Red Hat と AWS を SAP ランドスケープのモダナイズに役立てる 5 つの方法

2027 年までに、SAP HANA および SAP S/4HANA に SAP ワークロードを移行させる

SAP S/4HANA® に移行すると、ハイブリッドクラウド・アーキテクチャに移行して、クラウドネイティブ・ソフトウェア開発に必要な、文化面および組織面の変革を起こすことで、SAP ランドスケープを単純化するチャンスが生まれます。適切なテクノロジー基盤と戦略的な移行アプローチが移行を成功させるために不可欠である理由を説明します。

1 Linux プラットフォームとツール

基盤のオペレーティングシステム (OS) と構成管理手法は、SAP アプリケーションのパフォーマンスやポリシーへの準拠に影響を与えます。 

  • 現在の SAP ランドスケースのインベントリーを作成し、Linux® への移行が必要なシステムを特定します。他のアプリケーション向けに Linux を実行していない場合は、Linux の専門知識が組織内にあるか、外部のリソースが必要であるかを判断します。 
  • SAP 以外のワークロードを Linux に移行する意義があるか、評価します。他のアプリケーション向けに Linux をすでに実行している場合は、Linux ディストリビューションが SAP 向けに認定されているか、バージョンが S/4HANA をサポートしているかを確認します。 
  • ハイブリッド環境の構築を予定している場合、どのワークロードをオンプレミスに残し、どれをクラウドに移行するか検討します。オンプレミスとクラウドの両インフラストラクチャにまたがる OS、アプリケーション開発、管理プラットフォームを検討します。
  • 現在使用しているツールのインベントリーを作成します。異なるシステムの同じタスクに対して複数のツールが使用されている領域を突き止めます。ハイブリッドクラウド環境の管理の統一と効率化に必要となるツールと機能を分析します。 
  • IT 環境全体でプロセスをサポートし、システムを最新で準拠した状態に維持して構成ドリフトを削減できるツールを探します。

単一の OS で標準化すると、IT の安定性を向上させながら、SAP HANA へ容易に移行できます。SAP は Red Hat® Enterprise Linux® for SAP Solutions を、SAP HANA と SAP S/4HANA をサポートする 2 つのオペレーティングシステムのうちの 1 つに選定しました。 Red Hat Smart Management ツールは Day 0、Day 1、Day 2 をサポートします。

2 クラウド・プラットフォーム

SAP ランドスケープをクラウドに移行すると、パフォーマンスとスケーラビリティを向上でき、コストの制御も容易になります。適切なクラウド基盤があると、リソースのデプロイの迅速化、運用の経済性の変革、弾力的なスケーラビリティの実現により、変化する要求レベルに対応できます。

  • ハイブリッドクラウド戦略を用意していない場合、この戦略を作成するために必要な調査、発見、分析を行ってください。
  • 現在 AWS などのハイパースケーラーからのパブリッククラウドリソースを使用している場合、SAP システムに同じクラウドプロバイダーを使用するかどうかを評価します。
  • 以下の特徴を持つクラウドプロバイダーを探します。
    • サポート付きの認定済み SAP ソリューションを提供する 
    • さまざまな SAP 固有のインスタンスを提供する 
    • 使用している Linux ディストリビューションと連携する
    • 小さく始めて、すばやく必要に応じて優れたコスト効率で拡張できる 
    • 容量に達したとき、既存のインスタンスを拡張できる
    • 使用量を追跡して最適化できる、可観測性を提供する
  • 現在のクラウド環境で組織がどのようにリソースを使用しているかを把握して、クラウドリソース使用に関するポリシーを定義できるようにします。
  • 現地の規制への準拠が必要となるグローバルな業務を行っている場合、データ主権および地域固有のコンプライアンス要件を満たせるクラウドプロバイダーを選びます。

Red Hat と AWS は、IT 管理とアプリケーション開発をモダナイズして、安定性、パフォーマンス、セキュリティ、可用性を広範にわたって向上させる、SAP 向けハイブリッドクラウド環境を提供します。この環境は SAP S/4HANA 向けの実績ある基盤で、効率と柔軟性を向上させます。

3 セキュリティとコンプライアンス

先進的なハイブリッドクラウド・インフラストラクチャでは、セキュリティはインフラストラクチャ、アプリケーションスタック、ライフサイクルの全体をカバーする必要があります。以下の特徴を持つ継続的なセキュリティアプローチを採用します。

  • システムをセキュリティ基準に準拠させる
  • セキュリティ侵害およびサイバー攻撃に対して最新の保護機能を適用する
  • セキュリティやコンプライアンスの問題を特定して修復するツールとプロセスを備えている
  • セキュリティのルーチンタスクを自動化する

SAP アプリケーションを AWS 上の Red Hat テクノロジーで実行すると、セキュリティ体制の強化、コンプライアンスの単純化、セキュリティのルーチンタスクの自動化を実現できます。

4 サポート

ビジネス継続性を向上させてコストのかかるダウンタイムを回避するには、常時アクセス可能なエンタープライズ向けのサポートを提供するテクノロジーパートナーが必要です。

以下の機能についてベンダーとパートナーを評価します。

  • 貴社や他のパートナーと密接に連携して SAP ランドスケープをサポートする
  • 問題を迅速に解決する
  • ベンダーとパートナーとのサポートを調整する
  • SAP と運用プラットフォームのサポートの両方を提供する
  • 要件を満たす SAP 環境ベンダーにサービスレベル契約 (SLA) を提供する

5 パフォーマンスと安定性

最大で最も重要な SAP ワークロードを効率的に実行するには、完全にコミットされた長期のライフサイクルを備え、資本コスト (CapEX) と運用コスト (OpEx) が予測できる、高性能でセキュリティ重視の安定した基盤が必要です。以下の特徴を持つクラウド・プラットフォームを選択します。 

  • SAP アプリケーションの動的監視と最適化されたパフォーマンスを提供する
  • パフォーマンス要件を満たすために、特定の地理的な場所にワークロードを配置できる
  • SAP ランドスケープの可用性と稼働率の要件を満たす SLA を提供する
  • 高可用性と高パフォーマンスのオプションを提供する
  • コミットされたライフサイクル付きの OS プラットフォームを提供する 

Red Hat と AWS でモダナイズする

Red Hat と AWS は、データセンターおよび AWS クラウドに共通プラットフォームを提供し、ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャ全体で一貫したエクスペリエンスを実現します。この環境は SAP S/4HANA 向けの実績ある基盤で、効率と柔軟性を向上させます。Red Hat と AWS を使用すると、組織による世界中のアプリケーションとインフラストラクチャのモダナイゼーションを支援するリーダーであるこれら 2 社の経験を活用することができます。Red Hat のコミットされた 10 年間のライフサイクルと AWS SAP コンピテンシーパートナー (AWS パートナーネットワークの一部) により、技術的な変化に足並みを揃え、将来に向けて SAP への投資を備えることができます。

Red Hat と AWS が連携して、インフラストラクチャをスケーリングして変化する要求に適応するためのツールとテクノロジーを開発する方法をご覧ください。また、Red Hat と AWS の SAP 向けソリューションおよび AWS Marketplace での Red Hat もご確認ください。