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本日、当社は、マット・ヒックスが Red Hat の社長兼 CEO(最高経営責任者)に就任し、この度 Red Hat の会長に就任したポール・コーミアの後任を務めることを発表しました。マットは以下のメールを Red Hatter と共有しました。

皆さんへ

2006年に Red Hat に入社し、IT チームの開発者としてPerlアプリケーションのJavaへの移植に取り組んだとき、自分のキャリアがこの瞬間につながるとは想像もしていませんでした。もし最初の道を進んで、特定のプロジェクトに手を挙げず、アイデアを提供したり質問したりすることに尻込みしていたら、ここにいなかったかもしれません。これこそが、私がRed Hatを好きな理由であり、他社との違いでもあります。つまり、決められたものは何もなく、制限するものは貢献し影響を与えたいという情熱と意欲だけです。これは、個人としてだけでなく、会社としても同じです。

しかし、私たちの成功の遺産は、Red Hatにとってそれが当然のことであると信じ込ませてしまうことがあります。長年にわたってポール・コーミアから多くのことを学んできましたが、その中でも毎日心がけているのは、Red Hat が成功するためには私たちが戦わなければならない、つまり、成功は与えられるものではない、ということです。このことは、Red Hat が設立された日をはじめ、今日、そして将来にも当てはまるでしょう。

ポールと10年以上一緒に仕事をしてきましたが、彼が満足する姿も、諦める姿も見たことがありません。彼は毎日、Red Hat に全力を尽くしています。その意欲は、常にRed Hatの可能性に期待する私のモチベーションになっています。また、ポールの会長としての役職で私が保証できることが一つあるとすれば、それは、彼が私たちを成功へと導き続けるということでしょう。そして、そのために私たちは成功を勝ち取るための準備を常にしておかなければなりません。

この役職に就任するにあたり、皆さんに仕え、Red Hat をさらに大きな場所へと導く手助けができることを私は光栄に思い、誇りに思い、そして感謝しています。私たちの前には大きなチャンスが広がっており、そのチャンスを捉える手助けをしたいと思います。CEO に就任する準備をしている間、Red Hat らしさとは何かを考えることに多くの時間を費やしてきました。Red Hatterとして受け入れたい、場合によっては再認識してほしい3つの価値観があります。

尊敬の念を込めた情熱

私たちがここにいるのは、Red Hat が業界や世界における最大の課題の多くをオープンソースで解決できると信じているからです。私たちがここにいるのは、Red Hat がオープンソースによって、お客様がイノベーションを起こし、それぞれのお客様の課題を解決できると信じているからです。私たちは、その言葉の背後にある情熱があればこそ、オープンが世界の可能性を解き放つと言うことができるのです。そして、私たちはそれを実践しています。

オープンソースの開発は、多様な経験を持つ人々が集結して共通の課題を解決し、新しいアイデアを呼び起こすため、常により優れたイノベーションをより早く実現することにつながっています。これが Red Hat なのです。

その言葉を実現するためには、日々全力を尽くし、決して満足しないことです。私たちは絶えず互いを高め合い、同じチームの一員であることを常に念頭に置かなければなりません。新しい視点や異なる視点を求め、積極的に取り込んでいかなければなりません。質問をし、アイデアを共有し、アプローチについて議論し、仮定に疑問を投げかけながら共に問題を解決し、より良い解決策を見出すために努力するのです。こうしてアイデアが強化されていくのです。

尊敬の念は、情熱や建設的な疑問の投げかけと密接に関係しています。相手の貢献を理解することに、自分のアイデアと同じくらい情熱を持っていれば、相互尊重を見出すのは簡単でしょう。

Red Hat は2万人以上の社員を擁するグローバル企業です。社員は皆、何かに貢献する意欲やユニークな視点を持ち、共通のミッションのもと同じチームにまとまっています。互いを理解しようとする好奇心を持って、あらゆる交流に臨みます。たとえ意見が違っても、互いの意見に耳を傾けて尊重し合います。技術的、経験的なことでも、新しいことを学び、異なる視点を得ることを受け入れます。自分のアイデアを阻む他者が見るかもしれない障害を受け入れます。彼らから学びます。必要であれば、自分の考えを変えることも受け入れます。

私は、自分が正しいと思うことよりも、疑問を投げかけられ間違っていると証明されることのほうから、はるかに多くのことを学んできました。プライドが高いとこうした瞬間を受け入れることが難しくなりますが、それを受け入れなければなりません―激情に駆られてはいけません。典型的な考え方から一歩踏み出すことで新しいアイデアが生まれるのです。

Red Hatter として、私たちは、人ではなく、アイデアについて議論するよう求められています。進歩、革新、画期的なソリューションの提供を可能にするアイデアを生産的に議論していきますが、すべてのことに同意する必要はありません。正直なところ、上述のような情熱を持っているのであれば、同意すべきではないでしょう。Red Hatの文化であるオープンな部分は、民主主義として働くことを意味しませんし、合意を得ることを意味するものでもありません。会社として、目の前にあるチャンスを捉えることができるように迅速な決定を下さなければなりません。時には、自分のアイデアや考えを発言し、決定が下された後に反対意見を述べたり、コミットしたりすることもあります。

どんな話題や情熱の深さでも、常に全員が対等な立場でいられるよう敬意を払わなければなりません。

説明責任を伴う貢献

対等な立場でいることが Red Hat の特徴です。皆さん一人ひとりが会社に影響を与える力を持っています。一人ひとりがです。インターンとして入社しても、影響を与えることができるのです。私はこのことを心から信じています。

