オープンソース・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするレッドハット株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長、岡 玄樹、以下レッドハット)は本日、Red Hat APAC Innovation Awards 2021 日本における受賞団体を発表しました。株式会社日立製作所、株式会社三越伊勢丹ホールディングス、東日本電信電話株式会社、そして東京海上日動システムズ株式会社および東京海上日動火災保険株式会社は、Red Hatソリューションを活用したデジタル・トランスフォーメーション・ジャーニーとイノベーションにより、本日Red Hat APAC Forum Virtual Experienceにおいて表彰されました。
オープンソースは、インフラストラクチャのモダナイズ、アプリケーション開発、デジタル・トランスフォーメーションを支援することで、引き続き企業のイノベーションの原動力となっています。Red Hatの最新レポート「エンタープライズ向けオープンソースの現状」によると、同地域のITリーダーの92%が現在エンタープライズ向けオープンソースを利用しており、世界平均の90%を上回っています。
Red Hat APAC Forum Virtual Experienceは、「Open Your Perspective」をテーマに、オープンソースを利用してレジリエンスを構築し、変革目標を達成し、ビジネスを推進するよう組織に促すことを目指しています。今年のRed Hat APAC Innovation Awardsは、独創的な考え方、確固たる問題解決、Red Hatソリューションの独創的な利用を実証するアジア太平洋地域の24組織の技術的成果を評価しています。
受賞団体は、Red Hat テクノロジーのデプロイメントがビジネス目標、企業文化、業界、コミュニティに与える影響や、プロジェクトのビジョンの独自性に基づいて選出されました。オープンソースのツールと文化が、将来の課題や新たなトレンドに対しより効果的に取り組む力を与え、生産性、俊敏性、コスト削減の改善にいかに役立ってきたかを示しました。
今年の賞は、デジタル・トランスフォーメーション、ハイブリッドクラウド基盤、クラウドネイティブ開発、自動化、レジリエンス(回復力)という5つのカテゴリーで構成され、日本における受賞団体は下記の通りです。
受賞カテゴリー:ハイブリッドクラウド基盤およびクラウドネイティブ開発
受賞団体:株式会社日立製作所
日立製作所(以下、日立)は、創業以来110年以上蓄積したモノづくりの技術に加え、制御・運用技術のノウハウと、基幹系システムなどに取り組んできた情報技術の蓄積があります。これらを組み合わせ、データから価値を生み出すソリューションやプラットフォームを提供し、あらゆる業種のお客様の「困りゴト」をデジタルで解決することを目指して、2016年にLumada事業を立ち上げました。
日立の強力なシステムインテグレーションを活用したお客様との協創により、データを使ってお客様の業務革新を進めた結果、Lumada事業は既に一兆円を超える規模の事業となっています。そのソフトウェア開発基盤や稼働環境において、Red Hat OpenShiftが採用されています。
今後、量子コンピューターを擬似的に再現して、高速に問題を解く日立独自の計算技術「CMOSアニーリング」を活用したLumadaソリューションのコンテナ稼働環境として活用することを検討しています。
また、日立とRed Hatは、日立のパートナーやお客様に向けて最新の開発手法をコンサルテーションするジョイントチームを立ち上げています。日立においてミッションクリティカルな製品や技術を扱っていたコンサルタントが、Red Hatのチームと一体となって、デジタル・トランスフォーメーションのサービス開発を行い、「アジャイル開発コンサルティングサービス」の展開や、エンタープライズシステムのモダナイゼーションを支援する「マイクロサービステクニカルソリューション」の立上げを実現しています。
受賞カテゴリー:デジタル・トランスフォーメーション
受賞団体:株式会社三越伊勢丹ホールディングス
三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹)は、日本最大規模の小売業グループです。売上高の約8割を占める百貨店業を中心にクレジット・金融・友の会業、不動産業、その他の4つのセグメントで事業活動を行っています。現在、三越伊勢丹は日本全国に百貨店20店舗と中小型店約130店舗、海外は中国・東南アジアを中心に計30店舗を展開しています。
新型コロナウイルスの感染拡大による消費行動の変化に対応するため、三越伊勢丹は350年余りの歴史と実績で培った「接客」をコアに、デジタル化によってさらに質の高い最高の顧客体験の提供を目指し、基幹システムのモダナイズに着手しました。顧客向けDXサービスの提供には、基幹システムにある様々なデータを横断的に活用することが必須です。迅速なデータ抽出や効率的な運用・管理が可能な基盤システムの構築を検討した結果、三越伊勢丹は、Red HatのAPI管理ソリューションであるRed Hat Integration、およびビジネスルール管理ソリューションであるRed Hat Decision Manager を採用しました。この独自のデータ活用プラットフォームである「ビジネス・プラットフォーム」により、顧客、購買、物流、在庫などの既存データを容易に取り込むことができるようになり、顧客向けサービスの迅速な展開ができるようになりました。
