概要
エッジデバイスとは、ユーザーやデータソースに物理的に近い場所でコンピューティングを実行するネットワーク上のノードです。エッジコンピューティングは、あらゆる場所でデータを生成および使用する組織に最適です。
多くの場合、実際に実行されている作業は組織のコアネットワークの外にあります。機器の製造、小売店での販売、常に移動している運送などがその例として挙げられます。これらのデバイスは一元化された環境にあるのではなく、ネットワークから物理的に分離されているため、接続の問題が発生しやすくなります。
接続の問題がビジネスに及ぼす影響とは
接続の悪さはビジネスに悪影響を及ぼします。影響が明白で特定しやすく、解決しやすいものもありますが、なかには明確でないものもあり、迅速に是正しなければ大損害を与えかねないものもあります。エッジデバイスが多数存在する複雑なビジネスを円滑に運営するためには、両方のタイプの障害を特定し、解決することが重要です。留意すべき 5 つの点をご紹介します。
- セキュリティ:エッジデバイスとネットワーク間の通信は複雑で手間がかかることがあります。このため、通信が危険にさらされる機会が増え、セキュリティ侵害のリスクが高まります。
- データ損失:エッジロケーションからネットワークへ、あるいはネットワークからエッジロケーションへの重要なデータの流れが中断されると、データへのアクセスや復旧のために時間とコストが失われることがあります。
- レイテンシー:エッジデバイスとコアネットワーク間のデータ関係が一貫していたとしても、その間のデータ転送速度が成果に影響します。速度が遅ければ、カスタマーエクスペリエンスの低下につながります。
- 帯域幅コストと制限:エッジデバイスの中には大容量の帯域幅を必要とするものがあります。帯域幅が大きければ、その分コストも高くなります。
- データ主権とコンプライアンス:銀行のような特定の管轄や業界では、データの送信方法について厳格な規則があり、ネットワークのエッジでのアプリケーションが制限されることがあります。
Red Hat のリソース
エッジ・ソリューションが接続の課題を軽減する仕組み
エッジ・ソリューションは、エッジデバイスの効率性と信頼性を高めることで、接続性の課題を軽減するのに役立ちます。これらのツールはエッジコンピューティング特有の要求に適応し、オペレーショナル・レジリエンスを高めてダウンタイムを削減します。このアプローチは、継続的な運用とネットワークの統合に焦点を当てることで、企業が接続を管理する方法を変革します。
エッジデバイスのプロビジョニングを高速化
エッジ・ソリューションは自動プロビジョニングを支援して、デバイスの運用環境を設定するプロセスを効率化します。これらのソリューションは初期設定を単純化するだけでなく、リモート構成を容易にし、遠隔地にあるデバイスのサービスと接続性を向上させます。現場でのテクニカルサポートの必要性を減らし、困難な環境への実用的なアプローチを提供します。
エッジデバイスにコンピュート能力をもたらし、ネットワークへの依存を軽減
処理ワークロードをエッジデバイスにシフトすることで、ネットワーク接続が安定していなかったり制限されていたりする状況でも、より高速で有用な知見を得ることができます。エッジでの処理能力とパフォーマンスを向上させることで、運用におけるネットワークサポートへの依存を直接的に軽減することができます。これは、帯域幅が不足していたり高価であったりする場合や、外的要因によって通信チャネルが中断される可能性がある環境では極めて重要になります。
エッジアプリケーションの可用性を向上
エッジデバイスは、実際に仕事が実行されている場所にあります。強力なオンボード OS と運用環境を備えたエッジデバイスは、接続が断続的であっても機能します。エッジデバイスの継続的な運用の維持、またはダウンタイムの正確な予測は、重要なビジネスでネットワークに接続するために不可欠です。
自動化でエッジの信頼性を向上
自動化によって接続の問題を解決できるデバイスは、(人手を介すことのない) 迅速なサービス復旧と、コストのかかるオンサイトサポートの必要性をなくすというダブルのメリットをもたらします。これにより稼働時間が増加し、運用コストが削減されます。
業界別ソリューション
通信
マルチアクセス・エッジコンピューティング (MEC) とは、クラウド・コンピューティング機能、プライベート 5G などのテクノロジー、IT サービス環境をネットワークのエッジで直接統合する、変革的なネットワーク・アーキテクチャです。MEC は低レイテンシーを約束し、より効率的なネットワーク運用とサービス提供によってさまざまなアプリケーションやサービスをサポートします。Red Hat と認定パートナーエコシステムは、サービスプロバイダーに統一された一貫性のある運用プラットフォームを提供し、手作業によるプロセスを排除して、高い柔軟性および収益化のアイデアを実現できるようにします。