Red Hat では、貢献し参加することで会社に影響を与え、インパクトを与えることができます。肩書きは、どれだけ影響力を発揮できるかに関係ありません。皆さんのアイデア、スキル、専門知識を必要としています。皆さんがここにいるのには理由があり、どこにいてもRed Hatにユニークなものをもたらしてくれます。しかし、それを共有する必要があります。ここにいる誰もが、自分にはできることがあるだけでなく、アイデアを共有し、ボランティアとしてプロジェクトに参加し、自分を押し出すことが必要だと感じているはずです。自分の役割を受け入れ、その役割に秀でながらも、決してそれに縛られることなく、自分の力を発揮してください。

あなたが貢献するとき、私たちはそれを大切にしたいと思っています。あなたは、自分の貢献を指示するための説明責任を持たなければなりません。当社の戦略を理解し、それを推進するために貢献するのであって、それに逆らったり、互いに反目したりするのではありません。どのように貢献するかが重要です。

貢献したからといって、自分のアイデアが必ず成功するわけではありません。新しいことに挑戦する姿を見たいです。また、時にはミスや失敗があってもよいと思います。それは、大胆に行動し、居心地の良い場所から一歩踏み出すことを意味するから重要なのです。大切なのは、同じ失敗を繰り返さないために、常に学び、素早く調整し、うまくいっている分野をより速く進歩させることです。結果が出ないのに何とかしようとするサイクルに陥ってはいけません。

貢献するのであれば、必ずやり遂げなければなりません。私がこれまでのキャリアで役立ったと思うことの一つは、チームを前進させるためにどんな仕事でも恐れずやり抜くことです。10代の頃、ベーグルベーカリーで働いたことがあります。アランという上司がいて、「この辺のゴミを皆で空にするんだ」と常々言っていました。どんな仕事も誰のものでもなく、皆で力を合わせて頑張っていたのです。Red Hat ではどのような肩書きを持っていようとも、常に積極的に重い仕事をするようにしなければなりません。Red Hat はスクラッピーであることによってRed Hat になったのですから、「この辺のゴミを皆で空にするんだ」というメンタリティーを保つ必要があります(アランさん、ありがとう)。

可能性を実現する

また、私たちは、好奇心を持ち続けなければなりません。私たちの周りの世界に対する好奇心を持ち続け、常に次の課題を求め、思いもしない場所にあるかも知れない可能性に目を光らせる必要があります。オープンソース・コミュニティには、誰が最も影響力のある貢献者であるかを決定する明快なシステムがありますが、そのシステムで予想される人の多くは、必ずしも最も声の大きい人や一般的に予想されるような人ではありません。

幾度となく、私は人々が持つ、信じられないような可能性に感銘を受けました。オープンソースの経験がない社員を採用した結果、彼等が世界で最も影響力のあるオープンソース・エンジニアに育つのを見てきました。規模の拡大とともに、人材にせよ新しいプロジェクトにせよ、可能性に賭けることが重要になってきます。採用にあたっては、カルチャーフィットではなくカルチャーアドを求めるべきです。そうした情熱を見つけ出し貢献を奨励することで、この会社を、誰もが歓迎され成功できる場所にしていきましょう。

これらの価値観を受け入れることで、優位性を得るために必要なチーム力を手に入れることができますが、プレイブックにも多少の改良が必要でしょう。市場にはあらゆるチャンスがあり、それを捉えようと、ますます多くのことをやり始めてしまいがちです。

むしろ、私たちは今、シンプルになるための旅において絶好の時期にいると思います。シンプルであること、そして集中することにこそ力があります。当社の戦略は、オープンなハイブリッドクラウドを提供することです。そのためには、オンプレミス環境からクラウドサービス、エッジに至るまで、お客様の成功を実現するプラットフォームを提供する必要があります。これらの分野で提供するものを可能な限りシンプルにするためにプレイブックを改良し、そのシンプルさによって、すべての活動においてクラス最高になれると信じています。

このシンプル化において、Red Hat の価値の核心、つまり他社にはないものをお客様に提供することを再活性化させたいと考えています。私たちは、オープンソース・ソフトウェアでお客様を成功に導きます。

成功という言葉の後で止まってしまうことがありますが、「オープンソース・ソフトウェアで」という部分が最も重要なのです。世の中にはたくさんのオープンソース・ソフトウェアがあり、確かに市場は当初より混雑しています。しかし、それは、オープンソースの力が世界を変えることを示すという、私たちが目指したことが達成されているからです。

オープンソースは今やソフトウェア業界のイノベーションの原動力として確固たる地位を築いており、Red Hat はエンタープライズ・オープンソースのリーダーなのです、以上。当社の右に出る企業はありません。その尊敬される地位を獲得し続け、お客様を成功に導くオープンソース・イノベーションを提供するため、自らを奮い立たせていきます。

私は、皆さんと一緒に仕事をするためにここにいます。一緒により一層気合いを入れて、これらの価値観を受け入れて目の前にあるチャンスを掴んでいきましょう。


執筆者紹介

Matt Hicks was named President and Chief Executive Officer of Red Hat in July 2022. In his previous role, he was Executive Vice President of Products and Technologies where he was responsible for product engineering for much of the company’s portfolio, including Red Hat® OpenShift® and Red Hat Enterprise Linux®. He is one of the founding members of the OpenShift team and has been at the forefront of cloud computing ever since.

Prior to joining Red Hat 16 years ago, Hicks served in various roles spanning computer engineering, IT, and consulting. He has worked with Linux and open source for more than 25 years, and his breadth of experience has helped him solve customer and business problems across all areas of IT.

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