無線アクセス・ネットワーク(RAN)は、スマートフォンやIoT(ネットを通してデータを収集/通信する端末)などの各種デバイスをモバイル・ネットワークに接続する役割を担っています。RANは、通信サービス・プロバイダにとって重要なネットワーク・テクノロジーかつ金銭的投資である。通信サービス・プロバイダは、複雑な処理が求められ、 先進のエッジ技術 5Gを使用する様々な場面で急速に高まる需要に直面することになります

通信サービス・プロバイダは、コンテナベース・クラウドネイティブ運用のRANでそれぞれのモバイル・ネットワークをモダナイズしています。ある調査によると、バーチャルRAN/オープンRANのソリューションをデプロイすることで、従来の分散/集中型のRAN構成と比較して、ネットワーク維持管理総経費において最大44%の省コストを実現できるといいます。今回のブログでは、オープンソースのRANソリューションを立案/設計する際のクラウドネイティブ・テクノロジーの応用について説明します。

クラウドネイティブ・コンテナベースRANソリューションの利点

通信サービス・プロバイダは、クラウドネイティブ・コンテナベースRANソリューションによるモダナイゼーションにより、増加するさまざまなユースケースに対応しながらも、同時にネットワーク運用を簡略化して、その柔軟性、可用性、効率性を改善できます。クラウドネイティブ・コンテナベースRANソリューションは、コスト低減、システムのアップグレードと修正変更の簡略化、水平拡張機能を実現することが可能です。また、プロプライエタリもしくは仮想マシンベースのソリューションに比較して、特定ベンダへの依存度(ベンダロックイン)をより低減させます。

このRAN形態への変革には、ハードとソフトを切り離してRANを分離することが含まれています。さらには、クラウド・テクノロジーを使用してデプロイ、スケーリング、ワークロード配置を自動化することも対象となっています。

さらに機能系を分割することにより、リアルタイムと非リアルタイムの各ベースバンド機能を3つの別々の機能(RU(無線部)、DU(分散部)、CU(中央部))に分割します。これにより、このRAN形態への変革は、さらに促進されるでしょう。

これを実現するには、堅牢なクラウドネイティブのインフラストラクチャが必須の要件となります。これは、RANの進化と未知の5Gユースケースが集約された需要に対応できます。つまり、インダストリ4.0で提示されたような、すなわち、相互接続性、自動化、IoT、機械学習、リアルタイムでのデータ分析を、最適化されたエコシステムにおいて統合して第四次産業革命の現実化を高めるようなものです。クラウドネイティブのインフラストラクチャは、DUとCUの各インスタンスをデプロイできる柔軟性と拡張性を実現します。また、効率的に拡大し、ネットワーク・スライシングのように、各種サービスにおけるアイソレーションを実現します。

論理的解決の見通し

概念上、Red Hat OpenShiftのようなオープンクラウドネイティブのインフラストラクチャ上にデプロイされるRANソリューションのスタックは、以下のように分類できます。

  • セルサイト、エッジデータセンター、局所データセンター、中央データセンターに分散したクラスタ

  • 集約ポイントの制御プレーン・クラスタ

  • 中央データセンターのマネージメント・クラスタ

共通要素と共通概念の認識を補強すべく、アーキテクチャ構成の概略を図1に示しました。

論理図 - オープン無線ネットワーク

図 1: 一般的なアーキテクチャ構成

RANテクノロジ・スタック・コンポーネント

RANソリューションスタックを、一般的な導入モデルにおけるハイレベルな論理コンポーネントに分解すると、以下のようになります。

  1. セルサイト

  2. エッジデータセンター

  3. リージョナルデータセンター

  4. 中央データセンター

  5. 制御プレーン・クラスタ

  6. 管理およびアプリケーション・オーケストレーション・クラスタ

セルサイト

セルサイトのインフラストラクチャは、RANにとって極めて重要だ。DUやRUが配列されている分散デプロイには、極めて重要です。セルサイトには、動力、冷却、スペースにおいて制約があります。そのため、物理要素があるRUを含め、ホストされるリソースが一定限度量のみしか許容できません。 

