2015年は素晴らしい年でした。そして2016年を迎えるにあたり、私たちの前に広がるRed Hatコミュニティの様々なチャンスを考えると、胸が高鳴り、気力のみなぎる思いがします。

技術革新は目の眩むような速度で続いており、この革新の結果として、事実上我々の生活のあらゆる面でユビキタスコンピューティングが実現しました。2020年にはコネクテッドデバイスが260億台になると予想するレポートを見ました。これらの機器とクラウドベースのサービスの組合せによって、世界中の組織に驚くべきチャンスが提供され、オープンソース方式でお客様がこのデジタルの変革を取り入れるためにRed Hatが果たしている役割を誇りに思います。

私たちのお客様は、Red Hatのソリューションを使用してビジネスを促進し、データセンターの4種類の実装形式、すなわちベアメタル、仮想マシン、プライベートクラウド、およびパブリッククラウドに渡ってインフラストラクチャとアプリケーションを動作させています。そして、これらの実装形式がそれぞれを補完し合う部分となって全体的ITインフラストラクチャを構成するケースが増えています。このような形でデータセンターの一体化が進むと、4種類の実装形式を1つのものとして使用、セキュリティ確保、および管理することを希望するお客様が増えてきます。彼らは、データセンターとクラウドに渡る、セキュアな、一貫したアプリケーション性能を求めています。開発者は、一度アプリケーションを構築すれば、1つの実装形式から他の実装形式に移動できることを望んでいます。使用するテクノロジーを自由に選択できる柔軟性を求めています。そして、そのすべてを一体的に管理することを望んでいます。オープンソースとRed Hatなら、それを実現できます。

コンテナ(場所を問わないアプリケーションの動作を可能にする軽量な仮想環境)に対する爆発的な関心の高まりは、今年の大きな注目点でした。今では、CIOや上級テクノロジー担当者と話をすると、ほぼ確実と言っていいほど、自分たちの組織でもコンテナを採用したいという話題が出てきます。彼らはそれぞれ、エンタープライズ全体のアプリケーションに対する管理とデプロイの容易化と同時に、インフラストラクチャコストも削減する方法を探しています。ご存じのように、Red Hatはこの分野を非常に重視しており、アップストリームのDockerおよびKubernetesの両コミュニティで上位コントリビュータの一角を占めるとともに、Red Hat Atomic Enterprise PlatformとOpenShiftの両方によって、企業のコンテナ採用を可能にしています。

ハイパーコネクテッドリアリティでは、より多くの企業がモバイルファースト戦略への移行によって消費者を相手にする事業から学ぶことが必要になります。大事なのはアプリであり、CIOたちはこの現実を理解し始めています。そして Red Hat Mobile Application Platform、OpenShift、OpenStack等のソリューションによって、組織全体に渡って自社のアプリを自由に動作させることが可能になっています。

自社のアプリを解放し、どこでも動作できるようにする企業が増えるに連れて、より多くのクラウドデプロイメントの選択肢が求められることにもなると思います。これを、パブリッククラウドとプライベートクラウドの間の争いと誤って捉えている人がいます。しかし私は、これらは相補的なオプションであり、共生するものだと考えています。クラウドは「二者択一」ではありません。両方選べるのです。最良の戦略には、柔軟性の維持が必要になると確信しています。複数のクラウドおよびオンプレミスのデータセンターで動作可能なアプリケーションの構築を目標にすべきです。強いて言うなら、私たちは今、時とともに高コスト化・不安定化してきた従来のソフトウェアアプローチが、最先端のクラウドの時代へと急速に変化する様子を目の当たりにしているのです。

パブリックおよびプライベートクラウドソリューションの進歩によってお客様に大きなチャンスが提供され、企業による導入が増加しています。実運用環境へのOpenStackデプロイメントが勢いを増しており、OpenStackは最も人気の高いプライベートクラウドプラットフォームとしての地位を確立したと思います。私たちの戦略は、もちろん、ハイブリッドクラウドに真の選択と柔軟性をもたらすイノベーションを追求することです。これは、Red HatとMicrosoft の画期的な新しい提携関係を推進する基盤となった大きな要因でした。パブリッククラウドはRed Hatのビジネスにとって刺激的な要素であり、この分野で当社のビジネスを支えるためにたゆまぬ努力を続けているチームに賛辞を贈りたいと思います。

セキュリティは、新しい優先事項ではありませんが、当然ながら企業にとって常に最重要事項の1つです。しかし、セキュリティは単なる一揃えの製品ではありません。何かを購入すれば済む話ではないのです。重要なのはプロセスであり、カルチャーです。スタック全体を通して本質的にセキュアなテクノロジーの使用を優先する考え方を身につけることが大切です。Red Hatは、特にクラウドでミッションクリティカルなアプリケーションを大規模に導入する場合に、インフラストラクチャソリューションの個々の構成要素のセキュリティを確保することに全力で取り組んでいます。

セキュリティは複雑であり、コンテナのような新しいテクノロジーが実装されるたびに常に変化します。そのため、私たちはよりセキュアなインフラストラクチャの開発につながる変化の促進を目標に、これからも全社一丸となってセキュリティに心を砕いていきます。

最近、私たちは特にコンテナのセキュリティについて声高に注意を喚起してきました。コンテナには大きなメリットがありますが、問題はコンテナの中身です。コンテナは、信頼できる供給元の製品であること、ライフサイクル全体を通してメンテナンスされること、および認定を取得していることが必要です。Red Hat Atomic Enterprise PlatformOpenShift Enterprise 3の発表から、この分野における業界初のパートナーシップコンテナセキュリティに対する新しいアプローチの策定に至るまで、最近Red Hatが行った作業の多くは、強靱なセキュリティ機能を備えた信頼できるLinuxコンテナの実現を最大の目標としています。Red Hatは、企業によるコンテナの安全な採用を容易にするための努力を今後も継続していきます。

2016年以降について考えるとき、私たちが今作っているものが将来ITレガシーになるという認識が非常に重要です。ちょうど今、私たちが前の世代によって決められたレガシーに取り組んでいるように、次世代のテクノロジー担当者たちは、今私たちが下す決定事項を受け継ぐことになります。近道をして、すぐに稼働できるような決定をすることは(特にコストの節約が保証される場合)魅力的に思えるかも知れません。しかし、バランスを考える必要があります。1つのテクノロジーに束縛され、脱出できなくなるのは望ましくありません。多くの企業は、何年も前に行われた決定によって、今その苦悩に直面しています。

今私たちが構築するテクノロジーは、おそらく長年に渡って使われることになります。今下そうとしているテクノロジーの決定が、将来どれだけの柔軟性、可搬性、および選択の自由を与えてくれるか、自問してみてください。クラウドに移行するアプリケーションが増えてきたとき、オープンソースオープンAPIは、前進のための最も広範な選択肢を提供してくれます。Red Hatは、オープンソースがイノベーションを迅速化するだけでなく、単一ベンダーに縛られたレガシーの決定から脱出するための自由と柔軟性も提供してくれると確信しています。

私たち全員の前に広がるチャンスは膨大であり、2016年にデジタルの変革によってどのような進歩が実現され、私たちの前に現れるか非常に楽しみです。お客様、パートナー、オープンソースコントリビュータ、およびRed Hatの仲間からなるコミュニティには、いつも感謝しています。協力し、懸命に働き、私たちが最良のオープンソースを企業に提供し続けるよう後押しして頂いて、ありがとうございます。良いお年をお迎えください。


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