2014 年に Red Hat Enterprise Linux 7 (RHEL 7) がリリースされて以来、多くの変化がありました。当時、米国の従業員のうち、週に 1 日でもリモートで働く人は 10% もいませんでした。それから約 10 年が経った今、リモートワークは多くの業界の人々にとって当たり前のことになっています。たとえば、米国で定職に就いている人の 58% は、少なくとも週に 1 回はリモートで働くことができます。 

このリモートワークへの移行はかなり突発的に始まったため、IT 部門には多くの新たな差し迫った課題がもたらされました。インスタント・メッセージング、ビデオ会議、ファイル共有、エンタープライズ・ソーシャル・ネットワークなど、コラボレーションツールの選択肢が増え続けたことで、継続的なサポートとメンテナンスが必要になりました。エンタープライズ・ファイアウォールの外側にあるリモートエンドポイントには、機密データを保護し、セキュリティ侵害のリスクを最小限に抑えるための、自動化された新しいテクノロジーが必要でした。同時に、企業のアセットにアクセスするために、セキュリティが確保されておらず精査もされていない個人用デバイスが使用されることが増え、その結果、セキュリティ上の脆弱性が発生することとなり、企業にはそれらの発見と修正を行う必要が生じました。これらの複雑な課題に対応する中、多くのチームは RHEL 7 からの移行計画の延期と修正を余儀なくされました。 

RHEL 7 の標準的な 10 年間のライフサイクルは終了が迫っており、2024 年 6 月 30 日までに当初の計画どおりに移行を完了できない IT 部門も出始めています。Red Hat は、そのような IT チームも移行スケジュールを完了できるようサポートするために、RHEL 7 の ELS について 1 回に限り 4 年間の ELS メンテナンス期間を設けます。お客様はこれによって猶予を得られますが、新しい機能や拡張機能を活用するために、RHEL の新しいバージョンに早期に移行することを強くお勧めします。 

ELS で Red Hat Enterprise Linux サポートを延長

RHEL のメジャーリリースはすべて、10 年間のライフサイクルを標準としています。最初の 5 年間は、バグ修正、セキュリティパッチ、ソフトウェア拡張、ハードウェア対応、バックポートなど、フルサポートを提供します。次の 5 年間は、必要に応じてリリースされるセキュリティパッチやバグ修正によるメンテナンスサポートを提供します。 

この後、RHEL は延長ライフフェーズ (ELP) に入ります。この間、お客様は Red Hat カスタマーポータルおよび Red Hat ナレッジベースで以前にリリースされたコンテンツに引き続きアクセスできます。さらに、現在サポートされている RHEL バージョンに移行するための継続的なテクニカルサポートとアドバイスを、限定的に受けられる場合があります。

標準ライフサイクルを超えてメジャーリリースを使用し続ける必要がある組織には、延長ライフサイクルサポート (ELS) アドオンを提供します。このアドオンでは現在、標準リリースのライフサイクル終了後、メジャーリリースのサポートが最長 2 年間延長されます。オプションのアドオンサブスクリプションとしての ELS では、最近のマイナーリリースのトラブルシューティング、緊急で優先度の高いバグ修正、Red Hat が定義する一部のセキュリティ修正にアクセスできます。 

セキュリティ問題の重大度は、低、中、重要、重大の 4 段階で評価されます。ELS では、Red Hat が定義する重要および重大、つまり上位 2 つの重大度レベルの共通脆弱性識別子 (CVE) に対する修正が提供されます。重要な CVE はリソースの機密性、整合性、または可用性を損なうことがあるもの、そして重大な CVE はリモートの認証されていない攻撃者によって悪用され、ユーザーの介入を必要とせずにシステムの侵害を引き起こすことがあるものです。 

将来のニーズに備えた計画を立てる 

RHEL 7 の ELS は現在利用可能で、対象期間は 2024 年 7 月 1 日から 4 年間です。これを利用するには、RHEL 7.9 を使用している必要があります。以前のメジャーリリースと比較すると、RHEL 7 (RHEL 7.9) の ELS では、重要な CVE に対処するアップデートが含まれており、セキュリティ修正の範囲が拡大されています。これには Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions、Red Hat Enterprise Linux High Availability および Resilient Storage のアドオンのメンテナンスも含まれます。また、長期的な IT インフラストラクチャ戦略の構築を支援するために、Red Hat は RHEL 8 と 9 の両方に対して 3 年間の ELS を提供する予定です。

アップグレードに関するサポートを受ける 

RHEL 7 (またはその他のバージョン) からのアップグレードをお考えの場合は、Red Hat がお手伝いします。お客様は Red Hat が提供するインプレース・アップグレード・ツールと詳細なガイダンスを通じて、アップグレードとアプリケーションの移行を効率化することができます。また、Red Hat コンサルティングを利用して、アップグレードのプロジェクトを計画し実行することもできます。Red Hat のエキスパートがお客様のチームと連携し、重要なアプリケーションとツールの特定、自動化されたワークフローの作成、プロジェクト全体のリスクの分析と管理を行います。 

さらに詳しく

過去 10 年間で RHEL 7 は多くの IT 部門の必需品となり、ハイブリッドクラウド・ワークロードに対応する、より一貫性があり信頼できるプラットフォームを提供しています。RHEL 7 の 4 年間の ELS により、重要なワークロードを保護するために必要なサポートを引き続き受けながら、スケジュールに基づいて移行計画を修正して実行することができます。 

ELS と RHEL ライフサイクルの詳細は、access.redhat.com/support/policy/updates/errata を参照してください。また、FAQ もご覧ください。


About the author

Gil Cattelain is Principal Product Marketing Manager for Red Hat Enterprise Linux. Cattelain has more than 20 years’ experience as a leader in high-tech software product marketing with a proven track record of managing major product releases and go-to-market strategies. Prior to Red Hat, Cattelain held product marketing leadership roles at Micro Focus, Novell, and Genesys, focusing on the endpoint management and DevOps/agile solutions, including digital marketing for the contact center market.

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