トップ 20 の製薬会社がコンテナによってサービス提供のスピードを 5 倍に向上

製薬業界の上位 20 社にランクインするベーリンガーインゲルハイムは、遠隔医療、電子カルテ (EHR) などの業界の変化に合わせて、新しいデジタルサービスを顧客に提供したいと考えていました。業界の規制に準拠しながら、より迅速で応答性の高い開発をサポートするために、同社はエンタープライズ・コンテナ・プラットフォームの Red Hat OpenShift を導入しました。Red Hat OpenShift と継続的デリバリー (CD) を組み合わせることで、ベーリンガーインゲルハイムは、市場への提供のスピードを 5 倍に向上させ、自動化によってスケーラビリティと管理を強化し、エンタープライズ・オープンソースを成功させたことによって人材獲得を向上させました。

イメージコンテナ


メリット

  • 革新的な医療サービスの提供スピードを 5 倍に向上
  • 規制に準拠した正確なドキュメントの生成を自動化
  • 自動スケーリングによって需要への応答性を向上
  • 人材の獲得と定着率を強化

IT を変革して、業界におけるデジタルヘルスケアへの移行に対応

デジタルヘルスケアへの移行は、製薬業界に新たな課題を生み出しています。これらの変革に対応するために、医療提供者はますますテクノロジーに精通するようになっています。

「遠隔医療、電子カルテ (EHR) などのデジタル・ソリューションを通じて、医師、患者、ペットの飼い主に直接情報を提供することが新たに求められています」と、ベーリンガーインゲルハイムの IT テクノロジー戦略統括責任者兼 CTO である Clemens Utschig-Utschig 氏は語ります。「人々と医療提供者は、単に病気を治療するだけではなく、薬に頼らない健康管理を目指して、より包括的に健康を維持したいと考えています」 

1885 年以来、家族経営で事業を運営するベーリンガーインゲルハイムは、製薬業界の上位 20 社の 1 社です。ヒト用医薬品、動物用医薬品、バイオ医薬品の 3 つの事業分野におけるイノベーションを通じて価値の創造に取り組んでいます。 

ベーリンガーインゲルハイムは、業界におけるデジタルエクスペリエンスへの移行に適応するために、データ、プロセス、ガバナンスの最適化に焦点を当てたテクノロジー戦略を確立し、この新しいビジネスアプローチに適したスキルを持つ製品チームを設置しました。この戦略の一環として、同社はコンテナ技術を使用したデジタルラボの設立を模索していました。

「コンプライアンスを維持しながら、1 日 3、4 回におよぶ頻繁な更新をサポートする必要があります」と Utschig-Utschig 氏は語ります。「製薬会社として、ビジネスと同じ速さで外部データ要求に応答するには、コンピュートリソースとワークロードを数秒で拡張できる必要があります」

Red Hat OpenShift で Kubernetes コンテナを導入する

ベーリンガーインゲルハイムは、エンタープライズ向けのオープンソース・コンテナ・プラットフォームを探し求め、長年のパートナーである Red Hat と連携して Red Hat OpenShift をデプロイすることを決定しました。Red Hat OpenShift は、安定かつ完全に自動化された運用を可能にし、継続的インテグレーションおよびデリバリー (CI/CD) と包括的なセキュリティ機能によって開発者の生産性をサポートします。

「オープンソースによって、数日以内でのバグ修正が可能になり、プロセスを完全に自動化するための多くの拡張機能を構築することができました。しかし、当社の分析では、Kubernetes だけでは必要な統合は実現できないことがわかりました」と Utschig-Utschig 氏は語ります。「Red Hat OpenShift なら、極めて重要な製薬業務に必要な安定性、ライフサイクル管理、ストレージ統合、および認証機能を備えたエンタープライズ Kubernetes フレームワークが得られます」 

ベーリンガーインゲルハイムは、2 カ月未満で最初の Red Hat OpenShift Container Platform クラスタを作成して起動した後、中国、ドイツ、米国のデータセンターに自己ホスト型および自己運用型の 10 個のクラスタをデプロイしており、今後はオーストリアのウィーンでもデプロイする計画です。さらに、Amazon Web Services (AWS) パブリッククラウドで実行され、Red Hat が管理する高可用性環境である Red Hat OpenShift Dedicated も導入しました。

