Linuxコンテナ、Kubernetes、人工知能、ブロックチェーン、その他非常に多数の技術的ブレークスルーを列挙すると、すべてに共通するひとつの構成要素があります。20年近くにわたってミッションクリティカルな実運用システムを推進してきたのはLinuxです。本日、私たちはイノベーションを促進し将来に及ぶビジネスITの拡張と変革を実現するLinuxの基盤というビジョンを提示します。Red Hat Enterprise Linux 8 Betaの登場です。

今日、エンタープライズITは歴史上最も早いペースで進化しています。このような状況の中、データセンターからマルチ・パブリッククラウドまですべての実装基盤に対応し、組織のあらゆるワークロードの要件を満たして任意のアプリケーションをどこにでも配布することを可能にする、共通の基盤が必要となっています。

Red Hat Enterprise Linux 8 Betaで、私たちは新しいエンタープライズITの世界と現在のIT環境の両方に共通する基盤の提供を目指しました。この世界をリードするエンタープライズ向けLinuxプラットフォームの新しいバージョンは、ハイブリッドクラウド全体にわたるデジタル変革戦略の促進に貢献し、組織はそこでLinuxコンテナやKubernetesのようなイノベーションを使用して差別化された製品とサービスを提供することになります。それと同時に、Red Hat Enterprise Linux 8 BetaではITチームが既存のテクノロジー投資を最適化し付加価値を引き出すことを可能にし、イノベーションに対する需要と安定性および生産性との橋渡しに寄与します。

Red Hat Enterprise Linux 7がオペレーティング・システムを再定義してから4年間、ITの世界は大幅に変化し、Red Hat Enterprise Linuxはそれに応じて進化してきました。Red Hat Enterprise Linux 8 Betaでは、オペレーティング・システムがITイノベーションの実現にどのように寄与するかの基準を再び定義します。Red Hat Enterprise Linux 8 Betaは、数百の改良点と数十の新機能を備えるとともに、既存の実運用システムを混乱させることなくデジタル革新を推進し、ハイブリッドクラウドの採用を促進するために役立つプラットフォームとなるように設計された、いくつかの重要な機能を導入しています。

Red Hat Enterprise Linux 8 Betaではアプリケーション・ストリームの概念を導入し、ユーザー空間パッケージの提供をよりシンプルかつ大幅に柔軟化しています。ユーザー空間コンポーネントはコア・オペレーティング・システム・パッケージよりも迅速に、オペレーティング・システムの次のメジャーバージョンを待つことなくアップデート可能になります。たとえばインタープリター言語やデータベースなど、同じパッケージの複数のバージョンも、アプリケーション・ストリーム経由でインストール可能になります。これは、プラットフォームや特定のデプロイメントの基本的安定性に影響を与えることなく、俊敏性を強化しユーザーカスタマイズされたRed Hat Enterprise Linuxを提供するために役立ちます。

コア・アーキテクチャの再定義に加えて、Red Hat Enterprise Linux 8 Betaは以下の点も強化しています。

ネットワーキング

Red Hat Enterprise Linux 8 Betaでは、IPVLANを通したコンテナ内のLinuxネットワークの効率化をサポートし、スループットとレイテンシへの影響を最小限に抑えながら仮想マシン(VM)内に階層化されたコンテナをネットワーク・ホストに接続することができます。また、ストリーミング・ビデオやホステッドストレージなどのインターネット接続されたサービスの高性能化、遅延の最小化、およびパケットロスの減少を実現するBBRBottleneck Bandwidth and Round-trip propagation time)輻輳制御を備えた新しいTCP/IPスタックも含まれています。

セキュリティ

これまでのRed Hat Enterprise Linuxのすべてのバージョンと同様、Red Hat Enterprise Linux 8 Beta ではコードの強化とセキュリティ修正を、Red Hatの全体的なソフトウェアの専門知識による裏付けとともにエンタープライズユーザーに提供します。Red Hat Enterprise Linux 8 Betaで、私たちはハイブリッドクラウド全体にわたりデフォルト状態でよりセキュアなオペレーティング・システム基盤の提供を目指しています。

OpenSSL 1.1.1TLS 1.3の両方がRed Hat Enterprise Linux 8 Betaでサポートされ、このプラットフォーム上のサーバー・アプリケーションは顧客データの暗号保護に関する最新の規格を使用できます。システム全体の暗号ポリシーも含まれており、特定のアプリケーションの変更や調整を必要とせずに、ひとつのプロンプトから暗号コンプライアンスをより容易に管理できます。

Linuxコンテナ

Red Hatは、Red Hat Enterprise Linux 7でLinuxコンテナに対するエンタープライズ・サポートの導入という基準を定義しました。現在、Linuxコンテナはデジタル変革に不可欠な構成要素となって、より可搬性と柔軟性の高いエンタープライズ・アプリケーションへのロードマップを提供しており、Red HatはRed Hat Enterprise Linux 8 Betaでもこの動きの最前線にいます。

