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最近 Red Hat のお客様との会話で、AI の会話になると、私は自分が「小さなことは素晴らしいこと (small can be beautiful)」というスローガンに繰り返し言及していることに気づきました。 

何を伝えようとしているかを説明させてください。AI については、大きく考えることは確かに問題ではありません。このテクノロジーがもたらす可能性は極めて大きなものだからです。お客様がこのようなチャンスを掴むために野心的な計画を立てるのは当然のことです。 

実際、世界最大級の統合エネルギー・化学企業の 1 社である Aramco は、このような機会を Red Hat とともに検討しているところです。覚書の内容に基づいて、AI が地域の人材のトレーニングとスキル開発の取り組みをどのように提供できるかを共に検討していきます。これは、たとえば AI によってインフラストラクチャ・ツールのパフォーマンスとリソース使用率を向上させる方法、コンテナ化アプリケーションのサイバーセキュリティ対策を向上するための新しい戦略などの他の機会と並行して検討されています。

同時に、多くの企業は、焦点を絞り込み、小さく考えることで AI で短期間での成功を収めているのも目にしています。これらの企業に共通しているのは、職場での非常に具体的な課題に重点を置いていることであり、小規模言語モデル (SLM) を使用してこの課題に取り組んでいます。 

AI の文脈では、「小さい (small)」という言葉は相対的なものです。大規模言語モデル (LLM) のパラメーター数は数千億から数兆に及びますが、SLM のパラメーター数は依然として数百万から数十億です。つまり、それほど小さくないということです。そのため、私は SLM を焦点言語モデル (FLM) と考えることを好みます (新しい用語を作ることが許される場合)。 

SLM はその規模を考慮した場合、微調整によって容易にカスタマイズでき、業界固有、または企業固有の専門知識に関連した限定的なデータセットでトレーニングされます。このアプローチを採用することで、スマートな企業の従業員はビジネス上の問題をより迅速に解決できるようになり、さらに、自らや同僚も直面している他のビジネスプロセスのボトルネックに対して AI をどのように活用できるかについてのより多くの知見を「得る」ことができます。

いずれにしても、SLM は特定の特化したドメインに優れています。たとえば、金融サービスプロバイダーは、規制データでトレーニングされた SLM を使用して、非準拠の取引を見つけることができます。医療提供者は、医療データセットでトレーニングされた SLM を利用したチャットボットを使用して、患者の症状に関する質問への応答にドメイン固有の知識を挿入できます。 

これは、非常に効率的なアプローチです。SLM は、意図されたユースケースに直接関連しないデータでトレーニングする必要がないためです。また、余計な情報に埋もれてしまう必要はありません。さらに SLM は、幅広いトピックに関する広範なクエリを解釈し、これに応答することは期待されていません。 

これを行うのは LLM であり、その目まぐるしいほどの複雑さと膨大なリソースはよく知られています。これに対して、SLM のトレーニングと微調整にかかる時間は短く、ハードウェア要件ははるかに少なく、誤った回答や無関係な回答を返す傾向は大幅に減少します。

AI でスキルギャップをカバーする

2025 年に、私たちが直面するビジネス上の問題の多くに対処する上で SLM は重要な役割を担ってくれているように思われます。すぐに思い出せる例として、永続的なスキルの危機を挙げます。これは、急速に高齢化している欧州の労働人口の高齢者が定年退職を迎えるにつれて悪化します。 

SLM は、法律や規制に関する文書の解析や、特定の製品やサービスに関して繰り返し発生する苦情の兆候に関する顧客フィードバックの分析など、長年勤務している知識豊富な従業員が実行する一部のタスクに対処する上で役立つ場合があります。エンジニアリング・スキルが懸念される場合も、SLM をデプロイして、機械や設備に設置されたセンサーやスマートデバイスから収集したデータを分析して、メンテナンスの必要性を予測することができます。 

つまり SLM は、企業が 2025 年に AI を活用して重要な一歩を踏み出すための良い手段になる可能性があり、効率的でアクセスしやすく、高度なカスタマイズが可能で活用され、取り組みによる成果をより迅速に実現できる可能性があります。 

一方、オープンソース・テクノロジーを使用すると、協業作業を通じてオープンに開発されたテクノロジーを使用することで、そのエクスペリエンスをさらに最適化できます。これは、AI プロジェクトを最初の原則から始める必要がなく、他のチームが SLM で経験した知見や課題を活かせるということを意味します。 

さらに、自社固有のデータと知識に基づいてトレーニングされ、高度に調整され、かつ完全にニーズを満たす仕方でビジネス上のユースケースをサポートする独自の専用 SLM を構築できる柔軟性を得ることができます。 


執筆者紹介

Hans Roth is senior vice president and general manager for Europe, Middle East, and Africa (EMEA) at Red Hat where is he focused on developing and executing the company’s business strategy across EMEA including commercial, enterprise and channel sales, professional service, telecommunications, media and entertainment, consulting and training services, marketing, legal and people team functions. 
 
Roth has held previous EMEA and global leadership roles at Red Hat. He led the company’s EMEA services business between 2016-2019, before being promoted to senior vice president and general manager of Red Hat’s global services and technical enablement division where he was responsible for a global organization of more than 2,000 professionals across consulting and training services, as well as technical and business partner enablement. 
 
Prior to joining Red Hat he was vice president of the service delivery unit for Hewlett-Packard Enterprise for central Europe, and for 20+ years held leadership roles in business process management, IT strategy, system integration and strategic outsourcing.
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