日本総研は、Red Hatコンサルティングのサポートのもと、AWS上でRed Hat OpenShiftの管理を容易にする、Red Hat OpenShift Dedicatedを採用しました。これにより開発者は、Red Hat OpenShiftの構成や管理に時間を費やさずに、ビジネスロジックの実行やアプリケーション・サイクルの管理などアプリケーション開発にさらに注力することが可能となりました。さらに、アジャイル開発を採用することで、サービスの市場投入までの時間短縮を促進し、競争力を高めています。2020年11月以降は、数ヶ月程度で新サービスを開始したり、日々新たな機能やアプリケーションを展開し、開発・運用コストを3分の1に削減することを見込んでいます。

デジタル・トランスフォーメーションのカテゴリーは、ITの課題に取り組み、デジタル企業として効果的に競争を進めるためにビジネス価値を提供することに成功した組織を評価しています。クラウドネイティブ開発のカテゴリーは、成功したビジネス・アプリケーションの創出、保守、デプロイにおいて全体的に優れた成果を導き出したアジャイルな手法や組織を紹介しています。自動化のカテゴリーは、革新的で画期的な技術や実践を迅速に実施するためにプロセス、ワークフロー、タスク、IT運用を最もうまく自動化したプロジェクトを取り上げています。レジリエンスのカテゴリーは、Red Hatのテクノロジーを利用して顧客がニューノーマルに対応するのを手助けするために、変化する状況の中でアジリティとレジリエンスをうまく示した企業を評価しています。

 

サポートコメント

レッドハット株式会社 暫定社長
アジア太平洋地域担当 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ダーク -
ピーター・ヴァン・ルーウェン

「2020年は不確実性の高い1年となりましたが、可能性の1年でもありました。変化する市況と消費者の要求に素早くかつ効果的に対応するために、アジア太平洋地域の組織がオープンソースを活用するのを目にするのは、刺激的です。今年の受賞団体にお祝いを申し上げます。受賞団体は、ビジネスを変革するためのアイディアを探している他の組織にとってのロールモデルになると確信しています。レッドハットのお客様が現在直面している多くの現実の課題に取り組み、ビジネスを前進させる限りない可能性を解き放つお手伝いをするために、お客様とご一緒に取り組むことを楽しみにしています。」

 

株式会社三菱UFJ銀行 デジタル企画部デジタルバンキング企画室 次長 小堺弓木奈氏
「昨今、スマートフォン利用世代の拡大や新しい生活様式の普及により、インターネットバンキング等の銀行における非対面チャネルの取引ニーズはこれまでになく高まっております。このような環境下において、当行は、外部パートナーとの提携等により、お客様にご利用いただくサービスの利便性向上に努め、安全性を確保しつつも非対面での接点を増やしていく必要があると考えております。今回Red Hatのオープンソース・ソリューションを活用することで、外部パートナーとの協業案件においてもシステム構築の機動性と、銀行の強みである安全性とを両立することができました。今後もお客様へ提供する価値の向上のために最適な技術を積極的に採用し、デジタルを駆使したビジネスモデルの転換を目指していきます。」

 

株式会社NTTドコモ ネットワーク本部サービスデザイン部 部長 伊藤孝史氏
「NTTドコモは、「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」に向けて、お客様に心から満足いただける、よりパーソナルなコミュニケーションの確立をめざしています。5Gを活用しお客様の生活をより豊かにするサービスの提案や、パートナー企業との連携強化により顧客基盤をさらに成長させていく過程において、それを支えるITインフラも急激に拡大しており、システムに対する拡張性や柔軟性の更なる向上が求められておりました。そのような背景において、インフラ開発を効率化し、品質を下げずに開発・運用コストを抑えるためにRed Hat Ansible Automation Platformを採用しました。大規模なサーバー・ストレージ・ネットワーク設備群の設計・構築及び維持の自動化を図るとともに、システムのデリバリースピードをさらに短縮するべく組織全体の各プロセスの見直しも推進しています。今後もお客様に高品質なサービスを速やかに提供できるような環境整備に向けてシステムの効率化を継続的に行っていきます。」

 