例えば、3Dスキャナーを使って足を計測し、そのデータに合った靴をタブレットやスマートフォンでレコメンドするオンライン・シューズ・フィッティング・サービス「YourFIT365(ユアフィット365)」は新たな顧客接点となり、同サービスを利用した計測者数は15,000人を超えました。更に、DevOpsに取り組むことでインフラ構築や運用効率を上げることができ、開発スピードは従来と比べて4倍に向上、保守費は75%削減という効果を上げています。
Red Hatソリューションによるこの新しい基幹システムにより、IT部門とユーザー部門、そして三越伊勢丹の売場スタッフとの連携がよりシームレスになり、商品を購入する際に生じる一連の顧客の行動に沿ってデータを活用して適切な提案を迅速に行えるようになりました。新たにスピードと効率性を手にすることで、三越伊勢丹は、一人一人の個客のつながりや関係性を築きながら従来にないスピード感でデジタル施策を実行し、継続して高品質なサービスを今後も顧客に提供していきます。
受賞カテゴリー:デジタル・トランスフォーメーションおよびハイブリッドクラウド基盤
受賞団体:東日本電信電話株式会社
東日本電信電話(以下、NTT東日本)は東日本地域における地域電気通信事業者として、電話や光インターネット、Wi-Fiといったネットワークサービスやシステムインテグレーションを提供しています。安心・安全なICTの利活用を通じて地域社会が抱える様々な課題の解決を目指す同社は、今後の注力領域として、企業や自治体で稼働するネットワークカメラの増加にあわせてニーズが高まりつつある、AIによる映像解析に着目しました。
NTT東日本は、導入コスト・技術力が障壁となり、使いたい解析機能が手軽に使えないといった昨今の状況を打破すべく、自社のネットワークに接続するだけで、使いたい映像AI解析機能を、簡単・安価に、使いたい分だけ使えるサービス基盤の構築を目指しました。自社で保有する日本最大級のネットワーク、データセンター等の資産を生かして、マルチアクセスエッジ・コンピューティング(MEC)基盤を構築し、そしてその上でサードパーティ製の様々な映像解析アプリケーションを提供することで、全国の顧客がより手軽にAIを利用できるようにするサービスの開発に取り組んでいます。
そしてその中で、迅速かつ頻繁なアプリケーションのリリースサイクルを可能にし、アプリケーションのアジャイル開発を促進する環境を構築するために、Red Hat OpenShiftを利用しました。Red Hat OpenShiftを利用した映像AI解析基盤の構築により、コストを削減しながら、アプリケーションのリリースのスピードを向上させ、高水準のスケーラビリティを実現することができました。
この映像AI解析基盤は現在、企業などのエンドユーザーがAIの力を活用してカメラの映像を解析することに寄与しているほか、混雑検知やその注意喚起を通じて、新型コロナウイルスの感染予防にも寄与しています。
NTT東日本は今後、人材不足に加え、新型コロナウイルスの流行によって困難な状況にある店舗業態の接客・運営支援を目指すサービスのリリースを予定しています。その後、街角や施設のセキュリティーの強化、製品の検査などをテーマに、様々な分野にサービスを拡充し、社会課題の解決ならびにビジネスの可能性を広げる支援を目指していく予定です。
受賞カテゴリー:デジタル・トランスフォーメーション
受賞団体:東京海上日動システムズ株式会社および東京海上日動火災保険株式会社
東京海上グループは、東京海上日動を中心とする国内損害保険事業を始めとし、国内生命保険事業、海外保険事業などを展開する大手損害保険グループです。 デジタル技術の急速な進化や、顧客の要求の変化により、従来の保険会社のビジネスモデルに進化が必要とされている中、同社は、顧客の期待を超え、信頼できる安定的なサービスを提供し、世界で最も信頼される損害保険グループになることを目指しています。
東京海上グループは、顧客ニーズやテクノロジーの変化に迅速に対応すべく、開発スピードの改善やアジャイル開発を一部採用していましたが、ITの開発工程だけにとどまり、期待する成果が得られない状況でした。そこで、アジャイル手法をDXのドライバーとして、IT開発領域だけでなくビジネス部門や経営層まで定着させるため、Red Hat Open Innovation Labsへの参画を開始しました。Red Hat Open Innovation Labsは、集中的な常駐形式の環境で、Red Hatのコンサルタント、エンジニア、対象分野の専門家と密接に連携し、顧客企業におけるビジネス課題を共に解決するサービスです。半年に渡るOpen Innovation Labsにより、東京海上グループのプロダクトオーナーと開発チームはRed Hatコンサルティングサービスの支援のもと、オープンソース・テクノロジーとアジャイル開発のためのベストプラクティスを学びました。
Red Hatのコンサルティング支援から僅か半年後には、経営判断の下、エンタープライズアジャイルに取り組むための枠組み、予算、工数の付与、組織体制やプロセスの整備を実現させ、年間で9つの新しい保険サービスを最短で4ヶ月程度で実現し、ビジネス全体のアジリティが向上しました。
