Red Hat OpenStack Platform:オープンソースのクラウド・インフラストラクチャ
製品概要
Red Hat® OpenStack® Platform は、オープンなコミュニティ主導のイノベーションと、エンタープライズレベルの規模と信頼性を兼ね備えています。これにより、新しい差別化されたアプリケーションとサービスを、実証済みの柔軟でスケーラブルな OpenStack パブリッククラウドまたはプライベートクラウド環境で提供できます。
Red Hat OpenStack Platform は、オープンで柔軟な、進化し続けるイノベーションを原動力としています。既存の企業も新興の企業も、それぞれのビジネス上の利益の実現を加速するために必要なクラウド環境を確実に構築できます。
特長とメリット
Red Hat OpenStack Platform は、クラウド・インフラストラクチャのコアからエッジに至るまでの実績のある統合テクノロジーをベースとする、柔軟でスケーラブルなクラウド環境を構築するための機能と特長を備えています。
Red Hat OpenStack Platform によるクラウド・インフラストラクチャは、現在の重要なワークロードに適した実証済みの基盤を提供します。また、ハイブリッドクラウドやクラウドのエッジ、さらなる先進技術を導入するための今後の道筋を示します。
表 1. 継続的な運用管理
特長 | メリット |
Red Hat OpenStack Platform director のデプロイによる簡素化 | Use Red Hat OpenStack Platform director operator on top of OpenShift Virtualization for planning, deploying, and managing an OpenStack environment.Red Hat OpenStack Platform director is included in Red Hat OpenStack Platform and is updated to add new capabilities to further simplify Day 0 to Day 2 platform operations. |
ワークロードとインフラストラクチャのテレメトリー | OpenStack のワークロードとインフラストラクチャを一元化されたシステムで監視し、単一のダッシュボードを使用してリソースを視覚化するための信頼できる唯一の情報源を提供します。リソースの監視とレポート作成、およびオーケストレーションをサポートするテレメトリー分析など、OpenStack クラウド上でのデータ収集を単純化します。 |
分散コンピュートノード | 分散コンピュートノードでエッジコンピューティング・アーキテクチャを構築し、コンピュートとストレージの位置をデータソースに近づけて、コアからエッジまで一貫した一元管理を可能にします。 |
Red Hat Satellite との統合 | ユーザーは Red Hat OpenStack Platform director によって表示されるイメージおよびホストパッケージ管理を含む、アプリケーションおよびオペレーティングシステム (OS) のエンタイトルメントの利用にあたって Red Hat Satellite にアクセスできます。 |
コンテナ化された OpenStack サービス | OpenStack サービスをコンテナで実行すると、各サービスを個別に管理し、スケーリングできます。このため、デプロイ、アップグレード、ロールバック、管理が単純化され、制御性と柔軟性が向上します。 |
Red Hat Ansible® Automation Platform と Red Hat OpenStack Platform director の使用によるデプロイ | IT 運用チームは OpenStack デプロイが稼働する前にプレビューして、デプロイやアップグレードの潜在的な問題を予測できます。デプロイプロセスに可視性が追加されるので、障害検出やデバッグが効率的になります。障害が発生しても、分離したデプロイステップを反復して再適用することもできます。 |
Red Hat OpenStack Platform は、強化されたセキュリティ機能を備えた信頼性の高いパブリックおよびプライベートの OpenStack クラウド環境の開発、デプロイ、スケーリング、管理を支援する実証済みの基盤です。
Red Hat の OpenStack テクノロジーにおけるリーダーシップ
オープンソース・コミュニティのプロジェクトである OpenStack は急速に発展し、変化しています。
2011 年から OpenStack プロジェクトの最大のコントリビューターとして、Red Hat は長期的な安定性と、エンタープライズ向けソフトウェアのライフサイクル管理と実稼働レベルのサポートの統合を可能にし、リスクの排除に貢献しています。
表 2. プラットフォームのライフサイクル管理
特長 | メリット |
ライブアップグレードによる信頼性に優れたデプロイ | Red Hat OpenStack Platform director はインストールプロセス全体でシステムをチェックし、一貫性のある自動化されたクラウドデプロイを提供します。オーケストレーションされたシステムのアップグレードとアップデートをライブで実行し、ダウンタイムがほとんどない、本番稼働に適した長期的な安定性をもたらします。 |
