リモートオフィスから工場現場まで、組織はデータが生成および消費される場所にまで仮想化機能を拡張し、新たなイノベーションと効率化の機会を生み出しています。このエッジへの移行は、とくに仮想化ワークロードの実行において、独自の一連の課題をもたらします。エッジの仮想マシン (VM) で、コアデータセンターと同じレベルの回復力、パフォーマンス、単純化をどのようにして実現できるのでしょうか。その答えは、強力なテクノロジーの組み合わせです。つまり、Red Hat が提供するアービターを備えた新たな 2 ノードの OpenShift アーキテクチャと Arctera の InfoScale for Kubernetes です。
この記事では、このソリューションがエッジ仮想化特有の要求への対処に役立ち、最もリソースに制約のある環境でもエンタープライズグレードの VM を確実にデプロイできることについて説明します。
エッジ仮想化の課題
エッジでの VM への移行を促進する動きは、レガシーアプリケーションのモダナイズ、リモートサイトでのインフラストラクチャの統合、エンドユーザーの近くで低レイテンシーのサービスを提供するというニーズに基づいています。VM をエッジに移動させることで、組織は一元化されたデータセンターへの依存を減らし、WAN 帯域幅の消費量を最小限に抑え、優れたユーザーエクスペリエンスを提供できます。しかし多くの場合、エッジ環境には、インフラストラクチャの制限、信頼性の低いネットワーク接続、オンサイトの IT スタッフの不足などの状況が見られます。これらの制約により、通常は堅牢で回復力のあるインフラストラクチャを必要とする従来の仮想化プラットフォームのデプロイと管理が困難になる可能性があります。
OpenShift Virtualization (コンテナと VM ワークロードを単一のプラットフォーム上で実行できるようにする OpenShift の機能) を使用している組織は、とくにこれらの課題を経験しています。OpenShift はコンテナ化アプリケーションと共に VM を実行するための強力な基盤となりますが、その標準アーキテクチャには少なくとも 3 つのマスターノードが必要です。多くの場合、エッジロケーションでよく見られるような制限のあるハードウェアでは、リソースの消費が多すぎてしまう可能性があります。そのため、エッジインフラストラクチャを増強せずに OpenShift Virtualization の機能を提供できる、コンパクトでコスト効率の高いソリューションを求める動きが高まりました。
アービターを備えた Red Hat の新しい 2 ノード OpenShift アーキテクチャ
Red Hat はこのニーズを認識し、アービターを備えた 2 ノードの OpenShift アーキテクチャを導入しました。これは現在、OpenShift 4.20 で一般提供されています。この革新的なトポロジーは、エッジおよびリモートオフィスのデプロイメント向けに特別に設計されており、標準の 3 ノードクラスタに代わるコンパクトでコスト効率の高い選択肢となります。アービターを備えた 2 ノード OpenShift アーキテクチャは、VM ワークロードを実行する 2 つのコントロールプレーンノードと、追加の軽量アービターノードで構成されています。アービターノードの主な役割は、etcd クォーラムを維持し、ノード障害が発生した場合のスプリットブレインを防ぐことです。VM やコントロールプレーンコンポーネントは実行されませんが、アービターを持つ 2 ノードの OpenShift は、通常の 3 ノードのコンパクトなクラスタインスタンスと同じ堅牢な回復力と高可用性を提供します。
アービターを備えた 2 ノード OpenShift アーキテクチャは、エッジでの OpenShift Virtualization の重要な一歩であり、必要となっているフットプリントと回復力の間のバランスを提供します。しかし、最も重要な要素の 1 つは、エンタープライズグレードの共有ストレージです。共有ストレージレイヤーがなければ、OpenShift Virtualization で実行される VM は個々のノードのローカルストレージに結び付けられるため、可搬性と耐障害性が制限されます。
エンタープライズ仮想化の核となる機能であるライブマイグレーションは、共有ストレージなしでは実現できません。そこで役立つのが、Arctera の InfoScale for Kubernetes です。
InfoScale の耐障害性:アービターを備えた 2 ノード OpenShift 上の VM
業界をリードするエンタープライズクラスの永続ストレージおよびデータサービスプラットフォームである InfoScale は、Kubernetes 上で実行される仮想化環境のストレージの課題に対処するために構築されています。InfoScale は、アービターを備えた 2 ノード OpenShift アーキテクチャと組み合わせることで、エンタープライズグレードのエッジ仮想化のための包括的なソリューションを提供します。
InfoScale for Kubernetes は OpenShift Virtualization とシームレスに統合し、プラットフォームのネイティブ機能を強化する豊富なデータサービスセットを提供します。仮想化向けの主な機能は以下のとおりです。