本プロジェクトを通し、東京海上グループはアジャイルへの理解だけでなく、その実践が企業文化の変革そのものであるという理解を浸透させ、グループ全体でアジャイルな経営への取り組みを進めています。更に世界のグループ企業の経営層にも、Red Hatのアジャイル研修をはじめとした支援を広げる予定です。
サポートコメント
Red Hat アジア太平洋地域担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー マリエット・アンドリーセ
「2021年は引き続き不確実性の高い1年となりましたが、アジア太平洋地域の組織はオープンソース・テクノロジーを活用して、デジタル・トランスフォーメーションをより素早くかつ効果的に実現し、ビジネスの可能性をより多く創出しています。ハイブリッドクラウド、データ・アナリティクス、エッジ・コンピューティング等のテクノロジーを活用して、変化する市況に対応し、カスタマー・エクスペリエンスを向上させています。今年の受賞団体にお祝いを申し上げます。Red Hatのお客様が現在直面している多くの現実の課題に取り組み、ビジネスの未来を切り開くお手伝いをするために、お客様とご一緒に取り組むことを楽しみにしております。」
株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 事業主管 加藤晋弘氏
「今後、日立のLumada事業は海外にさらに広がっていきます。特に、北米のインダストリー分野における古いインフラの更新需要や、インドのデジタルリソースを活用した事業展開を進めていきます。また、情報技術はもちろん、鉄道車両や医療機器まで、さまざまな分野でデジタル技術による付加価値を高め、新たなLumadaソリューションを創出していきます。オープンソースのコミュニティと強力に連携し、グローバルにビジネス展開されているRed Hatの高品質な製品、サービス、そして「オープン」を企業理念とするビジネス戦略には、これまで同様、今後もパートナーとして多くを期待するところです。」
株式会社三越伊勢丹ホールディングス 執行役員 情報システム統括部長 三部智英氏
「パンデミックを機に小売業界のデジタル化が進み、大手百貨店として、質の高い顧客サービスの継続的な提供を確保しながら、ビジネスの俊敏性を実現するプラットフォームが必要でした。Red Hatのテクノロジーは、リアル店舗とインターネット、アプリなどのデジタル技術を互いにシームレスにつなぎ、常に変化する経済環境や顧客ニーズに素早く対応するためのサービス開発に役立ちました。今後も、デジタル技術を活用し、強化・拡大することで、これまでにない「最高の顧客体験」を実現していく強力なパートナーとして、Red Hatとは今まで以上にタッグを組み、お客様向けだけでなく、従業員や様々な取組先の課題解決に至るまで幅広くご支援いただきたいと思います。」
東日本電信電話株式会社 常務執行役員 ビジネス開発本部長 中村 浩氏
「日本の電気通信事業者として、特にリモートワークの急増と世界的なロックダウンの中では、イノベーションとデリバリーのスピードは最優先事項です。Red Hatソリューションにより、オンプレミスのレガシーシステムの障壁を克服し、映像AI解析機能の活用を促進する新たなサービス基盤を構築することができました。このサービス基盤は、小売店舗における接客支援や人流分析支援をはじめとして小売業態の顧客だけでなく、幅広い地域社会にもメリットをもたらしています。」
東京海上日動火災保険株式会社 常務取締役 原田晋氏
「当社のDXは、色々なアイデアをトライ&エラーで進める実行フェーズに入っています。ここまでくる中で、Red Hatの支援を受けた「本気の」アジャイルの導入が大きな役割を果たしています。DXは単なる技術論ではなく、組織と人の意識改革が必要です。真に継続的なDXを実現可能にするには、ビジネス提供に仮説検証型であるアジャイルマインドが完全に根付き、企業文化、人材等の観点でもDo アジャイルでなく「Be アジャイル」が当たり前となることが重要であり、その観点で今後も経営として関与を深め、柔軟性と適応力に優れた組織へと変革を推進していきます。」
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エンタープライズ向けオープンソースソフトウェア・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするRed Hatは、コミュニティとの協業により高い信頼性と性能を備えるLinux、ハイブリッドクラウド、コンテナ、Kubernetesなどのテクノロジーを提供しています。お客様の新規および既存のITアプリケーションの統合、クラウドネイティブ・アプリケーションの開発、業界をリードする当社のオペレーティング・システムによる標準化、および複雑な環境の自動化/セキュリティ確保/管理をお手伝いします。受賞歴を誇るサポート、トレーニング、およびコンサルティング・サービスにより、Red Hatはフォーチュン500企業に対する信頼すべきアドバイザリーとなっています。クラウドプロバイダー、システムインテグレーター、アプリケーションベンダー、お客様、およびオープンソース・コミュニティの戦略的パートナーとして、デジタルの未来に備えるための準備を支援します。
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