理化学研究所 計算科学研究センター センター長 松岡聡氏
「「富岳」はスパコンの二つの目的で世界最高水準を実現するために、構想から10年もの時間をかけ、ほぼ完成に近づいています。一つは、高い汎用性を持ちながら広いアプリケーションで最高性能を示す、情報技術としての頂点を実現することで、今回富士通と理研が共同で開発したA64FX CPUはArmの互換アーキテクチャで、Red Hat Enterprise Linuxが変更なしに動作しながら、従来の3倍の性能や電力効率を達成し、それをベースに「京」の100倍の性能を持つ世界初のエクサスケールマシンを構築できました。もう一つは、それを用いてSociety5.0を代表とする国民の関心事の高い社会問題の解決にチャレンジすることで、例えば既に新型コロナウィルスの問題を解決する様々なアプリケーションがRed Hat Enterprise Linux上で実行され、政府の感染防止ガイドラインの作成に直接関与しています。今後も、更なる産業のイノベーションや社会問題の解決に「富岳」が活躍していくために、我々は研究開発を持続的に行っていきます。」

 

富士通株式会社 執行役員常務 堀江健志氏
「この度、Red Hat Innovation Awards APAC 2020を理化学研究所様とともに受賞でき、大変嬉しく思います。当社は、Red Hatとの2003年からの強固なパートナーシップのもと、オープンソースソフトウェアを活用したお客様システムの高度化に取り組んでまいりました。Red Hat Enterprise Linux for ARMとの組み合わせでより使いやすくなった「富岳」が社会的課題の解決や最先端研究の推進に広く活用されていくことを期待しています。」

 

株式会社日本総合研究所 DXシステム本部 DX開発システム部長 蝶採トックディル
「SMFGと日本総研は、アプリケーション開発のプラットフォームとしてRed Hat OpenShift Dedicatedを利用することで、新たなデジタルサービスの迅速なリリースや新機能の継続的な追加が可能となります。両社はまた、今回のプロジェクトから学んだアジャイル開発の手法を、デジタルサービス開発の新たな標準として採用していきます。これにより最終的にはグループの将来の成長をITの側面から牽引し、顧客へより良いサービスを提供する付加価値の高いソリューションを提供できるようになります。」

 

1 Harvard Business Review Analytic ServicesのRed Hat向け報告資料「デジタル・トランスフォーメーションにおけるAPACの成功を理解する(Understanding APAC’s Success in Digital Transformation)」、2020年7月https://www.redhat.com/ja/resources/APAC-digital-transformation-HBR-analyst-report

 

関連リンク

 

その他のリンク

 

本件に関するお問い合わせ

  • レッドハット株式会社 広報担当 pr-jp@redhat.com TEL:03-5798-8550
  • About Red Hat
  • エンタープライズ向けオープンソースソフトウェア・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするRed Hatは、コミュニティとの協業により高い信頼性と性能を備えるLinux、ハイブリッドクラウド、コンテナ、Kubernetesなどのテクノロジーを提供しています。お客様の新規および既存のITアプリケーションの統合、クラウドネイティブ・アプリケーションの開発、業界をリードする当社のオペレーティング・システムによる標準化、および複雑な環境の自動化/セキュリティ確保/管理をお手伝いします。受賞歴を誇るサポート、トレーニング、およびコンサルティング・サービスにより、Red Hatはフォーチュン500企業に対する信頼すべきアドバイザリーとなっています。クラウドプロバイダー、システムインテグレーター、アプリケーションベンダー、お客様、およびオープンソース・コミュニティの戦略的パートナーとして、デジタルの未来に備えるための準備を支援します。



  • Forward-Looking Statements
  • このプレスリリースに含まれる表現は、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)が定める定義の範囲内で「将来の見通しに関する声明」に相当する場合があります。将来の見通しに関する声明は、特定の仮定に基づいて将来の出来事に対する現在の期待を表明したものであり、過去または現在の事実に直接関連しない声明を含んでいます。実際の結果は、そうした将来の見通しに関する声明で示されたものと実質的に異なる場合があります。本プレスリリースに掲載されている将来予測に関する記述は、その発行日時点の当社の見解を示したものであり、その見解は変更されることがあります。ただし、当社またはその親会社であるInternational Business Machines Corporation (NYSE:IBM)は将来のある時点で将来予測に関する記述を更新することもありますが、更新についていかなる義務も負うものではありません。これらの将来の見通しに関する声明は、本プレスリリースの発行日より後のいかなる時点における当社の見解も表すものではありません。

    Red Hat、Red Hat Enterprise、Red Hat logoAnsible、およびOpenShiftは、米国およびその他の国におけるRed Hat, Inc.およびその子会社の商標または登録商標です。Linux®は、米国およびその他の国におけるLinus Torvaldsの登録商標です。OpenStackのワードマークは、米国およびその他の国々におけるOpenStack Foundationの登録済みの商標/サービスマークまたは商標/サービスマークのいずれかであり、OpenStack Foundationの許諾の下に使用されています。Red Hatは、OpenStack FoundationOpenStackコミュニティに所属しておらず、公認や出資も受けていません。