ソブリンクラウドに対する Red Hat の取り組み：お客様のクラウドに合わせてルールを作る

現在のデジタル世界において、主権は最優先事項です。デジタル資産、データ、運用、テクノロジー、およびサプライチェーンの制御とセキュリティに関する懸念が高まる中、組織は自社の戦略を見直し、より高い独立性と自律性を求めるようになっています。これは、公共部門の組織、医療機関、公益事業、金融サービス企業など、重要なインフラストラクチャを監督する組織にとっては特に重要です。これらの組織では、機密データとエッセンシャルサービスが現地の法律に準拠し、干渉や障害から保護されるという保証が必要とされます。その結果、ソブリンクラウドとデジタル主権は、単なるコンプライアンス要件からビジネス上の基本的な必須要素へと進化し、レジリエンスと適応性が強化されています。

エンタープライズ・オープンソース・ソリューションの世界有数のプロバイダーである Red Hat は、組織がオープンソースを基盤としてハイブリッドクラウドの柔軟性を活用し、真のデジタル主権を実現できるよう支援します。当社の取り組みで重視していることは、ソブリン環境に必要な制御性、信頼、レジリエンスをお客様に提供することです。具体的には次のとおりです。

1. オープンソースソフトウェアにより、透明性と信頼の基盤を提供する
2. 柔軟なオープン・ハイブリッドクラウド・アプローチにより、制御と選択を可能にする
3. 重要なインフラストラクチャの堅牢な保護、オペレーショナル・レジリエンス、安定性を実現する
4. 現地パートナーの強力なエコシステムの構築とコラボレーションを継続する
5. ソブリン AI ワークロードの未来を解き放つ

それぞれの取り組みを見ていきましょう。

1.当社の取り組み：オープンソースソフトウェアにより、透明性と信頼の基盤を提供する

Red Hat のオープンソース開発モデルは、コミュニティのコラボレーションと厳格な審査によって推進され、ソブリン環境に不可欠な、レジリエンスと透明性のあるソフトウェア基盤を最適化します。オープンソースはデジタル主権の要であり、プロプライエタリー・ソリューションには欠如していることの多い透明性を提供すると同時に、継続的なイノベーションを促進します。このように透明性が内在しているため、堅固なセキュリティ・プラクティスが育成され、法令順守の促進、信頼の構築、監査プロセスの効率化が実現します。

Red Hat の取り組み：Red Hat は、エンタープライズグレードの強化、プロアクティブなライフサイクル管理、迅速なサポートを通じてオープンソースの透明性という約束を果たし、ソブリン運用に不可欠な自律性とレジリエンスを組織にもたらします。

オープンソースに深く根ざした Red Hat は、信頼できるサプライチェーンを育成し、セキュアな開発プラクティス、強力な構築プロセス、堅牢なパッケージング、透明性のある配布を通じて、リスクを積極的に緩和します。これらの要素は継続的な監視と検証によって補完されます。Sigstore や Red Hat Trusted Application Pipeline などの取り組みは、このコミットメントを明確に示すものです。たとえば、Sigstore への投資は、お客様やパートナーに対して、改ざん防止機能のあるデジタル署名されたソフトウェアを、その明確な出所とともに提供するという当社のコミットメントを表しています。オープンソース・ソリューションの採用は、ソブリンクラウドの取り組みにおいて真の技術的面での自律性と長期的な実行可能性を求める組織にとって、戦略的に不可欠です。

2.当社の取り組み：柔軟なオープン・ハイブリッドクラウド・アプローチにより、制御と選択を可能にする

Red Hat の柔軟なデプロイメントモデルは、ソブリン主導の市場に対応する組織にとって障壁を打ち破るものとなり、これまでにない選択と制御が可能になります。Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド・アプローチにより、独自のデータセンターからソブリンクラウド、インテリジェントエッジに至るまで、あらゆるアプリケーション、あらゆるワークロードをどこにでもデプロイできるようになります。Red Hat のアプローチの根幹は、お客様の選択と制御性を重視し、多様なクラウド環境にわたって一貫性を提供することです。

当社の取り組み：オンプレミスのデータセンターでもクラウドでも、お客様が任意の場所で Red Hat ソフトウェアを使用できるようにします。この固有の柔軟性により、組織はデータ、運用、テクノロジーを確実に制御できます。

C レベルの経営幹部にとって、ハイブリッドまたはマルチクラウド戦略は単に推奨されるというだけでなく、単一ベンダーに伴うリスクを軽減し、ベンダーロックインに対処するための将来性のある投資を行い、重要なインフラストラクチャ、ワークロード、データの場所を確実に管理するために、戦略的に必要なものです。Red Hat のプラットフォームは、マルチクラウド・デプロイメント向けに設計されており、重要な運用要件とデータレジデンシー要件に対応しています。Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド・プラットフォームでのワークロードの可搬性により、さらに確実性が向上し、組織はさまざまなクラウドプロバイダー間や独自のオンプレミス環境間でワークロードを容易かつ迅速に移行できるため、進化するソブリン要件とオペレーショナル・レジリエンスに迅速に対応できます。また、Red Hat Ansible Automation Platform を使用すると、この移行と環境の再プロビジョニングを自動化できるため、さらに優れたアジリティと制御性が実現します。Red Hat ソフトウェアをインフラストラクチャ、ローカルのクラウドプロバイダー、または信頼できるパートナー環境にデプロイすることで、組織はワークロードの可搬性とシステムの相互運用性をさらに高めながら、固有のソブリン要件を満たすために必要な適切なテクノロジーを選択するアジリティを獲得できます。

