クラスタ管理には固有の課題が生じますが、それが特に顕著なのは、ツリー外 (OOT) クラスタモジュールの実行環境を管理する場合です。たとえば、デバイスのプラグインや異なるカーネルバージョンを 1 つずつアップグレードすると、エラーが発生しやすくなります。そこで役に立つのが Kernel Module Management Operator (KMM) です。これにより、管理者はどのカーネルモジュールでも、複数のカーネルバージョンを構築、署名、デプロイできます。
KMM は、任意のカーネルモジュールで一度に複数のカーネルバージョンに対応できるよう設計されています。この Operator により Intel Center GPU Flex のハードウェア・アクセラレーション機能も活用できるため、シームレスなノードのアップグレード、アプリケーション処理の高速化、短時間でのモジュールデプロイが可能になります。
KMM のセットアップ
KMM には、すでに稼働している OpenShift 環境と、イメージのプッシュ先となるレジストリが必要です。KMM は、OpenShift コンソールで OperatorHub を使用するか、次の kmm.yaml でインストールできます。
---
apiVersion: v1
kind: Namespace
metadata:
name: openshift-kmm
---
apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
name: kernel-module-management
namespace: openshift-kmm
---
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
name: kernel-module-management
namespace: openshift-kmm
spec:
channel: "stable"
installPlanApproval: Automatic
name: kernel-module-management
source: redhat-operators
sourceNamespace: openshift-marketplace
続いて次のコマンドを実行します。
oc apply -f kmm.yaml
ハードウェア・アクセラレーションの有効化
インストールが完了すると、KMM は対象のハードウェア向けにカーネル・モジュール・ドライバーのコンパイルとインストールを行えるようになります。その後、管理者が Node Feature Discovery Operator (NFD) と統合することが可能になります。NFD により、ノード上のハードウェア機能を検出し、セレクターで使用できるようそれらにラベルを付けることができます。その際には、GPU の有無や種類といった特性を示すラベルが自動的にノードに追加されます。
NFD ラベルを使用すると、特定のカスタム・カーネル・バージョンをモジュールのデプロイや有効化の対象にできるため、必要なカーネルとハードウェアを備えたホストのみに限定してドライバーをアクティブ化することが可能です。これによって、互換性のあるドライバーのみを、サポート対象のカーネルを持つノードにインストールできます。これが KMM の大きな強みです。
KMM を NFD と連携させて使用すると、インテル GPU カーネルを目的のノードに簡単にデプロイできるうえ、他のノードへの影響も生じません。このプロセスの詳細は、以下の Developers.redhat.com サイトでご覧いただけます。
終わりに
複数ノードでの更新管理に必要な労力を軽減できる KMM およびカーネルモジュールについて説明してきましたが、これは、機能の一例に過ぎません。KMM を使用すると、ツリー外のカーネルモジュールをシームレスに処理し、その間にアップストリームでドライバーを組み込んでディストリビューションに追加することができます。
KMM はコミュニティ・プロジェクトで開発されているため、アップストリーム Kubernetes でのテストが可能です。コミュニティの Slack チャンネルもあり、KMM を使用している環境に適用する他の方法について、他の開発者やエキスパートとチャットで会話することができます。
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