製造
何千もの製造拠点に完全なエッジ・ソリューションを導入するには、さまざまなベンダーのツールやプロセスが必要になる場合があります。エッジ接続の課題を克服するために、これらのマルチベンダー・ソリューションは Kubernetes のような統一された IT アーキテクチャを通じて一貫して連携する必要があります。
小売
エッジコンピューティングは、小売業変革の鍵となる要素です。エッジコンピューティングにより、店舗や配送センター、セルフレジのような顧客のエンドポイントにデータを近づけることができます。これにより、小売業者はローカルでデータを処理し、レイテンシーを短縮し、帯域幅を拡大することができます。その結果、小売業者はより迅速な応答時間、データ駆動型の意思決定、より信頼性の高いサービス、より優れたアプリケーション体験をユーザーに提供できるようになります。
Red Hat のエッジ・ソリューションが接続の課題を解決する仕組み
Red Hat のエッジポートフォリオ
Red Hat® Edge は、ワークロードやデバイスのデプロイ先に関係なく、運用の一貫性をもたらします。Red Hat のエッジポートフォリオには以下の機能が含まれます。
Red Hat Enterprise Linux
Red Hat Enterprise Linux® (エッジ機能付き) は、企業タスクのための安定した、適応性のある、セキュリティ中心の基盤を提供します。また、データ転送の加速化を進め、エッジでのイノベーションを促進します。エッジ機能は、エッジコンピューティング環境を最適化するために特別に設計されています。
Red Hat OpenShift
Red Hat OpenShift® は、コアデータセンター、パブリッククラウド、そしてエッジでも、同じツールとプロセスを使用して一貫したエクスペリエンスを提供します。これにより、チームはアプリケーションを一度作成すればどこにでもデプロイできるようになり、必要な開発リソースが大幅に削減されるだけでなく、標準化された反復可能な自動化プロセスのおかげでリスクも軽減されます。Red Hat OpenShift には、さまざまなエッジシナリオに対応するために複数のトポロジーがありますが、すべてが単一のアプリケーション・プラットフォームで行われます。スケーラブルな管理機能とセキュリティにより、ハイブリッドクラウド全体のアプリケーションとインフラストラクチャにおけるセキュリティ重視の考え方を管理および構築できるようになります。また、構成可能なインストールにより、オプションのコンポーネントを除外することで、小規模な遠隔地に必要なフットプリントと消費電力を最小限に抑えることができます。
Red Hat Device Edge
Red Hat Device Edge は、最小限のフットプリントでモジュール式のエッジ・ソリューションを提供します。困難な現場 (ドローン、産業用コントローラー、POS 端末など) にある、リソースに制約のあるエッジデバイスに仮想またはコンテナ化されたワークロードをデプロイする必要のあるお客様は、Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド・アーキテクチャの運用上の一貫性と柔軟性を活用できます。Red Hat Device Edge は、Red Hat が主導するオープンソース・コミュニティ・プロジェクトである MicroShift (Red Hat OpenShift のエッジ機能から構築された軽量の Kubernetes プロジェクト) のエンタープライズ対応のサポート付きディストリビューションと、Red Hat Enterprise Linux から構築されたエッジに最適化された OS を統合したものです。
Red Hat Ansible Automation Platform
Red Hat Ansible® Automation Platform は、Day 1 のデバイス導入とそれ以後の継続的なプラットフォームおよびワークロード運用の両方に対応するツールを備えており、デバイスとアプリケーションのライフサイクル管理の迅速なスケーリングを支援します。Ansible Automation Platform では IT ランドスケープが単一の一貫したビューで表示されるため、数千ものサイト、ネットワークデバイス、クラスタを管理できます。自動化へのこの統合アプローチにより、リソースが限られているエッジサイトで運用コストを削減し、よりスムーズなカスタマーエクスペリエンスを実現するのに役立ちます。
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