- VM 用の共有ストレージ:InfoScale は、ローカルストレージまたは外部ストレージから共有ストレージプールを作成し、サービスを中断することなくノード間での VM のライブマイグレーションを可能にします。これは、ReadWriteOnce (RWO) と ReadWriteMany (RWX) の両方のアクセスモードをサポートしており、多くの場合エッジ環境に適さないことが多い NFS などの外部プロトコルに依存しません。
- 仮想環境の高可用性:InfoScale は、組み込まれたデータ整合性のメカニズムとクォーラムベースの決定のサポートにより、アービタークラスタを備えた 2 ノード OpenShift でも仮想マシンの高可用性を確保できます。障害が発生した場合、存続するノードで VM を自動的に復旧できます。
- VM の障害復旧:InfoScale は、クラスタ間で継続的なブロックレベルのレプリケーションを行い、エッジの仮想化デプロイメントについての堅牢な障害復旧を可能にします。データ損失を最小限に抑えて、VM をリモートサイトにフェイルオーバーできます。
- 統合管理:InfoScale は OpenShift Operator のライフサイクルと完全に統合されており、VM のストレージのデプロイと管理を単純化します。
- 仮想ワークロード向けに最適化されたストレージ:InfoScale では、異なるパフォーマンス特性を持つ複数のストレージクラスを作成でき、VM の種類ごとにストレージのコストとパフォーマンスを最適化できます。
アーキテクチャの相乗効果:アービターを備えた 2 ノード OpenShift と OpenShift Virtualization 向け InfoScale
アービターを備えた 2 ノードの OpenShift と InfoScale for Kubernetes を組み合わせたアーキテクチャにより、エッジ仮想化のための強力で回復力のあるプラットフォームが実現します。
アービターを備えた 2 ノード OpenShift アーキテクチャは、最小限のフットプリントを持つインフラストラクチャを提供します。これに対し、InfoScale は、ライブマイグレーション、高可用性、障害復旧などの重要な仮想化機能を可能にするエンタープライズグレードのストレージレイヤーを提供します。この相乗効果により、組織はコアデータセンターと同じレベルの信頼性を持って、ミッションクリティカルな VM をエッジにデプロイできます。
最上位レイヤーでは、OpenShift Virtualization が VM を格納する VM Pod を管理します。これらの VM は、仮想化環境と基盤となるストレージインフラストラクチャ間の橋渡しとして機能する InfoScale コンテナ・ストレージ・インターフェース (CSI) を介してストレージに接続します。InfoScale for Kubernetes 管理レイヤーでは、ライブマイグレーション、スナップショット、レプリケーションなど、高度なストレージ操作に必要なインテリジェンスとオーケストレーションを提供します。このレイヤーは、プロダクションの仮想マシン用の高性能ドライブから、開発およびテスト VM 用のコスト効率の高いハードディスクドライブストレージまで、複数のストレージバックエンドを管理します。
新たな可能性を解き放つ:エッジでの仮想化ユースケース
アービターを備えた 2 ノード OpenShift と InfoScale for Kubernetes を組み合わせることで、エッジ仮想化インフラストラクチャを最適化するための幅広い可能性が開かれます。ここでは、この統合ソリューションの実力を示す 3 つのユースケースをご紹介します。
ユースケース #1:リモートオフィス VM のライブマイグレーション
業務上重要な VM を実行している複数のリモートオフィスを持つ組織にとって、継続的な可用性の確保は最も重要です。InfoScale とアービターを備えた 2 ノード OpenShift ソリューションにより、ダウンタイムを発生させることなく 2 つのコントロールプレーンのノード間で VM のよりシームレスなライブマイグレーションが可能になります。この機能は、メンテナンスの実行、VM ワークロードのバランス調整、またはハードウェアの問題からの復旧に不可欠です。InfoScale の共有ストレージを使用すると、VM をオンデマンドで移行したり、リソース使用率に基づいて自動的に移行したりすることができ、リモートオフィスのユーザーに最適なパフォーマンスを確保できます。
ユースケース #2:VM のエンタープライズワークロードに対応する高性能ストレージの最適化