長期にサポートされるリリースでプラットフォームのアップグレード回数が減少 | Red Hat は最大 5 年間 Red Hat OpenStack Platform をサポートし、年 2 回のアップストリーム OpenStack コミュニティのリリースサイクルに基づく最新機能を提供します。これにより、最新機能を引き続き利用できるため、プラットフォームのメジャーアップグレードの必要性が低くなります。 |
イノベーションの統合 | Red Hat OpenStack Platform は、コミュニティリリースを 1 つの安定した機能豊富なバージョンにまとめるなど、旧バージョンの優れた機能を効果的に統合しています。 |
ライフサイクルを通じた新しいイノベーション | 機能や特長の追加は、ソフトウェアのリリースライフサイクルを通じて行うことができ、プラットフォームのフルアップグレードは不要です。つまり、コミュニティの新たなイノベーションがリリースされると、Red Hat からの新しいバージョンのソフトウェアを待つことなく、これをプラットフォームに組み込むことができるのです。お客様は安定性を損なうことなく、新しい機能を利用できます。 |
表 3. 信頼性、可用性、パフォーマンス
特長 | メリット |
実稼働環境でのテストと強化 | 広範なパッチ適用、バグ修正、テスト、認定プロセスにより、アップストリーム・コミュニティリリースとの互換性とパフォーマンスの範囲が広がります。 |
可用性の高いインフラストラクチャ | Red Hat OpenStack Platform では、インフラストラクチャの障害認識、ホストノードの自動退避、ダウンしたノードのフェンシングなど、高可用性のためのポリシー駆動型の対策を取り入れています。また、利用可能な残りのホストでワークロードを自動的に再起動する機能もあります。 |
パフォーマンス | Red Hat Virtualization Hypervisor は OpenStack ワークロードに対して優れたパフォーマンスを発揮します。Red Hat OpenStack Platform では、リアルタイムの KVM コンピュートロールのレイテンシーは、 Red Hat Enterprise Linux® リアルタイムカーネルを使用することできわめて低くなっています。 |
グラフィックス・プロセッシング・ユニット (GPU) と仮想 GPU のサポート | 人工知能や機械学習 (AI/ML) などの新たなワークロードにハードウェア・アクセラレーションされているアプリケーションを使用して、新しいイノベーションと次世代のカスタマーエクスペリエンスを推進します。 |
表 4. セキュリティとコンプライアンス
特長 | メリット |
Red Hat Enterprise Linux OS | SELinux (Security-Enhanced Linux) の軍事レベルのセキュリティ技術により、OpenStack のパブリック/プライベートクラウドでの運用に際して、不正侵入を防止し、データを保護します。1 |
スタックのアクセスと監視 | 非準拠の仮想マシンの継続的な監視とフラグ付けにより、リソースのエンタープライズ・ポリシーへの準拠を維持します。詳細なロールベースのアクセス制御 (RBAC) とテナント同期で、ユーザーの権限を管理できます。 |
シングルソケットレイヤー (SSL) 証明書による暗号化と、ハードウェア・セキュリティ・モジュール (HSM) バックエンドのサポートによる鍵管理 | コントロールフローの暗号化とオプションのデータストアとフローの暗号化により、プライバシーとデータの整合性が強化されます。証明書と鍵の一元管理により、最適なセキュリティ管理手法が適用され、セキュリティの維持と、専用の鍵管理ハードウェアの使用による厳格なコンプライアンス基準への対応をサポートします。 |
IPSec VPN から NIC への暗号化オフロード | より多様な環境をサポートし、VM/テナントレベルでの広帯域のリモート IPsec VPN 接続を可能にし、GDPR および Data Security Standard (PCI-DSS) などのセキュリティ基準へのコンプライアンスを強化します。 |
コンプライアンスの加速化 | Federal Risk and Authorization Management Program (FedRAMP)、European Telecommunications Standards Institute (ETSI)、Agence nationale de la sécurité des systèmes d’information (ANSSI) 規制に向けたセキュリティ機能で、使用される環境の準拠した状態を維持します。さらに、お客様はこのプラットフォームを複雑な環境にデプロイして、連邦情報処理標準 (FIPS) を満たすことができます。 |
表 5. 統合
特長 | メリット |
コンテナ化されたクラウドネイティブ・ワークロードのサポート | Red Hat OpenStack Platform と Red Hat OpenShift® の統合により、Red Hat OpenStack Platform director で管理されるコンテナ化されたクラウドネイティブ・アプリケーション向けの柔軟なアーキテクチャを作成できます。これには、ベアメタル Red Hat Enterprise Linux リソースの Red Hat OpenShift Container Platform に向けたプロビジョニング、高可用性のための本番稼働に適した OpenShift Container Platform クラスタのデプロイメント、OpenShift Container Platform ノードの director ベースのスケールアウトおよびスケールインなどの自動化機能が含まれます。 |
