2018年は、いろんな意味でマイルストーンとなる年です。今日、Red Hatは設立25周年を迎えました。オープンソースという言葉が生まれたのがちょうど20年前の2月、そして私は、この驚異的な企業で10年目を迎えました。

これらすべてのマイルストーンに関して、私が言えるのはただ「ありがとう」の一言です。お客様に、パートナー企業に、オープンソースコミュニティに、そしてRed Hatの全社員に感謝の気持ちを贈ります。

1993年、マーク・ユーイングとボブ・ヤングの2人がRed Hatを設立したとき、オープンソース(とRed Hat)がその後テクノロジー業界をどのように変えていくのか、まったく想像もつかなかったでしょう。私たちは、お客様がオープンソースソリューションによって成長と成功を手に入れていく姿に畏敬の念を覚え、今後もその成長と成功のための協力を惜しみません。テクノロジーの未来を創造するオープンソースコミュニティによるイノベーションにパワーをもらいながら、私たちをRed Hatたらしめている貢献と協業を続けていくことに胸が高鳴ります。

本日、Red Hatは2018会計年度第4四半期収益結果を発表し、昨年に続く堅調な1年を終えました。次の1年に焦点を当てる前に、簡単に昨年を振り返りたいと思います。

昨年をあらわす言葉をひとつ選ぶとしたら、「勢い」ではないでしょうか。私たちは協力して多くのことを成し遂げ、そのすべてが、テクノロジー業界における推進力としてRed Hatとオープンソースをさらに強固なものにしました。

私たちがKubernetesにおいてリーダー的な存在となり、OpenShiftに対して広く貢献したことを誇らしく思います。しかし単にテクノロジーだけではなく、今や私たちはコンピューティングとアプリケーションアーキテクチャの次の波であるコンテナ分野のリーダーとして見られています。CoreOSの買収は、この分野におけるRed Hatの最新の動きだといえるでしょう。かつては“LinuxのRed Hat”として知られていましたが、今では“次世代スケールアウトプラットフォームのRed Hat”へと進化したのです。

テクノロジーは、いってみれば流行ビジネスです。トレンドの移り変わりは驚くほどのスピードで進みます。ここ数年間は、誰もがクラウドについて語っていました。その前は、仮想化でした。業界はパブリッククラウドの売り込みに注力していましたが、Red Hatは、真に重視すべきはハイブリッドだと主張してきました。エンタープライズのお客様から選択の自由、フレキシビリティ、マネージャビリティ、セキュリティ(実際のところ語尾に「ティ」がつくものすべて)をどれほど重視しているかを常に聞かされていたので、クラウドデプロイメントはハイブリッド(現在では、マルチクラウドへと進化)になると確信していました。私たちにとって、これはハイブリッドの未来を意味しており、ハイブリッドを核とする広範なポートフォリオの構築に重点的に取り組んできたのです。

今では、まるでスイッチが切り替わったように、誰もがハイブリッドクラウドについて話したがっているように感じます。パブリッククラウドではなくハイブリッドクラウドが、次世代アプリケーションを実行するためのコンピューティングモデルの主流になったと業界が認めたのです。ある程度予想していたとはいえ、これほど早く状況が変わったことに驚きを隠せません。そこでは、ベンダーではなく、お客様が変化を牽引しているのが明らかです。

この変化にともない、Red Hatのような会社は新しいかたちで顧客体験について考えるべきです。昨年、使いやすさと顧客体験についてお話する機会がありましたが、それらは今でもエンタープライズテクノロジーの難題(と同時にチャンス)です。私たちは、Amazonが(小売で積み上げてきた実績を生かして)極めて簡単に使える仕組みを実現するのを目にしました。それは、最も洗練されたソリューションとは言えないかもしれませんが、少なくともお客様が簡単に自分で学び、デプロイし、使いこなせるものです。

その結果、私たちには新たな基準が生まれました。オープンソースは、洗練された技術ソリューションとしては知られていますが、残念ながら使いやすさは重視されていません。それでも、Ansibleのようなテクノロジーはシンプルさと顧客体験を優先することで成功を収めてきています。私たちは、他のテクノロジーでも同じことをすべきだと考えています。そこでRed HatではUXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)チームを編成し、膨大なリソースを投入して、オープンソース製品のルックアンドフィール(および使いやすさ)の向上の実現を目指しています。

こうした領域への投資は、お客様の成功を支える当社の取り組みの中核を成す部分です。アジャイル、オンライン、デジタルファーストといったアプローチによるディスラプションが続くなか、Red Hatはハイブリッドクラウド分野のパートナーとしてますます期待されています。私たちはこのデジタル変革を可能にするだけでなく、遠い将来にわたってお客様の要望をかなえる、最新かつ柔軟なIT基盤を提供するための機能の構築に注力しています。この基盤はコンテナとマイクロサービスに根ざすもので、その力はアーキテクチャからアプリケーションを分離させるところにあります。Kubernetesは、この分散レイヤーにとってLinuxに相当するものになる可能性を秘めています。これらの領域で主導的な立場にいるRed Hatは、押し寄せる次の波に対して絶好のポジションにいます。まさにRed Hatterであることにワクワクする瞬間です。

お客様のことを考えると、昨春のRed Hat Summitが、最も魅力的な時間として思い出されます。Red Hat Summitでは毎年、お客様とコミュニティに対するRed Hatの影響力を肌で感じます。また同イベントは、世界中のシステム管理者と開発者のメッカにもなっており、オープンソースに対する情熱とエネルギーが一同に介する場でもあります。

