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Linux 

CentOS Linux の提供終了に関してよく受ける質問の 1 つに、「システム管理者としての日常業務にどのような影響がありますか?」というものがあります。

そう聞かれた時はまず、「ほとんど変わりません」と答えます。

この質問で実際に問われているのは、管理者が新しいコマンドや手順を学ぶ必要があるかどうかだと思います。CentOS Linux から Red Hat Enterprise Linux (RHEL) に移行する場合、コマンドの大部分はそのまま使えますし、移行によって得られるツールとサービスは、移行の努力をするだけの価値が十分にあります。

ここでは移行によって変わる点のいくつかについて取り上げ、追加の資料をご紹介します。また、RHEL に移行することで得られる重要なことについても説明します。

サブスクリプション管理

CentOS Linux には、システムを登録するベンダーなどがないので、サブスクリプションの概念がありません。しかし、サーバーでのサブスクリプションの管理は、必ずしも手間や時間がかかる訳ではありません。RHEL のサブスクリプション管理を容易に行う方法のいくつかを紹介します。

Simple Content Access

どのリポジトリがどのシステムにマッピングされているかを管理する「簡単なボタン」があるとしたら、それは Simple Content Access (SCA) です。

Red Hat Subscription Management screenshot

RHEL をご利用になったことがあるお客様は、次のようなステップを含む、以前のプロセスを覚えておられることでしょう。

  • ハードウェアを購入する
  • サブスクリプションを購入する
  • システムを登録する
  • 適切なサブスクリプションをアタッチする
  • 追加のエンタイトルメントまたはアドオンがあればアタッチする
  • 最後に、ソフトウェアをインストールする
  • ワークロードを実行する

SCA ではこれが 2 段階のプロセスに短縮されます。まず SCA を有効にし、それからシステムを登録します。サポートレベルやシステムの目的を設定する必要はありません。これは、次のトピック「アクティベーションキー」の取り扱いも簡単になっていることも意味します。

アクティベーションキー

何十ものシステムに手動でログインし、ユーザー名とパスワードを入力して登録プロセスを行う代わりに、アクティベーションキーを使用するだけで済みます。

New Activation Key screenshot

簡単に説明すれば、キーに名前を付け、サブスクリプションのリストからサブスクリプション名を選択します。 

これらのトピックの詳細については、 Subscription Central の製品ドキュメントをご覧ください。

サポート

CentOS Linux のようなコミュニティ駆動型のディストリビューションと Red Hat Enterprise Linux のもう 1 つの顕著な違いは、サポートケースを作成できるかどうかです。Red Hat には、受賞歴のあるグローバルなサポートチームがあります。電話、E メール、チケットを作成してこのサポートを利用できます。本番環境の停止や開発に関する質問など、課題にはさまざまなサービスレベル契約 (SLA) が適用されます。

システム管理者であったとき、私はよく Stack Exchange やベンダーサポートに頼っていました。Stack Exchange で不正なリクエストや詳細情報の欠落に関するコメントをすべてチェックし終える頃には、Red Hat エンジニアはすでに私へのサポートのため、問題の解決に向けて動き始めていました。 

これが、20 年以上の歴史を持つ Red Hat のサポートチームが Red Hat の提供する最も価値あるリソースの 1 つである理由です。

Red Hat Customer Portal screenshot

Red Hat カスタマーポータルでサポートケースのセクションを見つけるのは極めて簡単です。トップバナーにあります。 

Red Hat Customer Portal support ticket list screenshot

そこからアプリケーションを起動し、新しい課題の作成、既存の課題の追跡、コミュニケーション設定の管理などを行うことができます。

Red Hat Customer Portal support ticket details screenshot

Image Builder によるゴールデンイメージ

日常的な運用の観点から見ると、CentOS Linux と Red Hat Enterprise Linux サーバーを管理する上での実際の違いは、サブスクリプションとリポジトリ管理の部分にあり、それ以外の違いは付加価値のみになります。

新しいシステムのデプロイについて言えば、RHEL サブスクリプションの大きな付加価値の 1 つは、独自のイメージを定義してデプロイできることです。

Image Builder は、ユーザーの定義、システムサービスの設定、ユーザー定義イメージへのパッケージの追加を行うための優れたツールです。これにより、VMware、ベアメタル、エッジ、およびパブリッククラウドまたはプライベートクラウド上に RHEL システムを構築するための強固な基盤が得られます。

デプロイ先がさまざまであるだけでなく、ツールの使用方法もコマンドライン (composer-cli)、RHEL Image Builder サービス (Web コンソールの一部)、ホステッドサービスの 3 通りがあります。利用してみたいという方は、RHEL Image Builder 戦略の開発に関する最近のブログをご覧ください。

最近リリースされた RHEL 9.2 では、ブループリントをインポートし、エクスポートする機能もあります。この機能により、管理者やベンダーがビルドを共有する方法が変わる可能性があります。私たちはこれをとても楽しみにしており、Into the Terminal の最近のエピソードでこのトピックに関するライブ配信を開催しました。

その他のツールとサービス

RHEL サブスクリプションを利用すると、膨大なナレッジベースにアクセスできます。多くの記事が一般公開されており、一般公開されていない記事もカスタマーアカウントでログインすれば読むことができます。

Red Hat Satellite

RHEL を大規模に管理することは、簡単な作業ではありません。すべてのサーバーを明確に定義されたグループに分類するためのツールがあると役立ちます。そのツールが Red Hat Satellite です。Red Hat Satellite は、アップストリーム Foreman プロジェクトなどをベースとしており、システムのライフサイクル管理を支援します。パッチ管理から設定のデプロイまで、このツールは企業全体のシステムを分析し、設定するための一元化されたソースを提供します。

Red Hat Satellite の詳細については、製品ページをご覧ください。

Red Hat Insights

データセンターとパブリッククラウドの間にある一連のシステム全体で潜在的な問題を特定し、RHEL フットプリント全体で修正を自動的にデプロイする方法を提供する分析ツールが必要なら、Red Hat Insights が最適です。 

Red Hat Insights は、リソース使用率 (コスト管理用)、マルウェア検出、CVE の緩和策、およびその他の多くのサービスを確認することで、RHEL インフラストラクチャをプロアクティブに管理できます。 

Red Hat Insights は、フットプリントを監視するメカニズムを提供するだけでなく、優れたレポートや、既存の問題を修正するための Playbook 構築機能も提供します。Red Hat Insights は Red Hat Satellite と接続できるため、エクスペリエンスが向上します。

まとめ

この記事を書き始めたとき、私はもっと多くの注意点や落とし穴があるだろうと思っていました。しかし、正直なところ、考えれば考えるほど、システム間の移行に関する苦労は少ないことがわかってきました。CentOS Linux または類似の RPM ベースのディストリビューションから RHEL に移行する際のすばらしい点は、再トレーニングの必要がほとんどないことです。現在のスキルはすべて引き続き適用できます。パッケージを管理には dnfyum を使用し、サーバーのプロセスには systemd を使用します。また数多くの同じツールとパッケージを引き続き利用できます。


執筆者紹介

Eric "The IT Guy" Hendricks is a Technical Marketing Manager for Red Hat Enterprise Linux, as well as the host of "Red Hat Enterprise Linux Presents," a podcaster, and open source advocate. Hendricks started out in 2007 as a Systems Administrator specializing in Linux before moving into technical marketing.
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