Red Hat Ansible Automation Platform でシスコのネットワークを自動化

クラウドネイティブなテクノロジーを導入しながらビジネス成果を加速させる

企業は前例のない変化を迫られており、デジタル・トランスフォーメーションの実現に役立つ、柔軟でスケーラブルなセキュリティを重視した製品を必要としています。運用の複雑さが増すと、全体的なコストの管理と削減が必要になります。増大する運用上の複雑さの多くは、Ansible® などのツールを使用した自動化によって迅速に解消することができます。たとえば、ネットワーク自動化により、ネットワーク運用チームは、ネットワーク・インフラストラクチャとアプリケーションサービスをはるかに迅速かつ効率的に構成し、スケーリングし、保護し、統合できるようになります。

IT 組織では、管理を単純にし、オーケストレーションを実現するのと同時に、組織の運用要件に適合したソリューションを必要としています。クラウド環境は新しく、複雑で、使い慣れない環境となる場合がありますが、ネットワーク自動化は、こうしたクラウドネイティブ環境を管理するための鍵となります。今年初めに公開された IDC の Worldwide Semiannual Software Tracker は、世界の IT 自動化および構成ソフトウェア市場が 2020 年の 79 億ドルから、2025 年には 115 億ドルに成長すると予測しています。3

ネットワーク自動化による管理の向上とコスト抑制

アプリケーションの開発とデプロイを加速し、価値実現までの時間を短縮するために、企業は NetDevOps 手法を導入しています。エンタープライズのデジタルフットプリントが拡大し、そのネットワークが複雑になるにつれて、これらの環境の管理はますます困難になります。

多くの組織は、依然として各ネットワークデバイスに手動でログインしてネットワークを管理しており、追跡や検証をほとんど、あるいはまったく行わずに必要な変更を加えています。シスコだけでも、ネットワークスイッチング、ルーティング、ファイアウォール構成など、あらゆるものを管理するために利用できる環境やプラットフォームは多数あります。この複雑さにより、これら複数の環境での自動化の管理とオーケストレーションは極めて困難になります。

計画、開発、テスト、デプロイ、保守といったプロセスの自動化は、IT 運用を単純化するための革新的なアプローチです。とはいえ、ネットワークチームにおける自動化ソリューションの導入は、予想よりもはるかに遅れています。その理由は次のとおりです。

  • 各種の自動化ツールがプロプライエタリーで、個々の機能やプラットフォームにしか対応していない。
  • 日常的なプロセスや手順に影響する新しい手法の導入は必ずしも容易ではなく、新しいテクノロジーについてユーザーがトレーニングを受ける必要がある。
  • 少ない労力でより多くのことを首尾よく行うためには、IT 組織全体で、自動化を企業文化や IT 文化の一部として組み込んだアクションプランを導入し、作成し、実行する必要がある。

シスコのネットワークおよびシステムプラットフォームの包括的なサポート

柔軟性は、ネットワーク運用担当者とシステム管理者の両方にとって重要なポイントになります。Red Hat® Ansible® Automation Platform を使用すると、自動化するプロセスと手順を選択できます。これにより、まず小規模から開始して、戦略、目標、スキルに応じて拡張し、最終的に組織に最大のメリットをもたらすことができます。また、必要なときに必要なものをすばやく自動化する柔軟性が得られます。  

Red Hat Ansible Automation Platform を使用すると、ガバナンスを向上させ、IT 組織のネットワーク運用部門と他の部門をつなぐことができます。Ansible の導入環境に加わる管理と制御、知識、そして権限委任の機能が、複雑なネットワークデプロイ作業に役立ちます。Ansible と Cisco IOS® の統合により、自動化の各種メリットが得られます。ネットワーク DevOps モデルを導入してアプリケーションのデプロイを加速し、ビジネスニーズに迅速に対応しようとする組織にとって、Red Hat Ansible Automation Platform を使用することにはメリットがあります。Red Hat Ansible Automation Platform はセキュリティを重視した一貫した運用環境を維持しつつ、自動化、イノべーション、IT 環境の一貫性を向上させ、真にアジャイルな運用モデルの実現を支援します。