Red Hatの軽量、オープンスタンダード・ベースのコンテナツールキットが完全サポートされ、Red Hat Enterprise Linux 8に含まれました。エンタープライズITのセキュリティニーズを念頭に構築されたBuildah(コンテナの構築)、Podman(コンテナの実行)、およびSkopeo(コンテナの共有/発見)は、分散型でデーモン不要という各ツールの性質を活かし、開発者がコンテナ化されたアプリケーションをより迅速かつ効率的に発見、実行、構築、および共有するために役立ちます。

システム管理

企業データセンターにおけるLinuxの増加に伴って、管理職や、しばしば新人のシステム管理者が、複雑なシステム実装形態の管理や、自分たちの得意分野ではない困難な作業の実施を迫られています。Red Hat Enterprise Linux 8 Betaでは、あらゆる経験レベルのシステム管理者にとってこれらの業務をより容易にすることを目的で、いくつかの日常的操作の改良を導入しており、その筆頭がRed Hat Enterprise LinuxWebコンソールを通した単一かつ一貫性のあるユーザーコントロールパネルです。これによって、仮想マシンを含むRed Hat Enterprise Linuxサーバーをローカルおよびリモートからより容易に管理できるシンプル化されたインターフェースが提供されます。

Composerは、新人だけでなく経験豊富なRed Hat Enterprise Linuxユーザーの両方が、物理および仮想環境からプライベートおよびパブリッククラウド・インスタンスまで、ハイブリッドクラウド全体にわたるカスタム・イメージの構築とデプロイをより容易に行えるようにします。分かりやすいグラフィカル・インタフェースを使用して、Composerはパッケージおよびデプロイ可能イメージ作成のプロセスの利用をシンプル化します。これによって、ユーザーは、仮想マシンやクラウド環境を含む各種のデプロイメント・モデル向けに、最小限のフットプリントから特定目的に最適化されたものまで、Red Hat Enterprise Linuxベースのイメージをより簡単に作成できます。

Yum 4は、Red Hat Enterprise Linuxに含まれるYumパッケージ・マネージャーの次世代バージョンで、性能の高速化、インストールの依存性の削減、および特定のワークロードの要件に応じたパッケージ・バージョンの選択肢の拡大を提供します。

ファイルシステムとストレージ

Red Hat Enterprise Linux 8 Betaで新たに導入されたStratisは、より高度なデータ管理を実現するボリューム管理ファイルシステムです。Stratisは、データ管理に伴う複雑性をAPIによって抽象化することで、基底の詳細に関するシステム管理者の理解を必要とせずにこれらの機能を実現し、より高速で効率的なファイルシステムを提供します。

ファイルシステムスナップショットは、仮想マシンのコピーといったファイルレベルの作業をより迅速に行う方法を提供するとともに、データが変化した場合にのみ新しいストレージを消費することでスペースを節約します。LUKSv2のサポートによるディスク上のデータの暗号化とNetwork-Bound Disk Encryption(NBDE)の組み合わせによって、より強固なデータセキュリティと、暗号化されたデータへのよりシンプルなアクセスが実現します。

未来を試す

私たちは、Red Hat Enterprise Linux 8 Betaが将来のITの基盤になる理由を皆さんにお話ししたいだけではありません。皆さんにそれを体験して頂きたいのです。現行のお客様は、ぜひRed Hat Enterprise Linux 8 Betaをご自分の手でお試しになり、アプリケーションをより柔軟に、より自信を持って、より制御された形でデプロイできることを実感してください。開発者の皆さまは、Red Hat Developer Program を通して、世界をリードするLinuxプラットフォームの将来を目にすることができます。Red Hat Enterprise Linuxを使うのが初めての皆さまは、Red Hat Enterprise Linux 8パブリックベータのダウンロードサイトで、READMEファイルに記載されたソフトウェアのダウンロードおよびインストール方法の説明をお読みください。


執筆者紹介

In her role as Senior Vice President, AI Innovation Hub, Stefanie Chiras leads Red Hat's strategy for engaging with and catalyzing regional AI ecosystems. The initiative's first and primary focus is the Massachusetts AI innovation hub. As a key part of this engagement, she will lead Red Hat's contribution to creating The Open Accelerator, a new AI accelerator for startups. Success in Massachusetts will serve as the model for scaling into additional collaborations.

This mission directly leverages her previous experience as Senior Vice President, Partner Ecosystem Success. In that role, she was responsible for building strong collaborations with and between partners across Red Hat’s global ecosystem. Chiras now applies this proven blueprint for ecosystem building to the AI Innovation Hub, fostering the critical relationships that will power the next generation of AI.

Earlier in her career at Red Hat, Chiras was Senior Vice President and General Manager of the Red Hat Enterprise Linux organization, where she was responsible for the entire product line.

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