産業分野のチームは、工場現場、物流拠点、遠隔地でのオペレーション、ロボットを駆動するインテリジェンスとしてなど、重要な場所への AI 導入を積極的に検討しています。しかし、そうしたプロジェクトの多くは、パイロットフェーズから先に進むことができずにいます。主な障害が AI モデル自体であることは、ほとんどありません。多くの場合、課題はエッジ環境の現状に関連するものです。エッジ環境は、限られたリソース、不安定な接続性、アクセスが困難なシステムなどで特徴付けられ、多くの場合、現地での技術サポートを受けることはできません。 

Red Hat Device Edge は、ファーエッジのワークロードとデバイスに運用の一貫性をもたらすことで、この問題に対処します。Red Hat Device Edge は、一貫性と柔軟性を備えたオペレーティングシステムである Red Hat Enterprise Linux と、Red Hat OpenShift のエッジ機能をベースに構築された軽量の Kubernetes コンテナオーケストレーションのソリューションである MicroShift の Red Hat ビルドを組み合わせることで、これを実現します。お客様はこの基盤を活用して、AI をパイロット段階から実運用へと進めることができます。しかし、そのためには 1 回限りの統合ではなく、再現可能なシステム構築の手法が必要です。Red Hat と Intel は、エッジ AI 向けの構築に使用できるツールを提供しています。産業用エッジ AI に対するこのスケーラブルなアプローチは、次のようなパイプラインの構成を取ります。

  1. リファレンスアーキテクチャ (RA) は、コンピュート、アクセラレーション、ソフトウェアスタック、運用モデルといったデプロイメントクラスの構成要素と方法を定義します。
  2. Verified Reference Blueprint (VRB) は、アーキテクチャを検証済みの手法へと変換します。これは、ハードウェアと基盤ソフトウェアの特定の構成をテストおよびベンチマークすることで、結果の予測を可能にするものです。Intel は、ハードウェアやソフトウェアの選択肢を評価する際の時間、労力、コストを削減し、システムの結果の再現性を高めるために、VRB を公開しています。 
  3. Intel Edge AI Suites は、最終工程に必要なものまでを包括的にパッケージ化します。これにはドメイン指向のリファレンスアプリケーションと再利用可能なビルディングブロックが含まれ、チームは実際のデプロイメントをより迅速に行えるようになります。

この仕組みにより、文書化されていないチームのノウハウや独自に作成されたコードが、チームが繰り返し導入できる、文書化された検証済みのパターンに置き換えられます。このパイプラインの各ステージを詳しく見ていきましょう。

産業分野のバイヤーにとって VRB が重要な理由

産業分野の事業者は単なるデモではなく、予測可能なデプロイメントを求めています。Intel が公開している VRB アプローチは、ハードウェアとソフトウェアの構成要素を統合することで設計の選択肢を単純化し、パフォーマンスの予測可能性を高め、評価にかかる労力を軽減することを明確な目的としています。  

たとえば、Intel の Verified Reference Blueprint with Dell では、OEM (相手先ブランド製造会社) を通じて提供される最適化された商用 AI システムについて説明しています。これは、Intel のハードウェア上で Intel のリファレンス AI ソフトウェアを使用して構成の検証とベンチマークが行われています。その目的は、「検証済み」のシステムをデプロイすることで、エンドユーザーの労力を削減し、予測可能性を高め、アプリケーションのオンボーディングを迅速化することにあります。

これは一例にすぎず、さまざまなベンダーに対応したブループリントが用意されています。産業分野のチームがどのベンダーを採用する場合でも、検証済みシステムを利用することで、プロトタイプから標準化されたデプロイメントまでのプロセスを迅速化できます。

エッジ AI のビルディングブロックを産業用ソリューションに転換

エッジ AI の導入を成功させるには、検証済みシステムは不可欠ですが、それだけでは十分ではありません。チームは、特定の産業用の環境向けのソリューション開発を加速させる、再利用可能なソフトウェアのビルディングブロックも必要になります。

その役割を担うのが、エッジ AI 用のモジュール式で構成可能なソフトウェアスタックである Intel の Open Edge Platform です。このプラットフォームには、Edge AI Suites について説明するドキュメントが含まれています。これは、Intel アーキテクチャ用に最適化されたライブラリ、マイクロサービス、ツールを使用してエッジ開発を加速できる、厳選された AI リファレンス・アプリケーションのコレクションです。

Open Edge Platform には Manufacturing AI スイートと Robotics AI スイートが含まれており、とくに産業チームはこれらに関心を持たれることでしょう。(その他のスイートには、Metro、Retail、Education、Health and Life Sciences などのスイートが含まれます)産業用 AI のデプロイメントには、多くの場合、単に推論を実行する機能以上のものが必要です。これらのデプロイメントには、統合パイプライン、統合パターン、チームが一貫して活用できる運用上のガードレールが必要ですが、Open Edge Platform はそれらを提供します。