Red Hat Ansible Automation Platform は、以下の機能を備えたシスコの幅広いソフトウェア・デファインド・ネットワーク (SDN) 製品およびプラットフォームに対する自動化サポートを提供します。

ネットワークデバイス OS ネットワークセキュリティ シスコの SDN、コントローラー、NAE
IOS
IOS XR
IOS XE
NX-OS

ASA
Tetration*

*認定審査中

ACI 
MSO
NAE
NSO
DNA

表 1. サポートされているシスコの製品とプラットフォーム (カテゴリ別)

Red Hat が認定する最新の Cisco Collections は、Ansible Automation Hub で入手できます。

Red Hat Ansible Automation Platform と Cisco Application Centric Infrastructure (ACI) の統合

大規模な自動化の構築および運用のための基盤

現在、シスコのユーザーに対して自動化の選択肢が十分に提供されていますが、そのソリューションの多くは特定の製品専用に設計されているか、複雑なプログラミング言語に関する幅広い知識を必要とします。Red Hat Ansible Automation Platform を使用すると、各プラットフォーム独自の構造のほか、ベンダー固有のコマンドライン、実装、およびアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) を理解する必要性は最小限になります。

イメージコンテナ 図 1. シスコの管理プラットフォームの Ansible 自動化とオーケストレーション


Red Hat Ansible Automation Platform は、自動化サービスを大規模に構築および運用するための基盤であり、コラボレーティブな信頼できる実行環境で、各種ツールと運用フレームワークを企業に提供します。ネットワーキングのパイオニアであるシスコと Red Hat が長年にわたり構築してきた関係に基づいて、シスコをベースとするネットワークとインフラストラクチャ管理を自動化する新しいアプローチを提供し、よく利用されている多様な製品とソリューションをサポートします。 

イメージコンテナ 図 2. Red Hat Ansible Automation Platform と Cisco ACI の統合

 

Red Hat Ansible Automation Platform を使用すると、次の 3 つの簡単なアクションを実行してエンタープライズ自動化のプロセスを加速できます。

  1. 作成:Ansible の大規模なオープンソース・コミュニティの力とともに、最もよく利用されている Ansible ロールとモジュールで構成される事前にビルドされた認定済み Content Collections を活用できるため、すぐに開始できます。インフラストラクチャをコード化し、チーム間、オンプレミス、またはクラウドで共有できます。
  2. 拡張:自動化を複数のドメインや異なるユースケースに応用できます。開発チーム、運用チーム、ビジネスチームの関係者は、それぞれに最適な方法で Ansible を使用できます。開発時間が遅延することはありません。 
  3. 関与:分析、ポリシー、ガバナンス、コンテンツ管理によって、自動化をさらに前進させることができます。Red Hat Ansible Automation Platform のこれらのツールにより、運用管理がさらに効率化し、問題を一度解決すれば、その結果を全員と共有できます。

時間と労力の節約に加え、この独自のアプローチは、既存の投資に対するより大きなリターンをもたらします。多くの組織は、特定のデバイスやワークフローの管理を部分的に自動化するツールに多大なリソースを投資してきましたが、この自動化には拡張性がありません。Red Hat Ansible Automation Platform は、 NetOps、ITOps、SecOPs などのさまざまなグループに共通のレイヤーと言語をまとめて提供し、ネットワークに接続されたほぼすべてのシスコ関連のデバイス、コントローラー、またはプログラムの自動化に向けて、チーム間、デバイス間の自動化を促進します。 

Red Hat Ansible Automation Platform でセキュリティとコンプライアンス機能を向上

シスコのインフラストラクチャの構成と管理を自動化することにより、企業にとっては時間とリソースの節約以外のメリットがあります。それは、重要なシステムとデータのセキュリティ強化です。Red Hat Ansible Automation Platform は、セキュリティ自動化と DevSecOps アプローチの実装に必要なすべてのツールと機能を提供します。シンプルで読みやすい自動化言語と、信頼できる構成可能な実行環境を、セキュリティを重視した共有およびコラボレーション機能とともに提供します。 
自動化によって、セキュリティ脅威の特定および対応を迅速かつ大規模に実行することができます。チーム、ツール、プロセスを一貫性のある協調的な自動化プラットフォームと結びつけて、お客様のビジネスを守ることができます。