Red Hat Ceph Storage が提供する Red Hat Data Services | Red Hat Ceph® Storage との統合により、Red Hat OpenStack クラウド向けのスケーラビリティに優れた冗長オブジェクト/ブロック/ファイルストレージ・ソリューションが提供されます。これには、クラスタ化されたエンタープライズ・ワークロード向けに、ボリュームを複数のホストおよびサーバーに同時に接続する機能、director による階層化されたストレージ・アーキテクチャの作成と管理、最適化されたボリューム移行、Ceph を使用した内部トラフィックの Internet Protocol Security (IPSec) トンネリングが含まれます。Red Data Services にはワークロード別にサービス品質 (QoS) を監視する機能もあり、これは「Noisy Neighbors (うるさい隣人)」問題の軽減に役立ちます。 |
Open Virtual Network (OVN) 移行およびネットワークツール | Red Hat OpenStack Platform には、Load Balancing-as-a-Service (LBaaS) などのネットワーキングのパフォーマンスと柔軟性を向上させる複数の機能があり、ユーザーが OVN を活用できるよう支援します。 |
拡張可能なエコシステム | Red Hat の OpenStack パートナー認定プログラムにより、既存のデータセンター投資との統合が単純化されます。このプログラムは、相手先ブランド製造会社 (OEM)、独立系ハードウェアベンダー (IHV)、独立系ソフトウェアベンダー (ISV)、チャネルパートナー、システムインテグレーター、クラウド・サービスプロバイダー (CSP)、マネージド・サービスプロバイダー (MSP) など、ソフトウェア、ハードウェア、サービスの各ベンダーを対象としています。 |
技術仕様
Red Hat OpenStack Platform は、Red Hat Enterprise Linux の認定を受けているすべてのサーバープラットフォーム上で実行されます。各サーバーロールについては、以下の最小要件があります。
コンピュートノード
- 64 ビット x86 プロセッサー、Intel 64 または AMD64 CPU 拡張サポート、AMD-V または Intel Virtualization (Intel VT) ハードウェア仮想化拡張対応 (最小 4 コアを推奨)
- OPAL ファームウェアを実行する Power 8 または Power 9 システムで ppc64le をサポート
- 最小 6 GB の RAM (ユーザーが仮想マシンインスタンスに対して利用可能にするメモリー量に応じて追加 RAM が必要になる場合がある)
- 最小 40 GB のディスク空き容量 (1 TB を推奨)
- 1 Gbps ネットワークインターフェースカード × 2 (実稼働環境では 2 枚以上のネットワークインターフェースカードを推奨)
- 各コンピュートノードには、サーバーのマザーボードに Intelligent Platform Management Interface (IPMI) が必要
コントローラーノード
- 64 ビット x86 プロセッサー、Intel 64 または AMD64 CPU 拡張のサポート
- OPAL ファームウェアを実行する Power 8 または Power 9 システムで ppc64le をサポート
- 最小 32 GB の RAM (最適なパフォーマンスには 64 GB を推奨)
- 最小 40 GB のディスク空き容量
- 1 Gbps ネットワークインターフェースカード × 2
Red Hat Openstack Platform director
- 8 コア 64 ビット x86 プロセッサー、Intel 64 または AMD64 CPU 拡張のサポート
- ホスト OS としての Red Hat Enterprise Linux
- 最小 16 GB の RAM
- 最小 100 GB のディスク空き容量 (オーバークラウドデプロイまたはアップデートを試行する前には 10 GB の空き容量が必要)
- 2 枚以上の 1Gbps ネットワークインターフェースカード (とくにオーバークラウド内の多数のノードをプロビジョニングするなどの、ネットワークトラフィックのプロビジョニングには 10Gbps を推奨)
「政府の標準規格」、Red Hat ナレッジベース記事、2022 年 10 月 5 日。
最新の IT インフラストラクチャでクラウドを構築する
クラウド環境のメリットの実現を望む企業は、 OpenStack 向けの緊密に統合されたスケールアウトストレージである Red Hat Ceph Storage を直接利用することができます。
Red Hat トレーニングと認定
IT チームが OpenStack のトレーニングを受講し、Red Hat の演習を主体としたコースと実技ベースの試験で認定を取得できるようにしましょう。
実践的なトレーニングと認定の詳細をご確認ください。
プロフェッショナルなコンサルティングサービス
Red Hat は、以下のようなクラウド・テクノロジー・ソリューション向けのコンサルティング・サービスのポートフォリオを提供しています。
- コンサルティングのディスカバリー・セッション
- コンサルティングの評価
プロフェッショナルなコンサルティングサービスの詳細をご覧ください。
OpenStack の詳細については、OpenStack.org にアクセスしてください。
クラウド・コンピューティングの詳細については、「クラウド構築に Red Hat を選ぶ理由」をお読みください。