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Linux 

誰もが予想したとおり、昨今の IT 環境はかつてないほど複雑化しています。新旧テクノロジーの混在、チームの分散、時代にそぐわない手動プロセスなどが、非効率的な運用、セキュリティリスクとコンプライアンスリスク、IT チームへの過負荷を引き起こしています。

組織全体における単一オペレーティングシステムの標準化は、IT インフラストラクチャーの単純化および合理化を実現するための第一歩です。実稼働環境 (SOE) を標準化できれば、IT の複雑化を抑制し、効率性の向上、コストの削減、稼働時間の増加、セキュリティ体制の改善につながります。その結果、IT チームはスキルと専門知識を最大限に活用し、やりがいのある革新的なプロジェクトにより多くの時間を割くことができるでしょう。

これを実現するのが Red Hat Enterprise Linux (RHEL) です。RHEL を標準化することで、信頼性の高いハイブリッドクラウド環境を実現できます。アプリケーションとワークロードを最も適切な場所で実行し、要件や要求が変化した際には容易に移動できます。RHEL は、整合性を備えた安定性の高いプラットフォームも提供するため、運用効率が向上し、セキュリティ体制も強化されます。

IT 運用の単純化と高速化を継続的に支援するために、RHEL 9.4 および 8.10 Beta リリースには新機能が追加されました。

セキュリティとコンプライアンスの強化

機密データを保護し、サイバー脅威に対する保護措置を講じ、規制要件を遵守することは極めて重要です。RHEL の機能強化は、IT 環境のセキュリティ向上と重要なステークホルダーからの確固たる信頼につながります。

ゼロトラスト・アーキテクチャ (ZTA) セキュリティモデルのコンポーネントである RHEL のパスキー認証では、一元管理されたユーザーに対して、FIDO2 (Fast IDentity Online 2) 準拠のパスキーを使用したパスワードレスの多要素認証 (MFA) を適用できます*。RHEL の Web コンソール から、Linux カーネルで実行される高性能な仮想プライベートネットワーク (VPN) ソリューションである WireGuard を設定することで、さらにシステムセキュリティを強化することも可能です*。

RHEL の システムロール を使用すると、管理タスクを自動化して整合性を改善し、重要なアプリケーションやワークロードの保護を強化できます。fapolicyd システムロールは、fapolicyd を自動的にデプロイおよび設定し、大規模なアプリケーション実行を許可または拒否します。Microsoft SQL Server システムロールは、SELinux を使用して Microsoft SQL Server 2022 を制限付きアプリケーションとして自動的にインストール、設定、実行し、機密データを保護できます*。

可用性と信頼性の向上

可用性と信頼性が向上することで、中断のないサービスアクセスの提供、データ整合性の維持、優れたユーザーエクスペリエンスの提供が可能になります。RHEL の新機能は、ハイブリッドクラウド環境全体でのリカバリー操作を効率化します。

ライブスナップショットのサポートを含め、Web コンソールの強化された外部仮想マシンスナップショット機能により、仮想マシンの操作が単純化および標準化されます*。新しいスナップショット・システムロールを使用すると、論理ボリュームマネージャー (LVM) ストレージボリュームの point-in-time スナップショットを作成および管理して、より高速に、予測および反復可能なデータバックアップとリカバリーを大規模に実行できます。

高可用性クラスタリング・システムロールを使用すると、システムが応答しなくなった場合の柔軟性を確保するために、quorum デバイス (qdevice) オプションとフェンシングトポロジーを設定できます。

Red Hat Enterprise Linux High Availability アドオン の新機能を使用すると、SAP HANA インデックスサーバーの障害を自動的に検出し、セカンダリーノードに切り替えることができるため、リカバリーに必要な時間が短縮され、データの可用性が向上します。

エッジシステム管理の単純化

エッジデバイスにより、コンピューティング機能をエンドユーザーの近くに配置できるため、データ処理が効率化され、レイテンシーとスケーラビリティが向上します。このエッジにおける RHEL システム管理に役立つのが、Web コンソールの新オプションです。rpm-ostree デプロイメントの固定、現行デプロイメントのリセット、クリーンアップタスクの実行を同じ 1 つの場所から実行できます*。