Red Hat Device Edge が産業用エッジの現実に適している理由

産業用エッジの環境はデータセンターとは異なります。デバイスは電力、冷却、接続性などの各種の制約下で動作し、多くの場合、保守が困難な場所に設置されています。Red Hat Device Edge は、以下を組み合わせることで、これらの制約がある環境でも運用上の一貫性を提供します。

  • エッジ向けに最適化された OS イメージと運用を備えた Red Hat Enterprise Linux:エンタープライズ OS の信頼性とセキュリティをエッジデバイスにもたらします。
  • Red Hat OpenShift から派生した、軽量な Kubernetes コンテナ・オーケストレーション向けの MicroShift
  • Red Hat Edge Manager:デバイスのオーケストレーションをエッジデバイスのあらゆるフォームファクターに拡張する、使いやすいフリート管理機能を提供します。
  • デプロイメントとライフサイクルの自動化を可能にする Red Hat Ansible Automation Platform

産業分野の購入者は、オーケストレーション・システムとしての Kubernetes の技術的な詳細に必ずしも関心があるわけではありません。購入者が主に関心を持っているのは、運用とライフサイクルの一貫性です。これらが欠けていると、スケールアップを試みる際にほとんどのパイロットプロジェクトが失敗に終わります。

Red Hat と Intel が産業用ロボットを支える仕組み 

ロボティクスは、AI のエッジのデプロイにおけるとくに複雑なユースケースの 1 つです。AI を活用した産業用ロボットには、センサー、カメラ、推論パイプライン、および物理世界との決定論的な相互作用が必要です。ロボティクスのデプロイメントは、最初は 1 つの優れたプロトタイプから開始できますが、これが真に有用なものになるのは、基盤となるスタックが再現可能でサポート可能な場合のみです。

前述のように、Open Edge Platform には Robotics AI Suite が含まれています。ロボティクスに携わるチームは、VRB が提供する検証済みのシステム基盤を活用し、提供されているスイートやライブラリを構成する厳選されたビルディングブロックを使用し、Red Hat Device Edge と MicroShift を使用して管理対象のフリートにデプロイすることで、大きなメリットを享受できます。これは、すべてをゼロから構築するよりも、はるかに現実的で魅力的な選択肢です。 

お客様が確認する必要のある内容単純なチェックリスト

エッジ AI プラットフォームを評価している産業分野の購入者の方で、パイロットにとどまらず、本番環境に移行できるインフラストラクチャの構築を検討されているなら、以下のような質問を考慮されてください。

  1. 検証済みのシステム構築の手法はありますか?これは単なる参照図ではなく、公開されたテスト済みの構成である必要があります。Intel VRB は、評価にかかる労力を軽減し、予測可能性を高めることをとくに目的としています。
  2. 再利用可能なソリューションのビルディングブロックを利用する方法はありますか?これは、その場限りのカスタムメイドではなく、コードスイートやライブラリ、再利用可能なマイクロサービスが用意されている必要があることを意味します。Open Edge Platform には、その目的のために構築されたスイートとライブラリが含まれています。 
  3. ファーエッジではライフサイクルはどのように処理されますか? 制約のある環境においても、アップデート、ロールバック、プロビジョニング、および一貫した運用を処理できるシステムが必要です。これは、Red Hat Device Edge が提供する価値の中核部分になります。

産業用エッジに求められる再現性

エッジ AI の次の段階は、モデルの規模の拡大ではありません。エッジ AI の次の段階は、反復可能なデプロイメントです。産業用エッジ AI およびロボティクス分野では、分散したパイロットプロジェクトを再現性ある標準化されたシステムに転換でき、それらを一貫してデプロイし、大規模に運用できるチームが有利になります。

そのため、パイプラインが重要になります。  リファレンスアーキテクチャ → Verified Reference Blueprint → Intel AI Suite は、検証済みのシステム基盤上に構築され、ファーエッジの制約に合わせて設計された運用プラットフォームによってサポートされます。

エッジ AI のパイロットプロジェクトを、スケーラブルな実運用へと移行させる準備はできていますか? PoC を開始し、Intel の Verified Reference Blueprint と Red Hat Device Edge の相乗効果が、産業環境で求められる再現可能な基盤をどのように提供するものとなるかをご確認いただくには、Red Hat にお問い合わせください

Hatville:エッジコンピューティングが実用化されたミニチュアシティ

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執筆者紹介

Cole Wangsness focuses on Edge AI, Device Platform, and Mission Edge at Red Hat. With nearly a decade of experience in solutions architecture and global go-to-market strategy, Cole specializes in helping organizations bridge the gap between complex edge hardware and scalable enterprise open-source software solutions. From supporting startups in agricultural robotics to advising Fortune 100 companies on industrial transformation, he focuses on delivering turnkey management solutions across enterprise and public sector.

Vinodh Raghunathan is the Director of Infrastructure SW Strategy and Enablement at the Edge Compute Group at Intel Corporation. Vinodh has been with Intel Corporation for 2 decades, spanning across different technical and business roles.

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