概要
多数の業界でさまざまなユースケースが考案され、エッジコンピューティングの導入が進んでいます。エッジコンピューティング・ソリューションが成熟するにつれて、組織からは、一貫した開発および運用エクスペリエンスを可能にする、コアからエッジまで統一された水平型の共通プラットフォームが求められるようになりました。Red Hat はオープンソース・コミュニティおよびパートナー・エコシステムと協力しながら、断片化やロックインを気にすることなくエッジコンピューティングを最大限に活用できるようお客様を支援しています。
エッジコンピューティングに必要なもの
エッジコンピューティングによって、リモートサイトの迅速な意思決定、回復力、自律性、そしてデータ主権を実現できます。コアデータセンターやクラウドからエッジデプロイメントに至るまで、さまざまな場所にさまざまな種類のワークロードがあります。
Red Hat のエッジコンピューティング・ソリューションは、水平型の共通プラットフォームを通じて一貫性のあるアプリケーションおよび運用体験をアーキテクチャ全体で実現することに重点を置いています。つまり、プロビジョニング、管理、オーケストレーションの自動化により運用を単純化します。当社は、コンピューティング、ストレージ、ネットワーキングをハイブリッドクラウド全体に拡張する共通プラットフォームの確立を支援したいと考えています。エッジコンピューティング・サイトは IT スタッフがほとんどいない、あるいはまったくいないことが多いので、数百から数千ものノード、リモートデプロイ、一元化されたインフラストラクチャと同じツールやプロセスを使用する一元管理へと拡張することが可能です。これは、たとえファーエッジの先端であっても、インフラストラクチャではなくイノベーションに重点を置くことによる違いを示しています。
一般的に、包括的なエッジコンピューティング・ソリューションは次のような機能を備えています。
Red Hat のリソース
Red Hat のサポート内容
Red Hat の多彩なポートフォリオは、プラットフォーム、アプリケーション、開発者サービスの基盤として、接続性、統合、インフラストラクチャを提供します。このような強力な構成要素により、お客様が抱えるどのような困難なユースケースでも解決できます。
確かな基盤
Red Hat のソリューションでは、Red Hat® Enterprise Linux® がすべての OS 基盤となります。Red Hat Enterprise Linux は、データセンター、クラウド、またはエッジのベアメタル、VM、またはコンテナ上でアプリケーションの構築や実行を支えるツール、アプリケーション、フレームワーク、ライブラリの巨大なエコシステムを提供します。これが、安定性とデプロイの柔軟性の獲得に役立ちます。Red Hat Enterprise Linux は、セキュリティを重視してゼロトラストなどの戦略をサポートしており、さまざまな業界および政府の基準への準拠を促進します。ImageBuilder ツールは、数千のエッジノード上でイメージのデプロイ、監視、アップデートを行う追加のエッジ管理機能を備えており、エッジワークロード向けに最適化されたオペレーティングシステム・イメージを迅速に生成します。
一貫性のあるコンテナ化された環境
プライベート・データセンター、パブリック・データセンター、エッジなど、あらゆるインフラストラクチャやクラウドでコンテナベースのアプリケーションを構築、デプロイ、管理する場合は、 Red Hat® OpenShift® が最適です。 これは、業界有数のエンタープライズ向けコンテナ & Kubernetes アプリケーション・プラットフォームで、複数の柔軟なトポロジーと構成可能なインストールを備えています。これらを組み合わせて、OpenShift の一貫性を保ちながらエッジロケーションごとにカスタム・ソリューションを作成し、環境の自然な拡張として既存のツールとプロセスを利用することができます。
最小のデプロイメント
Red Hat Device Edge はフットプリントが最小限になるよう構築されたモジュール式プラットフォームで、MicroShift (Red Hat OpenShift のエッジ機能から構築された軽量の Kubernetes コンテナ・オーケストレーション・ソリューション) のエンタープライズ対応ディストリビューションを統合しており、Red Hat Enterprise Linux から構築され、エッジ向けに最適化されたオペレーティングシステムと、Red Hat Ansible Automation Platform によるシステム全体の自動化機能を備えています。このプラットフォームだけで、まず Red Hat Enterprise Linux を単独でデプロイしてから MicroShift を用いて Kubernetes オーケストレーションを追加する、Red Hat Ansible で自動化を可能にする、すべてのコンポーネントを同時にデプロイして、リソースに制約のある小型のエッジデバイスに完全に対応できるプラットフォームを実現するなど、ニーズに合った機能を選択できます。
仮想マシンと高性能計算ワークロード
Red Hat OpenStack Services on OpenShift® は分散コンピュートノード機能を備えており、負荷の高い仮想マシンワークロード (ネットワーク機能仮想化 (NFV) など) や高性能計算ワークロードにも対応します。信頼性と拡張性に優れた IaaS (Infrastructure-as-a-Service) であり、この一貫性のある一元管理ソリューションによってコンピュートパワーをデータソースの近くに配置することで、プライベートクラウドやコアデータセンターにエッジコンピューティングの能力がもたらされます。
メッセージングと通信
