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2019年9月、Red HatはCentOS Streamを発表しました。このアップストリームの開発プラットフォームは、CentOSコミュニティのメンバー、Red Hatのパートナー、エコシステム開発者、その他多くのグループが、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の次期リリースの機能をより早く容易に確認できるだけでなく、RHELの発展に貢献することもできるように設計されています。その発表以来、CentOS Streamとこのプロジェクトが継続的に生み出す数々のイノベーションをめぐって、パートナーやコントリビューターから熱烈な反響が寄せられています。こうした動向を踏まえ、Red HatはCentOS Projectの運営委員会に対し、自社の投資全体をCentOS LinuxからCentOS Streamに移行することを通知しました。

詳細に立ち入る前に、Red HatのエコシステムにおいてCentOS Streamは、カーネルと機能の両面でRHELの次期リリースの「ローリングプレビュー」と捉えられているという事例を紹介する価値はあるでしょう。Facebookは、巨大なグローバルソーシャルネットワークを支える何百万台ものサーバーを稼働させています。これらはすべて、CentOS Streamから派生したオペレーティングシステムに移行されたか、または移行される予定です。Facebookは引き続き社内でCentOS Stream上のイノベーションを推進する一方、Red Hatのエコシステム内でコラボレーションを通じてプラットフォームの機能を強化することにも価値を認めています。

さらに、Red Hatの長年のパートナーであるIntelも、CentOS Streamに関与しています。

「Intelには、企業データセンターからクラウドデプロイメントまで、IT環境全体にわたってオープンソースのイノベーションを推進することにより、Linuxのエコシステムを支えてきた長年の実績があります。当社の顧客エコシステムにおけるCentOS Streamの可能性には大いに期待しています。」

-- Intel アーキテクチャー、グラフィックス、ソフトウェアグループ担当バイスプレジデント Mark Skarpness氏

Red Hatが初めてCentOS LinuxをRed Hatのエコシステムに導入した当時、このプロジェクトは、そのままの状態でイノベーション・プラットフォームとしてのニーズに合致していました。OKDやRDOなどのコミュニティプロジェクトは安定した開発基盤を必要としていたのであり、CentOS Linuxがその基盤を提供しました。しかし、オープンソース開発のモデルは静的なものではなく、企業とコミュニティの別を問わず、新たなニーズに適合すべく常に進化し、変化していきます。

私たちが今日直面しているテクノロジーの世界は、5年前はもちろん、1年前と比べてもそれほど単純ではありません。コンテナ化したアプリケーションやクラウドネイティブなサービスから、急速なハードウェアのイノベーションやSoftware-as-a-Service(SaaS)へのエコシステムの移行に至るまで、ニーズは多岐にわたります。オペレーティングシステムでは、これらのニーズの1つにさえ、とりわけ最適規模で機敏に対応することは容易でない場合があります。

まさにこうした点で、CentOS Streamは有効と考えられます。CentOS Streamは、コミュニティレベルにおける迅速なイノベーションのためのプラットフォームだけでなく、実稼働環境の動向を把握するための安定した十分な基盤を提供します。これらの変化やフィードバックをより迅速に反映させ、製品化へと導くことにより、驚くほど多様なユーザーベースのニーズを満たすLinuxプラットフォームを実現することができます。

投資全体をCentOS Streamに移行することは、エコシステムのコミュニティ全体にRHELの開発へのより緊密な結び付きを提供し、Linuxのイノベーションを一層推し進める上で最善の手段になると、Red Hatは考えています。CentOS Streamは現在、Fedora ProjectにおけるオペレーティングシステムのイノベーションとRHELの実稼働レベルの安定性との中間に位置付けられています。CentOS StreamをRHELエコシステムの主要なイノベーションハブとするため、Red Hatは2021年12月31日に投資をCentOS Streamに集約します。CentOS Linux 7に対するRed Hatのコミットメントは、このディストリビューションのメンテナンスアップデートが発表のとおり2024年に終了するまで継続します。

CentOSのユーザーには様々なタイプがあり、Red HatはCentOS Projectの運営委員会と連携して、各種ユーザーグループのニーズを満たすようにプログラムをカスタマイズしています。2021年上半期に、Red Hatは様々なユースケース向けに低コストまたは無償のプログラムを導入する予定です。これには、オープンソースプロジェクトおよびコミュニティ向けのオプションや、システム管理者のニーズにより広範に応えるRed Hat Enterprise Linuxデベロッパーサブスクリプションのユースケースの拡張などが含まれます。詳細については、これらの構想がまとまるに従ってお伝えします。

CentOS Linuxの未来はCentOS Stream

CentOS Streamは、CentOS Linuxに取って代わるものではなく、むしろエンタープライズLinuxのイノベーションを推し進めるというプロジェクトの目標達成に向けた、当然かつ不可避的な次のステップです。CentOS Streamは、RHELの展開のあらゆる面で開発者間のフィードバックループを短縮し、Red HatがRHELの将来のバージョンを作り上げる中で、大手のパートナーであれ個人のコントリビューターであれ、すべての声が認知されるように促します。

Red Hatは、すべてのパートナーや開発者に対して、CentOS Streamに関与するだけでなく、それぞれ独自のブランチを構築し、このイノベーションハブを利用してソリューションをテストすることにより、固有の課題を解決していくよう促します。Red Hatは、CentOS StreamこそがエンタープライズLinuxの未来であると考えています。このプラットフォーム上では、インクリメンタルなマイナーリリースからマイルストーンとなるメジャーバージョンまで、Red Hat Enterprise Linuxの各リリースの方向性に対し、コミュニティがより直接的に影響を及ぼすことができます。また、Red Hatでは、すべての社内プロジェクトをCentOS Streamに移行していく予定です。この作業が進行し展開するにつれて、ベストプラクティスや戦略をコミュニティ全体と共有することが可能になります。

より広範で多様性に富んだコミュニティを築く

Red Hatは、すでにCentOS Streamの他にも、次のような一連のプラットフォームを提供して様々な開発者のニーズに対応しています。

  • Fedora Project:Fedoraオペレーティングシステムの基盤であり、オペレーティングシステムのイノベーションの最先端に貢献しようとする開発者向けです。

  • Red Hat Universal Base Image:コンテナ化したクラウドネイティブなエンタープライズアプリケーションを開発するための、無償かつ再配布可能な開発者向けイメージです。Red Hat Universal Base Imageにより、開発者はRHEL上で、またRed Hat OpenShiftなどRed Hatのオープンハイブリッドクラウドポートフォリオ全体にわたって、実稼働デプロイ向けに認定済みアプリケーションを容易に作り上げることができます。

  • RHELデベロッパーサブスクリプション:開発者向けの無償のセルフサポート式サブスクリプションであり、よりセキュアで安定したハイパフォーマンスのRHEL基盤上への実稼働デプロイを想定したアプリケーション用に開発/テスト環境を提供します。

CentOS Linuxは、RHELおよびサポートコミュニティの発展に実に大きく貢献してきました。CentOS Streamによって、Red Hatはこの取り組みを継続し、Linuxのイノベーションをより迅速かつコラボレーティブなものにしていきます。Red Hatは、ツール、サポート、および専門技術を提供して、すべてのユースケースをこのRHELの新たなイノベーションハブに移行できるよう支援する方針です。


About the author

Chris Wright is senior vice president and chief technology officer (CTO) at Red Hat. Wright leads the Office of the CTO, which is responsible for incubating emerging technologies and developing forward-looking perspectives on innovations such as artificial intelligence, cloud computing, distributed storage, software defined networking and network functions virtualization, containers, automation and continuous delivery, and distributed ledger.