図2:セルサイト

セルサイト・インフラストラクチャは、集中型クラスタ・コントロール・プレーンを備えた各リモート・ワーカー・ノード、もしくは統合化されたクラスタ・コントロール・プレーンを備えた単一ノードで有効化できます。

エッジデータセンター

図3:エッジデータセンター

エッジデータセンター(EDC)はアクセスレイヤー内のネットワーク端部に位置します。これは、各セルサイトに分散したRUやDUから要求される時刻同期を実現するインフラストラクチャ、もしくはエッジデータセンターで一元化された各DUプールをホストします。EDCインフラストラクチャは、デプロイのサイズに応じて、集中型クラスタ・コントロール・プレーンを備えた各OpenShiftリモート・ワーカー・ノード、もしくは統合化されたクラスタ・コントロール・プレーンを備えた各OpenShiftクラスタをデプロイすることにより、有効化できます。

リージョナルデータセンター

図4:リージョナルデータセンター

リージョナルデータセンター(RDC)はネットワークの集約レイヤーに位置し、各CUプールや画像リポジトリなどの要求機能のインフラストラクチャをホストして、DUやCUをアクセスネットワークにタイムリーに分散できます。

中央データセンター

図5:中央データセンター

中央データセンター(CDC)は、通常モバイル・ネットワークのコアとなるインフラストラクチャを提供します。しかし、ここでは、RANの各要素(RU、DU、CU)の装置管理システムをホストします。また、中央データセンターは各管理機能の有効化に連動し、各セルサイト(EDCやRDC)にわたって存在する各要素のスケールで、このインフラストラクチャを支援します。

制御プレーン・クラスタ

図6:制御プレーン・クラスタ

セルサイトとエッジサイトのインフラストラクチャが各OpenShiftリモート・ワーカー・ノードでデプロイされると、各制御プレーン・クラスタ(CPC)は、各セルサイト(EDCや RDC)の同ノードから要求される、集中型のサービスを提供したり、ライフサイクル管理を実施したりします。

Red Hat Openshiftプラットフォームは、RANの各要素を支援しながらオペレーター・フレームワークを介して一連の拡張機能を提供して、RANの各要素(DUやCU)がモバイル・ネットワークのパフォーマンス要件を満たすために必要な物理機能にアクセスできるようにします。これらのプラットフォーム・サービスは、CPC側で一元的に管理されます。

管理およびアプリケーション・オーケストレーション・クラスタ

図7:管理クラスタ

管理とオーケストレーションにより、自動化された複数のクラスタにわたる、エンドツーエンドの5Gソリューションの動的スケーリングが可能となります。

見通しとその他情報

このブログでは、オープンRANアーキテクチャの青写真を構成する一般的な要素の概要を、論理レベルで提供することを目的としました。

連載の資料を作成するにあたり、さまざまなRANソリューションの構成要素間の相互作用をより詳細に見つめた解説(群)をさらに拡大させていくことを予定しています。また、同じくRANの構成要素をスケーリングしながら、それらを各ビジネス要件の観点に合わせて適用できるようにして配布していきます。

通信事業者でRed Hatのオープンソリューションが、どのようにモダナイゼーションとデジタルトランスフォーメーションを推進しているかの詳細は、こちらをご覧ください。


About the authors

Hanen Garcia is Global Telco Solutions Manager at Red Hat, with more than 20 years of experience in the telecommunications industry building network solutions and value-added services for large telecom operators. In his current role, he is driving solutions to support telecommunications service providers during their network transformation journey. Prior to joining Red Hat, he worked at Ericsson as an innovation specialist designing cutting-edge solutions for mobile networks. Garcia holds an M. Eng. in innovation management from the ÉTS in Canada and an M.Eng. in telecommunications from Polytech in France.

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Ishu Verma is Technical Evangelist at Red Hat focused on emerging technologies like edge computing, IoT and AI/ML. He and fellow open source hackers work on building solutions with next-gen open source technologies. Before joining Red Hat in 2015, Verma worked at Intel on IoT Gateways and building end-to-end IoT solutions with partners. He has been a speaker and panelist at IoT World Congress, DevConf, Embedded Linux Forum, Red Hat Summit and other on-site and virtual forums. He lives in the valley of sun, Arizona.

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