Red Hat Ansible Automation Platform を使用して、シンプルで信頼性と拡張性の高いシスコの自動化を実現

ネットワーク管理者がインフラストラクチャを最高のパフォーマンスで実行し続けるために必要なアジリティ、柔軟性、一貫性を得るには、ルーター、スイッチ、ファイアウォール、IPAM、コントローラー、サーバー、コンテナなど、データセンターの各コンポーネントの自動化が不可欠です。しかし、そのために適用範囲が限定された個別の製品やプラットフォーム固有のツールを使用するのは、インフラストラクチャ管理を拡張するための効率的なアプローチではありません。

Red Hat Ansible Automation Platform はシスコのプラットフォームと統合されており、より大規模かつ高速な自動化が可能であるため、次のことを実現できます。 

  • Cisco Validated Designs (CVD) を使用して実装を容易にし、デプロイ時間を短縮し、総所有コスト (TCO) を改善する。
  • 手動タスクの数を削減し、エラーのない繰り返し可能な構成を提供する。
  • 変更を継続的に検証してコンプライアンスを確保する。

Red Hat Ansible Automation Platform は、日常的なネットワーク構成タスクを単純化するツールとして最もよく利用されているツールの 1 つです。インストール後の構成を自動化するため、IT 変革が加速され、アジリティが向上し、ビジネスニーズへの対応を迅速化する非常に効率的な運用モデルをすばやく導入できるようになります。

図 3. Red Hat Ansible Automation Platform のコンポーネント

 

まとめ

シスコは、企業ユーザー、サービスプロバイダー、通信サービスプロバイダー向けのコンピューティング、ネットワーク、およびクラウド・ソリューションにおける世界的なリーダーです。ビジネスが拡大し、ビジネスニーズが進化するにつれて、企業は、限られたリソースを使用してビジネス価値を提供しながらエンドユーザーの増大する需要を満たすための新たなアプローチを模索しています。 

Ansible Automation Platform は、IT がビジネスニーズにより迅速に対応し、連携を促進し、コストを削減するのに役立ちます。Ansible Automation Platform は、シスコの複数のネットワークプラットフォームで機能し、キャンパスのネットワーク、データセンター、およびサービスプロバイダーのユースケースに対応します。ACI や UCS/HyperFlex などのシスコのソリューションを Red Hat Ansible Automation Platform と組み合わせることで、シスコと Red Hat がサポートする認定コレクションを使用して自動化をすぐに開始できます。自動化のメリット、つまりアジリティの向上、リスクの軽減、コストの管理を迅速に実現できます。 

Red Hat は、現在のエンタープライズ向けオープンソース・ソリューションにおいて信頼される世界的なリーダーとして、組織が絶えず変化する IT 要件に適応できるよう支援してきました。Red Hat 管理ポートフォリオの一部として Red Hat Ansible Automation Platform を使用すると、組織は効率を高め、価値提供を迅速化し、IT の課題を解決することができます。


Red Hat とシスコは連携して IT 運用を単純化、最適化、自動化するための補完的な製品と統合ソリューションを提供し、デジタル・トランスフォーメーションとデータセンターのモダナイゼーション・プロジェクトにおけるスケーラビリティ、柔軟性、セキュリティの向上をもたらします。

詳細はこちら:

1 Kevin Casey、「2021 年に注目すべき 8 つの自動化に関する動向」、The Enterprisers Project、2020 年 12 月 15 日。

2 Red Hat e ブック、「セキュリティ運用センターを単純化する」、2020 年 8 月 20 日にアクセス。

3 IDC Research、「世界の IT 自動化および構成管理ソフトウェアに関する予測 (2021 - 2025 年)」、2020 年 11 月。