“最高の製品とは、使っている自分を良く思える製品だ”という古い格言があります。Red Hat Summitは、お客様、コミュニティ、そしてRed Hat自身、誰もが自分のことを良く思えるようなかたちで繫がり、意見を交換する機会を提供しています。

基調講演に立つ前に、舞台裏から数千人の活気に満ちた人々がこの驚くべき可能性を共有する空間を覗き見るのは、他ではちょっとできない体験です。本年5月にサンフランシスコで開催されるRed Hat Summit 2018でもさまざまな魅力的な企画をご用意していますので、ぜひご参加いただき、この感動を肌で感じてください。

昨年を振り返るにあたり、Red Hat、そしてオープンソースコミュニティの一員として10年目を迎えた自分自身についても触れないわけにはいきません。私は、オープンソースが従来のソフトウェアに対する代替品からイノベーションを推進するリーダーへと進化するのを見てきました。同時に、世間がRed Hat を見る目も変わってきました。私たちはインフラストラクチャソリューション実現のための代替品からデフォルトの選択肢へと変化し、CIOにとっての信頼すべきパートナー、アドバイザーへと変貌しました。ビジネスのイノベーションを加速させるための協力者としての地位を確保したこと、これは根幹をなす大きな変化です。

私たちがこのような形で進化してきた理由のひとつは、他の多くのテクノロジー企業と異なり、Red Hatは特定のトレンドや製品と結び付いていないという点です。トレンドや製品に縛られないからこそ、私たちは驚異的な持続力を示し、64四半期にわたる一貫した収益増を実現できたのです。私たちは、コミュニティ主導のイノベーションの力を活用し、大きな変化の波に乗り、新たな分野に参入することができる、オープンソースという驚異的な生産システムによって成功を収めています。Red Hatのモデルは、これらの変化の中にあって成長することを可能にしてくれます。この点については、Red Hat の社員、お客様、パートナー、および株主の皆さまに、誇りに感じていただけるのではないかと思います。

この10年で私自身もずいぶん変わりました(髪の毛にも白いものが混ざりはじめました)。しかし最も重要なのは、自分が仕事を通して常に学んでいるということです。そして学べば学ぶほど、参加意識の高いチームと一緒により良いソリューションを生み出すことができ、感謝の気持ちが強くなるのです。私自身、参加意識の高いコミュニティと働くことのすごさを、さらに理解できるようになりました。私の仕事は人々にとって最高の仕事ができる環境を作り上げることであり、私はその役割を喜んで引き受けています。

時間をかけることで、プロセスが機能することのメリットが見えてきます。その方が良い結果が得られるということがわかれば、より忍耐強くもなります。参加意識の高いコミュニティの方が、単独で作業する個人よりも良い結果を生むというのは間違いないでしょう。しかしそれを頭で理解するだけではなく、コミットしなければなりません。多くの経営者は、プロセスを機能させることに十分な時間をかけず、なかなか辛抱強く待つことができていないように思えます。

去年1年を通して(そしてもちろんRed Hatの25年間を通して)目覚ましい勢いを目の当たりにしてきましたが、ピークはまだこれからだと信じています。私たちは今、イノベーションの新たな波の最前線に立っており、次の10年は、あらゆる業種で情報のシェアと共同のイノベーションが主流になると思っています。これは医療、教育、行政のような非営利組織から、情報のシェアが業績向上につながることを既に理解している全世界の営利企業まで、あらゆる分野に影響を与えるでしょう。オープンかつ全員参加のイノベーションを拡大することが、世界中で、生産性を向上させる重要な要素となります。

その進化の中で、Red Hatがいかに中心的な役割を果たし続けていくことができるかを考えると、本当に胸が高鳴ります。

オープンイノベーションはテクノロジーのトレンドを推進し続けており、Red Hatはその中心的役割を果たせるようこれからも全力で取り組んでいきます。私たちには、他社には真似できない能力ベースのモデルがあります。イノベーションの中枢がオープンなコミュニティへとシフトし、オープンソースがより遍在化するにつれて、Red Hatはテクノロジーの世界における象徴的な存在になるでしょう。

冒頭で私は、昨年を象徴する言葉は「勢い」だとお伝えしました。次年度末には、Red Hatが今よりさらに強い勢いを得ていることを期待しています。現在Red Haは社員数約1万2,000名、総収益は29億USドルに上ります。ちなみに私がRed Hatに入社した2008年、社員数は約2,200名で、収益5億USドルを突破した初めてのオープンソースソフトウェア企業としてニュースになりました。

これほどの成長を遂げている以上、引き続き私はオープンソーステクノロジーに対するお客様の要望をかなえることに貢献しつつ、オープンカルチャーを拡げ続けることにも重きを置きたいと思っています。そのためには、さまざまな専門知識を持つ人たちを迎え入れるとともに、彼らに私たちのカルチャーと、オープンソースウェイを尊重する理由を伝えていく必要があります。オープンソースとコラボレーションに情熱を抱く人にとって、Red Hatに勝る職場はありません。

オープンソースは、世界を変える強力なパワーです。25年間にわたり、私たちは常にオープンであることによって世界の可能性が解き放たれるのを証明してきました。パートナーの皆様、お客様、オープンソースコミュニティと協力してITの未来を牽引していく中で、これからもさらに多くのマイルストーンを達成していくことができるでしょう。

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