3.当社の取り組み：重要なインフラストラクチャの堅牢な保護と運用安定性を実現する

Red Hat のテクノロジーはデジタル主権を強化するための基礎であり、データの可用性と重要なインフラストラクチャの安定性を実現するとともに、EU のデジタル・オペレーショナル・レジリエンス法 (DORA) やカナダの金融機関監督庁 (OSFI) などの規制に直接対応します。また、Red Hat は、サイバーレジリエンス法 (CRA) などの最近採用された規制にお客様が準拠できるように、暗号化して署名され、出所の確認されたソフトウェアを提供します。

当社の取り組み：お客様のソブリン戦略の実装、セキュリティの強化、組織のレジリエンス強化をサポートします。Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド・ポートフォリオとパートナーエコシステムの深い専門知識を組み合わせることで、堅牢なソブリン・ソリューションに必要な適応性と柔軟性がもたらされます。これはコア・インフラストラクチャ、ビジネス継続性機能、ソフトウェア・サプライチェーンの強化に役立ち、これら全体によって組織のレジリエンスが高まります。

4.当社の取り組み：現地パートナーの強力なエコシステムの構築とコラボレーションを継続する

ソブリンクラウド戦略の成功には、戦略的パートナーシップが不可欠です。Red Hat は、世界各地のクラウドプロバイダーの活発なエコシステムとの強力なコラボレーションを育成してきました。これは、各地域で専門知識を育成することに対する当社のコミットメントを証明するものです。

当社の取り組み：Red Hat は、ローカルおよび地域のパートナーのエコシステムを積極的に拡大し、深化させています。これにより、お客様にソブリンクラウドの幅広い選択肢をさらに提供できるようになります。

真の主権には、単なるデータレジデンシーを超えて、運用と基盤となるテクノロジーの両方をお客様自身が制御できることが求められます。Red Hat のソリューションは、次のような中核的なソブリン機能を強化します。

• インフラストラクチャ：国内のインフラストラクチャを活用して、コンピューティング、ストレージ、ネットワークの各リソースを完全に制御できます。また、ローカルにアベイラビリティゾーンを確保することでレジリエンスを維持できます。
• 運用：環境の運用、管理、およびサポートに対する自律性を維持できます。
• テクノロジー：幅広いコミュニティで開発されたソースコードへのアクセスと制御により、単一ベンダーに依存するリスクを低減できます。
• 保証：国内のルール、ポリシー、フレームワークに基づいて、環境の整合性、セキュリティ、コンプライアンスを独立して検証することができます。

地域のクラウドプロバイダーは、その地域にデータセンターを持ち、機密性の高い分野に深く根付いており、Red Hat のサービスを厳格なソブリンクラウド要件に合わせて調整する上で重要なパートナーです。Red Hat はパートナーとのコラボレーションに引き続き尽力し、ソブリン・ソリューションのための公平な基盤を提供します。この緊密なコラボレーションにより、地域のシステムインテグレーターと独立系ソフトウェアベンダー (ISV) は、地域の要件に合わせたサービスとソリューションを構築することができます。Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド・プラットフォームとパートナーの深い専門知識という強力な組み合わせは、ソブリン環境でクラウドのようなエクスペリエンスを提供するための基礎となります。

5.当社の取り組み：ソブリン AI ワークロードの未来を解き放つ

AI の未来は、データの原則、運用および技術的な主権と関連しています。オンプレミスであろうとソブリンクラウド環境内であろうと、専用のインフラストラクチャに AI プラットフォームをデプロイすることで、重要な制御レイヤーが提供され、主権に関する主な要件に対処できます。

当社の取り組み：Red Hat のプラットフォームは、お客様のソブリン要件に対応する準備が整っており、重要なツールとアーキテクチャを提供します。これらのツールとアーキテクチャにより、お客様は制御を維持し、厳格なセキュリティ標準を満たし、お客様固有のガバナンスポリシー、または EU の AI 法やシンガポールにおける生成 AI のためのガバナンスの枠組みモデルが提供するガイダンスなどの規制に準拠した AI ワークロードをデプロイすることができます。

戦略的必須事項

デジタル主権はコンプライアンスを超越します。その本質は力を与えること (エンパワーメント) です。つまり、デジタル化の未来を形作るために、情報に基づいて独立した決定を行える自律性を組織や国家に与えることです。高度なデジタル主権アプローチにより、企業はアップストリームにさらに貢献し、オープンソースのイノベーションを推進する世界中の何百万人ものコントリビューター、ユーザー、開発者からなるコミュニティとコラボレーションすることができます。堅牢なオープンソースのルーツ、アジャイルなオープン・ハイブリッドクラウド・ポートフォリオ戦略、活発なパートナーエコシステムを持つ Red Hat は、お客様がソブリンクラウドの複雑さを乗り越え、今日のダイナミックなグローバル環境における持続的な成功に不可欠なオペレーショナル・レジリエンスとデジタル主権を実現できるよう支援することに尽力しています。