ほとんどのシステムロールで、エッジにおける RHEL システムの自動化と管理が可能になりました。たとえば、Podman システムロールを使用して Podman 設定を自動化し、実稼働環境対応のコンテナワークロードを rpm-ostree システムをまたいでデプロイできます。

同梱されている Image Builder ツール を使用すると、連邦情報処理規格 (FIPS) PUB 140-2 に準拠した認定暗号化モジュールを使用するエッジデバイスイメージを作成し、デプロイすることも可能です。

複雑化した環境全体における整合性の向上

整合性のある繰り返し可能な操作により、管理タスクとトラブルシューティングタスクの両方が単純化されます。RHEL の新機能により、より多くの操作を自動化し、複雑な IT 環境全体の整合性を高めることができます。

  • Web コンソールを通じて、カーネルクラッシュダンプ (kdump) の設定を自動化できます。
  • ad_integration システムロールを使用して、Microsoft Active Directory と統合された RHEL ホスト上で動的なドメインネームシステム (DNS) 更新を設定できます。
  • bootloader システムロールを使用して、ブートローダー内のカーネル・コマンドライン・パラメーター (タイムアウトとパスワードを含む) の設定を自動化し、大規模なシステム管理を改善できます。

アプリケーションの構築とデプロイを高速化

開発者は、依存度の高いツールの最新機能、修正、強化にアクセスする必要があります。 アプリケーション・ストリーム を使用することで、RHEL 内の選択したテクノロジーをコア・オペレーティング・システムとは別に更新できるため、アプリケーションをより迅速に、少ない労力で構築できます。RHEL 9.4 および 8.10 Beta の新しいアプリケーション・ストリームには以下が含まれます。

  • Python 3.12。新しい最適化と機能には、柔軟性の高い f 文字列解析、デバッグとプロファイリングに使用できる新しいアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API)、トレースにおける分離されたサブインタープリターおよび Linux パフォーマンス・プロファイラーのサポートなどが含まれます。
  • PostgreSQL 16。追加機能と機能拡張には、並列ハッシュ結合、スタンバイサーバーからの論理レプリケーション、並列大規模トランザクション、統計情報監視の改善、新しい SQL/JSON コンストラクター関数およびアイデンティティ関数が含まれます。
  • Ruby 3.3。機能拡張には、新しい Prism パーサーと pure-Ruby、just-in-time (JIT) コンパイラー、複数のパフォーマンス改善が含まれます。
  • MariaDB 10.11。更新には、新しいサーバーおよび管理者認証機能、レプリケーションの改善が含まれます*。
  • コンパイラーツールキット。新しいバージョンには、LLVM 17、Rust 1.75、Go 1.21 が含まれます。

優れたアプリケーションだけでは優れたユーザーエクスペリエンスを提供できません。パフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性を最適化したデプロイメント環境も必要です。RHEL に含まれる Podman 4.9 の新機能により、コンテナ環境の管理が単純化され、レジリエンスが向上します。

multi-arch build farm 機能を使用すると、さまざまなプラットフォーム上の Podman ホストにビルドをディスパッチできるため、マルチアーキテクチャ・コンテナの構築が容易になります。また、複数のコマンドラインオプションを単一の再利用可能なモジュールに統合することで、複雑なフラグセットの管理を単純化することもできます。

Heredoc 構文の使用により、Containerfiles 内への短いスクリプトとファイルの格納が可能になり、Podman REST API の使用により、進捗状況の詳細の表示が可能になります。SQLite を新規インストールのデフォルトデータベースとして使用すると、特に異常終了が発生した場合におけるコンテナ環境のレジリエンスが向上します。

関連情報

RHEL 9.4 および 8.10 Beta リリースの最新機能について、詳しくは以下をご参照ください。


* Red Hat Enterprise Linux 9.4 Beta にのみ含まれる機能です。

 


執筆者紹介

Gil Cattelain is Principal Product Marketing Manager for Red Hat Enterprise Linux. Cattelain has more than 20 years’ experience as a leader in high-tech software product marketing with a proven track record of managing major product releases and go-to-market strategies. Prior to Red Hat, Cattelain held product marketing leadership roles at Micro Focus, Novell, and Genesys, focusing on the endpoint management and DevOps/agile solutions, including digital marketing for the contact center market.

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