エンタープライズ向けオペレーティングシステム (OS) のアップグレードに、最適なタイミングなどというものはまずありません。アップグレードには時間と注意が必要ですが、優先事項への対応でどちらにも余裕がないことがほとんどです。
アップグレードや移行の計画を保留にする要因になっているのはリソースの制約だけではありません。Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 7 の多くのユーザーは、その OS がなければ動作しない重要なワークロードを抱えており、ダウンタイムを許容することはできません。あるいは、使用しているサードパーティのアプリケーションやサービスが最新の RHEL リリースについての認定を受けていないため、アップグレードしたくてもできない場合もあるでしょう。
2024 年 6 月 30 日のメンテナンスサポート終了までにアップグレードできなかった RHEL 7 のお客様も、あきらめる必要はありません。Red Hat では、RHEL 7 のお客様に 4 年間の延長ライフサイクルサポート (ELS) の提供を開始しました。
安心して前進する
RHEL 7 ELS アドオンを購入すると RHEL 7.9 を 2028 年 6 月 30 日まで引き続き使用できるため、フルアップグレードの準備にかける時間を増やすことができます。このアドオン・サブスクリプションの利用者は、Critical (重大) または Important (重要) レベルのセキュリティ修正、その他の優先度の高いバグ修正、およびトラブルシューティング・サポートを利用できます。
これらのセキュリティ修正についてもう少し詳しく説明しましょう。Red Hat では、セキュリティの問題を 4 段階の重大度スケールで評価しています。ELS アドオンでは、重大度の上から 2 つのレベル、つまり Important と Critical の共通脆弱性識別子 (CVE) に対する修正を利用できます。Important レベルの CVE は、リソースの機密性、整合性、または可用性を損なう可能性があります。Critical レベルの CVE では、認証されていないリモートの攻撃者にリソースが公開されたり、ユーザーの介入なしにシステムが侵害されてしまったりする可能性があります。
その一例は、最近発生した OpenPrinting CUPS の脆弱性です。Red Hat はこの CVE を Important と評価し、RHEL 8 と RHEL 9 用の修正を提供しました。これらの OS は現在も完全にサポートされています。また、ELS アドオンをお持ちの RHEL 7 のお客様向けにも修正を提供しました。ELS なしで RHEL 7 を使用している場合は、手動で脆弱性を見つけて修正する必要があります。同様に、2024 年 6 月 30 日にサポート終了を迎えた CentOS Linux を実行しているシステムを使用している場合、パッチは提供されません。そのようなシステムの移行をお考えでしたら、移行オファリングをご覧ください。RHEL 7 への転換方法と ELS を 1 つのオファリングで取得できる、経済的な方法を提供します。
ELS を利用すると、Red Hat カスタマーポータルやナレッジベースなど、当社のサポート部門に継続的にアクセスできます。これらの場所では、エキスパートや他の RHEL ユーザーが共有したヒントやソリューションを見ることができます。
RHEL 7 ELS アドオンを利用できるのは RHEL 7.9 ユーザーのみであることにご注意ください。アーキテクチャは IBM Z と x86 (64 ビットのみ) を対象としています。このアドオンには、Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions、Red Hat Enterprise Linux High Availability アドオン、および Red Hat Enterprise Linux Resilient Storage アドオンのメンテナンスが含まれます。ELS メンテナンスポリシーの詳細についてはこちらをご覧ください。
RHEL 7.9 をパブリッククラウドで使用している場合、RHEL 7 ELS アドオンは簡単に取得できます。AWS (北米/グローバル、欧州、中東、アフリカ) および Microsoft Azure (北米/グローバル、欧州、中東、アフリカ) の各マーケットプレイスで入手可能です。
一時的な措置であり、解決方法ではない
RHEL 7 ELS アドオンは、優先事項や既存の投資のために今すぐアップグレードすることができない組織にとって有益なオプションです。ただし、延長サポートが永続的なソリューションではないことは忘れないでください。このオプションの使用が必要なお客様は、今後 4 年間を新しい RHEL バージョンへの移行準備期間と考える必要があります。
RHEL 9 は、先進的なエンタープライズ IT 向けのオペレーティング・プラットフォームです。アップストリーム・コミュニティと協力しつつ構築され、ハードウェアおよびソフトウェアパートナーの広範なエコシステムに支えられています。また、スマートな自動化ツールが組み込まれており、セキュリティとコンプライアンスを単純化し、データセンターからクラウド、エッジまで、複雑なワークロードを一貫して実行できます。
また、RHEL 9 へのアップグレードは、想像するよりも難しくありません。Red Hat は、インプレース・アップグレード (Leapp ユーティリティを使用) とフルスケール移行のオプションを提供しています。いずれの場合も、中断を最小限に抑えてアップグレードできるよう、Red Hat コンサルティングサービスが専門知識と経験を活用してサポートします。
執筆者紹介
Gil Cattelain is Principal Product Marketing Manager for Red Hat Enterprise Linux. Cattelain has more than 20 years’ experience as a leader in high-tech software product marketing with a proven track record of managing major product releases and go-to-market strategies. Prior to Red Hat, Cattelain held product marketing leadership roles at Micro Focus, Novell, and Genesys, focusing on the endpoint management and DevOps/agile solutions, including digital marketing for the contact center market.
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