パイオニア製カーナビゲーションのルート検索をクラウド上で稼働する 「スーパールート探索」の実行環境にRed Hat OpenShift Container Platformが採用

渋滞情報や料金情報などサービス運用の可用性と安定性を担保

東京 -

オープンソースソリューションのプロバイダーとして世界をリードするレッドハット株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:望月 弘一、以下:レッドハット)は、日本を代表するカーエレクトロニクスメーカーであるパイオニア株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役 兼 社長執行役員:小谷 進、以下:パイオニア)の最新カーナビ「サイバーナビ」に搭載された機能「スーパールート探索」のアプリケーション開発基盤として、コンテナアプリケーションの開発・運用を支援するRed Hat OpenShift Container PlatformとIBM Bluemix Infrastructure(旧 IBM SoftLayer、以下 Bluemix IaaS)を組み合わせたクラウド環境が採用されたことを発表しました。

この「スーパールート探索」は、2017年1月下旬より同社「サイバーナビ」の最新モデルを対象にサービス開始の予定です。なお、車載機からインターネット経由でクラウドサービスにアクセスしてルート探索を実施するのは、初の試みとなります。

双方向通信の進展により、カーナビにおける複雑なル―ト計算や渋滞の計算など計算処理の負荷がますます大きくなっています。今後、さらに処理が複雑化していくと想定されることから、パイオニアでは、通信時間をかけてもサーバーで処理する方が計算・回答が速くなると考え、2015年春より、「スーパールート検索」の構想がスタートし、サーバーを使ったサービスが成り立つかどうか検証してきました。

サーバーでのルート検索は、車載機で動いていたプログラムをベースに開発しました。もともと組込みシステムで動いていたため、C言語による膨大なコードからなりライブラリなどの動作環境に依存する部分が大きく、サービスとしてスケールアウトする場合や開発のために複数の動作環境を用意する場合、あるいは検証環境や本番環境を用意する場合に、動作環境を再現するのが難しくうまく動かないケースに遭遇する可能性が高いことが課題でした。

そこでパイオニアでは、この課題を克服するために、企業におけるデジタルトランスフォメーションを支援するコンテナ技術を選択しました。コンテナは、ある特定のアプリケーションをそのアプリケーションの動作に必要な様々な環境設定ファイルや複数の実行ライブラリを1つアプリケーションとしてパッケージ化し、かつ動作させる技術です。パッケージ化されたコンテナアプリケーションは、1つのLinuxインスタンスの中でお互いに干渉しない複数の独立した環境で動作させることができ、かつ、自動拡張可能なクラスタ化された環境のもとで実行させることができます。さらに、コンテナ化されたアプリケーションは、プライベートクラウドだけでなく、パブリッククラウドなど多くの異なる環境でもすべて同じように動作させることができるという特徴があります。

サーバー型のサービス企画が通り、「スーパールート検索」の開発は2016年初頭より開始されました。パイオニアはアプリケーションの開発に専念し、プラットフォームの構築と運用は日本情報通信株式会社(以下:NI+C)が担当しました。2016年8月より システム構築を開始し、わずか5ヶ月という短期間でサービスインが可能となる予定です。

コンテナの利用にあたっては、実行環境と管理機能をそれぞれ考慮する必要があります。これまでパイオニアのシステム環境構築、運用を支援し、豊富なクラウドビジネスの実績を持つNI+Cは、コンテナプラットフォームとして実行環境が任意に選択可能で、ユーザーにとってより自由度のあるソフトウェア型をSaaS型よりも適していると判断しました。そして、オートスケールや負荷分散などの機能に優れ、冗長性、可用性、およびコンテナベースのクラウドサービス安定稼働確認のためのログ管理機能に優れた、Red Hat OpenShift Container Platformを提案しました。

Red Hat OpenShift Container Platformは、DockerやKubernetes、コンテナOSのアップストリームプロジェクトである Project Atomicから構成され、ハイブリッドクラウドに対応したプラットフォームソリューションを提供します。このプラットフォームは、信頼性の高い世界有数のエンタープライズLinuxプラットフォームであるRed Hat Enterprise Linux を含んでいます。現行のIT投資を犠牲にすることなく、より安全で安定したプラットフォームを提供し、ミッションクリティカルな従来のアプリケーションと新たなクラウドネイティブおよびコンテナベースのアプリケーションとの共存を可能とします。