Oracle データベース、PostgreSQL、SAP HANA などのミッションクリティカルなワークロードなど、仮想マシン内で実行されるエンタープライズ・アプリケーションには、効率的に動作するために特定のストレージパフォーマンス特性が必要です。従来の仮想化プラットフォームは多くの場合、画一的なストレージアプローチを提供することが多いため、管理者はパフォーマンスとコストの間で妥協する必要があります。InfoScale for Kubernetes の場合は、異なるボリュームレイアウトと最適化ストラテジーで複数のストレージクラスを作成でき、それぞれを仮想マシン内で実行されるワークロードの特定の要件に合わせて調整できるようにするので、このパラダイムを刷新します。たとえば、VM で実行される Oracle データベース用に最適化されたストライプのユニットサイズでストライピングされた高性能なストレージクラスを作成できるので、トランザクション処理に対して最大 I/O スループットを提供できます。同時に、データ保護と読み取りパフォーマンスを優先する PostgreSQL VM 用のミラーリングされたストレージクラスをプロビジョニングできます。SAP HANA 仮想マシンの場合、ストライピングによるパフォーマンス上のメリットとミラーリングによる耐障害性を組み合わせた、stripe-mirror レイアウトを設定できます。このレベルのカスタマイズは、従来はエンタープライズ・ストレージアレイでのみ可能でしたが、InfoScale の高度なボリュームマネージャー機能により OpenShift Virtualization から直接利用できるようになりました。ストレージのパフォーマンスをワークロードの要件に合わせることで、エッジの仮想マシンで実行されているエンタープライズ・アプリケーションが、コアデータセンターで使用する場合と同じレベルのパフォーマンスを発揮するようにできます。
ユースケース #3:エッジ仮想マシンの障害復旧
障害復旧 (DR) は複雑でコストがかかるため、エッジロケーションでは見落とされがちです。ただし、リモートオフィスやエッジサイトで実行されている仮想マシンは、コアデータセンターで実行されているものと同様に重要です。InfoScale とアービターを備えた 2 ノード OpenShift ソリューションは、エッジ仮想化向けの包括的なコンテナネイティブの障害復旧戦略を提供します。InfoScale の継続的なブロックレベルのレプリケーションにより、エッジサイト間、またはエッジデータセンターからコアデータセンターへ仮想マシンストレージを複製することができ、サイト障害が発生した場合でもビジネス継続性を確保できます。
複雑なセットアップと手動による介入を必要とする従来の DR ソリューションとは異なり、InfoScale のレプリケーションは OpenShift Virtualization と完全に統合されており、仮想マシンの自動フェイルオーバーとフェイルバックを可能にします。つまり、データセンターの VM と同レベルで、かつわずかな運用オーバーヘッドで重要なエッジ仮想マシンを保護できます。仮想マシンがリモートの製造工場や、小売店舗、支店のいずれで保護されていても、InfoScale は仮想インフラストラクチャをあらゆる障害シナリオから迅速かつ確実に復旧させます。
まとめ:エンタープライズ・エッジ仮想化の未来はここから始まります。
エンタープライズエッジは、もはやニッチな市場ではありません。これは、先進的な IT 環境の重要なコンポーネントです。エッジでの仮想化で組織が実現できることは拡大し、仮想マシンを実行するための堅牢で、回復力があり、効率的なプラットフォームに対するニーズは今後も増大するでしょう。アービターを備えた 2 ノード OpenShift アーキテクチャと Arctera の InfoScale for Kubernetes を組み合わせることで、エンタープライズグレードのエッジ仮想化のための包括的なソリューションを活用できます。
コンパクトでコスト効率の高いインフラストラクチャ・トポロジーと、エンタープライズクラスのストレージおよびデータサービスプラットフォームのそれぞれの長所を組み合わせることで、組織はミッションクリティカルな仮想マシンを確実にエッジにデプロイできます。仮想インフラストラクチャをリモート拠点に拡張する必要のある OpenShift Virtualization 管理者や、エッジ仮想化戦略を評価している IT リーダー、また次世代の分散した仮想環境を設計するクラウドアーキテクトを含め、私たちはエンタープライズのエッジ仮想化の未来に備える必要があります。詳細は、Red Hat が導入するエッジへのオープンソースについてご覧ください。
リソース
Red Hat OpenShift Virtualization を導入すべき 15 の理由
執筆者紹介
Marcelo Gigliotti is a Senior Technical Product Manager focused on InfoScale for Kubernetes, with deep expertise in OpenShift, virtualization, and data resilience. He collaborates with Red Hat to drive advanced high-availability solutions across hybrid infrastructures.
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