2021 年、Red Hat と IBM Research は共同で、Kubernetes 上で動作するアプリケーションのモダナイズを支援することを目的としたオープンソースプロジェクト、Konveyor の始動を発表しました。しかし、IT の世界では静的なニーズなど存在しません。コミュニティの成長を見守る中で、両社が作るツールやプラクティスは、現実世界の課題に合わせて進化しなければならないことがわかりました。Konveyor プロジェクトは今後、アプリケーションのモダナイズとハイブリッドクラウドへの移行を目的としたツールやプラクティスを作成することをミッションとして活動していきます。同コミュニティは、次のような点に注力していきます。  

  • リプラットフォーム:Kubernetes プラットフォーム上のコンテナでアプリケーションを実行するために変更を加える (コアなアーキテクチャとコードの変更は避ける)。
  • リファクタリング:従来のアプリケーションをサーバーレス・アーキテクチャに移行するなど、アプリケーションをクラウドネイティブにするために書き換え、または再設計する。

このようなミッションを実現するために Konveyor のテクノロジーは進化を続け、以下を実施します。 

  • これまで Tackle と呼ばれていたツールは Konveyor となり、Move2Kube の機能はこの新バージョンの Konveyor に統合されます。Crane と Forklift は、別々の GitHub リポジトリとプロジェクトに移行される予定です。 
    • Konveyor は、アプリケーションのリプラットフォームやリファクタリングのためのツールキットとなることに焦点を置きます。 

この新しい重点を反映した Konveyor Operator は、アップストリームの Kubernetes ディストリビューション向けの OperatorHub.io と、OpenShift で利用できる OperatorHub フレーバーの両方で、4 月下旬から利用可能になる予定です。

2 年間にわたる Konveyor コミュニティからのエンゲージメントとフィードバックに加え、600 人の IT 意思決定者、バックエンド開発者、ソフトウェアアーキテクトを対象とした Red Hat 主催の調査から得られた知見のおかげで、焦点を最適化することができました。この統合されたエクスペリエンスは、アプリケーションのモダナイゼーションをめぐるビジネス上の意思決定を、最大限の情報に基づいて行えるようにすることを目的としています。 

新たなコントリビューターモデル

これらの技術的な変更に加え、Konveyor コミュニティへの貢献もより簡単にできるようになりました。これには、以下のような 4 つの主要な焦点を持つ Special Interest Group (SIG) モデルへの再構築が含まれます。 

  • SIG Core:Konveyor プラットフォームの中核機能を担うグループで、モダナイゼーション、レポート作成、プログラム管理ツールの統合、ハブデザインなどを含みます。
  • SIG ユーザー・インタフェース (UI) :プラットフォーム全体のユーザーエクスペリエンスを導き、プロジェクトハブにアドオンを動的に含めることができるパターンを作ります。
  • SIG Analyzers:コミュニティがさまざまな技術の静的コードアナライザーを貢献するためのパターンを確立するために稼働します。 
  • SIG Integration:以前は SIG アドオンと呼ばれていたもので、コアハブには含まれない Konveyor の拡張機能の探求、開発、サポートを行います。

また、Konveyor プロジェクトは、Konveyor への統合を保証するツールで構成される Konveyor エコシステムの開発の初期段階に入っています。このエコシステムは、モダナイゼーションプロセスの特定のステップを解決するツールを生み出すことを目的としています。 

アプリケーション移行ツールキット

再フォーカス版 Konveyor プロジェクトに基づき、Red Hat は最近アプリケーション移行ツールキット 6.0 をリリースしました。このツールキットにより、Red Hat OpenShift のお客様は、レガシー・アプリケーション・ポートフォリオのモダナイゼーションをより迅速かつ安全に実施し、そのメリットを得ることができます。このツールキットは、モダナイゼーション戦略の検討から移行チームによる実行、初期計画の再構築まで、各プロジェクトフェーズにおいて導入担当者と開発者を支援し、最適で最も安全なパスを見つけられるようにします。このツールは、ポートフォリオや個々のアプリケーションに使用することができます。Red Hat OpenShift のお客様がアプリケーション移行ツールキット 6.0.1 またはそれ以降のバージョンを使用する場合、Red Hat OpenShift のセルフマネージド版またはマネージド版のいずれにもツールを導入することができます。 

Konveyor の最新情報をご希望の方は、konveyor.io メーリングリストにご登録ください。Red Hat KubeCon のブース #24 にお立ち寄りいただくと、アプリケーションのモダナイゼーションに関するあらゆることをご相談いただけます。  また、新たに更新された KubebyExample.comラーニングパス「Migrating to Kubernetes」(Kubernetes への移行) で、Konveyor のエキスパートが執筆した無料の自習用トレーニングをご利用ください。