パイオニアが今回のソリューションをコストパフォーマンスに優れた、安定性の高いインフラであると評価し採用した理由は3つあります。

  • クラウドプラットフォームで用意されたサービス機能に縛られないこと: 検討時にはクラウド事業者のコンテナプラットフォームとも比較しましたが、クラウドサービスではそのサービスに縛られた管理機能しかない点が問題となりました。たとえば、サービスを動かす上でログの機能がどこまであるかという点や、アプリケーションを動かす場合のサービスの正常性をどう担保するかなどの点で、が優れていると判断しました。

 

  • Red Hat OpenShift Container Platformを動かす基盤IaaS環境としてのBluemix IaaSのベアメタルサーバーとの組み合わせ: 大きなリソースが必要なサービスのため、オンプレミスではなくクラウド環境を使うことを前提にしていましたが、パフォーマンスとコストの兼ね合いから、Bluemix IaaSのベアメタルサーバーとOpenShiftの組み合せを選択しました。ルート探索の性質上、CPUパワーは必要だがメモリはそれほど必要ではないというアンバランスな構成のため、他のIaaSでは適切なサービスメニューがありませんでした。それに対し、Bluemix IaaSのベアメタルサーバーでは、CPUとメモリの組み合わせを柔軟に選べ、28コアCPUのサーバー2台とOpenShiftのソケット課金を選ぶことで、他社製品と比べてサブスクリプション費用を約半分に抑えることができました。

 

  • レッドハットのオープンソースソフトウェアにおける実績とサポート力: 24時間365日の動作を求められるサービス実行の中核的な役割を担うシステムとして、運用面での安定性は非常に重要な項目でした。このため、製品の品質はもちろんのこと、レッドハットのこれまでのオープンソースソフトウェアにおけるエンタープライズ企業への導入の実績とサポート力を評価し、Red Hat OpenShift Container Platformの採用を決定しました。

 

レッドハットとNI+Cは、パイオニアへ今後とも継続的に技術面・運用面でサポートを行い、同社のより迅速で、効率的なアプリケーション開発を支援していきます。

 

サポートコメント
パイオニア株式会社 商品統括部 情報サービスプラットフォームセンター 開発部 部長 宮本 一宏氏

パイオニア株式会社 商品統括部 情報サービスプラットフォームセンター 開発部 開発1課 課長 谷川 裕史氏

「今回の『スーパールート検索』は、発売済みである最新モデルのソフトウェアをアップデートして対応するため、当初から数千から数万台のアクセスが集中することを懸念していました。また、今後発売する機種にも展開していく予定のため、機種が増えるとコンテナの種類も増えます。このようにユーザー数とコンテナの種類が増えていくことを想定した時、Red Hat OpenShift Container Platformであればコンテナの割り当てをスケーラブルに実施でき、かつ容易に各コンテナアプリケーションを管理することができます。また、これに加えて、パイオニアのシステム環境構築・運用を長年に渡り支援してきたNI+C様に運用いただくことで、安心してサービス展開を進めることができました。」

 

レッドハット株式会社 代表取締役社長 望月 弘一

「世界有数のカーエレクトロニクスメーカーであるパイオニア様に、Red Hat OpenShift Container Platformをコンテナアプリケーション開発基盤として採用いただいた意義は非常に大きいと感じております。NI+C様にOpenShiftの優位性を十分にご理解いただき、ご提案いただいたことにより、拡張性のあるコンテナ/クラウドベースのアプリケーションを迅速かつ効率的に開発できる環境が構築できたことは、無上の喜びです。」

 

日本情報通信株式会社 取締役 ソリューションビジネス本部長 春川 文男

「クラウドに対して常に先進的な取り組みをされているパイオニア様に、その主力であるカーエレクトロニクス事業の最新アプリケーション実行開発基盤として、Red Hat OpenShift Container PlatformとBluemix IaaS をご採用いただき大変嬉しく思います。NI+Cは、今後もレッドハット様とともに、パイオニア様の進化に寄与するソリューションをご提案していきたいと考えております。」

 

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本件に関するお問い合わせ

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