Red Hat Application Services と開発者用ツールは、エッジ・アーキテクチャをサポートするデータ集約、変換、接続性を備えたスケーラブルで高速な軽量エッジアプリケーションを開発するためのクラウドネイティブ機能を提供します。Red Hat AMQ のメッセージングおよびデータストリーミング機能はエッジコンピューティングのユースケースにおけるさまざまな通信パターンに対応しています。さまざまなクラウドネイティブ・アプリケーション・ランタイム と接続性により、エッジネイティブのデータ転送、データ集約、統合エッジ・アプリケーション・サービスを構築するための強力な基盤が実現します。
管理
Red Hat Enterprise Linux には、Red Hat Insights と Red Hat Satellite のエッジ管理機能が含まれており、コンパクトなエッジ OS イメージを構築し、複数のエッジデバイスにデプロイし、単一の Web ポータルから数千のエッジノードの監視とアップデートを行う管理プラットフォームを提供します。
Red Hat® Advanced Cluster Management for Kubernetes は、アプリケーションをデプロイして複数のクラスタを管理し、複数のクラスタへポリシーを広範囲に適用することで、Red Hat OpenShift の価値を拡大します。Advanced Cluster Management for Kubernetes により、一元化された場所からハイブリッドクラウド上のエッジサイトの管理を単純化して、AI や ML のユースケースなどの要求が厳しいエッジワークロードのニーズに対処できます。
Red Hat® Ansible® Automation Platform は汎用自動化言語をクラウドサービスおよび認定コンテンツと組み合わせ、きわめて効率的で最適化された方法でエッジ・インフラストラクチャ全体を自動化、デプロイ、運用します。
業界を縦断する使用例
複数の業界がエッジコンピューティングを新しいアプリケーション開発アプローチおよびクラウド運用モデルとともに取り入れて、ビジネス上の利益を得ようとしています。
エッジでの通信業務のモダナイズ
5G とエッジコンピューティングという強力な組み合わせを使用する通信プロバイダーは、ユーザーエクスペリエンスを改善し、柔軟性、アジリティ、レジリエンシーを高めたネットワークを通じて帯域幅の消費量が多いアプリケーションをサポートします。無線アクセスネットワーク (RAN) の仮想化により、ソフトウェアベースのネットワーク機能をすばやくスケーリングしてエッジに配置できます。マルチアクセス・エッジコンピューティング (MEC) を使用して、サービスプロバイダーは大規模でレイテンシーに制約があるアプリケーションをエンタープライズの顧客向けに実装できます。
Red Hat テクノロジーを活用
通信業界のお客様は、コンテナ化された機能と仮想化ネットワーク機能 (NFV) を並行して Red Hat OpenShift および Red Hat OpenStack Services on OpenShift または OpenShift Virtualization にデプロイできます。クラウドネイティブ・ワークロードのライフサイクルは Kubernetes Operator を使用して管理され、レガシーのネットワーク・インフラストラクチャと機能は Red Hat Ansible Automation Platform を使用して自動化されます。
製造効率と生産管理の向上
エッジコンピューティングと人工知能 (AI) および機械学習 (ML) の組み合わせを使用して、処理能力をデータの近くに配置することで組立ラインでの潜在的なエラーを事前に発見するというメリットを実現し、製品品質の向上を助け、予防保守によってダウンタイムの可能性を削減します。製造会社はエッジコンピューティングを使用して、製造現場にある IoT 機器を密接に監視および制御して、リアルタイムで対策を講じて重要なインフラストラクチャや作業者の安全性に危険が及ばないようにできます。
Red Hat によるオープンなイノベーション
Red Hat では、オープン・ハイブリッドクラウド・プラットフォームを拡張および補完して、ハイブリッドクラウド環境を管理およびスケーリングする強力なテクノロジー群を提供しています。エッジコンピューティングを行うには、その幅広いユースケースに対応するため、業界全体でのコラボレーションが欠かせません。一社のみでエッジコンピューティング・ソリューションを提供することは不可能です。ですから、ロックインを回避し、相互運用可能なソリューションを識別できるようにしておくことが不可欠です。この面において、オープンソースは大きな意味を持ちます。なぜなら、それらのソリューションが現在だけでなく将来的にも開発やサポートが継続されるかどうかを左右する重要な役割を果たすからです。
Red Hat のエッジコンピューティング・ソリューションの発展過程においては、常にオープンソース・コミュニティが考慮されています。このことはつまり、問題解決を目的としたソフトウェアの開発にあたって、より多くの人々が、オープンかつ透明性に優れたかたちで取り組んでいることを意味します。
しかし、オープンソースであるというだけでイノベーションが保証されるわけではありません。
真のイノベーションは、アイデアの交換や、問題解決へ向けた協力の中から生まれます。これを実現するのがコミュニティ主導のオープンソースであり、ここでお役に立つのが Red Hat Open Innovation Labs です。Open Innovation Labs では、開発者チームが集中的に研修を受け、The Red Hat Way (レッドハットウェイ) でエッジコンピューティング・ソリューションを構築する方法を学びます。
Red Hat 公式ブログ
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