IT チームは、インフラストラクチャのライフサイクル全体の管理に苦労することがよくあります。このプロセスは断片化されていることが多く、Day 0 のプロビジョニング、Day 1 の構成、複雑な Day 2 の管理にわたってさまざまなツールに関連した課題に対処することが強いられます。これによって不整合が生じ、リスクが増大し、イノベーションが阻害されます。AnsibleFest 2025 の基調講演で、Red Hat Ansible バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーの Sathish Balakrishnan (サティシュ・バラクリシュナン) と HashiCorp の CTO 兼 共同創設者である Armon Dadgar 氏は、Ansible Content Collections および Terraform プロバイダーを通じた Red Hat Ansible Automation Platform と HashiCorp Terraform 間の新たな統合について議論しました。
統合アプローチのメリット
Ansible Automation Platform と HashiCorp Terraform Enterprise または HashiCorp Cloud Platform (HCP) Terraform の統合アプローチは、インフラストラクチャ・リソースのエンドツーエンドのライフサイクル管理を実現するフレームワークを提供します。
- Day 0：Terraform によるプロビジョニング。Terraform の Infrastructure as Code (IaC) アプローチを採用して、クラウド・インフラストラクチャを宣言的にプロビジョニングおよびデプロイします。
- Day 1：Ansible Automation Platform による構成。プロビジョニング後、Ansible Automation Platform はシステムを構成し、設定を適用し、アプリケーションをデプロイして、一貫性とコンプライアンスをサポートします。
- Day 2 以降：運用管理。Terraform はインフラストラクチャのドリフトを検出し、Ansible Automation Platform は継続的な運用のために、構成管理、パッチ適用、アプリケーション・ワークフローを大規模に処理します。
Ansible Automation Platform と HashiCorp Terraform の統合により、手作業とリスクが削減され、より信頼性が高くスケーラブルなインフラストラクチャが実現します。その裏付けとして、Red Hat Summit 2025 の基調講演において Wells Fargo は、Ansible Automation Platform と Terraform Enterprise について議論した際に同様の前向きな視点について語りました。
Ansible Automation Platform と HashiCorp Vault
統合のもう 1 つの側面は、セキュリティを重視した自動化のために Ansible Automation Platform と HashiCorp Vault を使用することの価値です。この統合により、以下のことが可能になります。
- Vault の機能を活用して、シークレットをローテーションしたり、期限付きのアクセスを実行したりして、安全な自動化ワークフローをサポートする。
- ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャのシークレット管理を一元化する。
- シークレット管理を自動化し、すべての環境で一貫したコンプライアンスを実現する。
ロードマップの整合性と将来の統合に向けた協業
この統合によって実現する機能は他にもあります。今後の製品計画には、Ansible Automation Platform と HashiCorp Terraform Enterprise または HashiCorp Cloud Platform (HCP) Terraform の継続的な統合が含まれます。Ansible Automation Platform は今後、ワークフロー・テンプレートから Terraform Enterprise を呼び出せるようにすることに重点を置きます。これにより、Ansible Automation Platform ワークフロー内での Terraform デプロイメントの一貫した統合が可能になります。また、HashiCorp Terraform および Vault インスタンスのプラットフォームレベルの構成や、Vault 用のすぐに使用できる構成コンテンツもあります。これらの機能により、お客様は Ansible Automation Platform と Red Hat OpenShift で Terraform と Vault をより簡単に使い始めることができます。さらに、HashiCorp は Terraform Enterprise を拡張して、Ansible Automation Platform を呼び出せるようにすることを計画しています。これには Ansible Automation Platform の構成とワークフロー・テンプレートをトリガーするプロビジョニング後のフックが含まれ、プラン実行後に Ansible Automation Platform を呼び出せます。統合に関するこれらの取り組みにより、ユーザーはすべての自動化機能を直接制御できるようになります。
すべての要素を統合
Red Hat と HashiCorp のコラボレーションは、インフラストラクチャ自動化の分野における前進となります。Ansible Automation Platform、Terraform Enterprise、Vault の長所を組み合わせることで、効率的でセキュリティに重点を置いたスケーラブルなライフサイクル管理を実現する準備が整います。この統合的なアプローチにより、運用が最適化され、セキュリティが強化され、組織はより簡単に、自信を持ってインフラストラクチャを管理できるようになります。
AnsibleFest 基調講演はこちらでご覧ください。
Red Hat Ansible Automation Platform の詳細もご覧ください。
執筆者紹介
Matthew Packer is a Principal Product Marketing Manager for Ansible Automation Platform and is responsible for cloud automation. Prior to joining Red Hat, he worked in product marketing specializing in retail payment technology at Vontier and product management at Cisco in cloud-based networking. Matthew also worked as a consultant at Honeywell in the manufacturing and utilities industries with a focus on the Internet of Things (IoT) and predictive analytics space.
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