「フルマネージドとセルフマネージドの Red Hat OpenShift を組み合わせることで、アプリケーションを必要な場所に、必要な方法で、迅速にデプロイするための柔軟性と使いやすさが得られたため、当社の開発者は運用タスクではなく、お客様の利益になるイノベーションを生み出すことに時間を費やせます」と Utschig-Utschig 氏は語ります。 

Red Hat OpenShift の導入をサポートするために、ベーリンガーインゲルハイムは OpenDevStack を使用しています。これは、高度に規制された業界における継続的デリバリー (CD) プロセスの迅速な導入をサポートする、標準化されたツールとアプリケーションを提供するオープンソース・プラットフォームです。

同社は現在、プラットフォーム上で 11 のデジタル製品をリリースしており、シチズン・インテグレーションおよびアナリティクスのソリューションから基本的な IT システムに至るまで、150 を超える製品を開発中です。たとえば、ベーリンガーインゲルハイムは、Red Hat OpenShift を使用して PetPro (遠隔医療、ロイヤルティプログラムなどの機能を数十万のペットの飼い主に提供するペットヘルスケアアプリ) を実行しています。

開発効率とコンプライアンスのバランス

市場投入スピードを 5 倍に向上

使いやすいプロビジョニング・アプリケーションによってサポートされる柔軟なセルフサービス・コンテナ・プラットフォームにより、開発者はテストおよびプロダクション用の新しいコンテナ環境を迅速かつ独力で作成し、生産性を向上して市場投入時間を短縮できます。自動化によって、開発者による追加のコーディング作業を必要とせずに、環境が同社の厳格なセキュリティおよびコンプライアンス要件を満たせるように支援します。

「反復プロセスとモジュール式のセルフサービスアプローチにより、当社の開発者はインフラストラクチャに時間を費やすのではなく、より迅速に、よりスマートに作業を行い、お客様のためにより多くのアプリケーションを構築することができます」と Utschig-Utschig 氏は語ります。「Red Hat OpenShift の自動化機能と継続的デリバリーのアプローチにより、機能とアプリケーションの市場投入スピードが 5 倍になりました」

ドキュメンテーションのコンプライアンスの最適化

高度に規制された業界で事業を行う企業にとって、ドキュメンテーションは非常に重要です。以前は、ベーリンガーインゲルハイムの開発チームは手動でドキュメントを発行し、変更を行うごとに更新する必要がありました。現在、同社の開発者は Red Hat OpenShift を使用してコードベースから直接、正確な最新のドキュメントをワンステップで生成できるため、時間を節約し、エラーを減らすことができます。

「当社では、アプリケーションの変更を綿密に記録する必要があります」と Utschig-Utschig 氏は語ります。「今ではドキュメントのセット全体を即座に生成できるようになりました。ソース管理によりコアデータが一元化されるため、開発者は更新すべきバージョンを受け取り、当社はデータ規制へのコンプライアンスを維持できます」

自動スケーリングによる安定性の向上

ベーリンガーインゲルハイムのアプリケーションとサービスの需要は、たとえば、季節ごとのマーケティング・キャンペーンや新しい市場での顧客の追加により、年間を通じて変動します。同社は、Red Hat OpenShift の自動スケーリングおよびロールバック機能を使用して、コンテナおよびその他のアプリケーションリソースの割り当てを動的に調整し、顧客に安定したサービスを大規模に提供します。

「Red Hat OpenShift によって、オンプレミスとクラウドでデジタル製品と先進的なアプリケーションをホストするためのエンタープライズ向けコンテナ環境が得られます。開発者は、変更やリファクタリングを行うことなく、コードとアプリケーションを一貫してデプロイできます」と、ベーリンガーインゲルハイム、クラウドコンピューティングサービスのグローバル統括責任者である Ziad Ataya 氏は語ります。「これにより、モノリシック・アプリケーションからマイクロサービスに簡単に移行でき、ブルーグリーンアプローチを使用してデプロイメントを再考し、ダウンタイムなしでバージョンのロールバックを利用できるようになりました」

組み込みのヘルスチェックは、コンテナ環境のパフォーマンスを監視および調整します。たとえば、コンテナがクラッシュしたりエラーが発生したりした場合、Red Hat OpenShift は自動的に代替を作成するため、外部ユーザー向けのパフォーマンスの一貫性が保たれます。ロールバック機能は、ダウンタイムのリスクを冒すことなく、アプリケーションのモダナイゼーションを試行するのに役立ちます。

「迅速に拡張するだけでなく、使用量が増えた場合は追加のコンテナを割り当て、需要が通常に戻ったら未使用のリソースをリアルタイムで再割り当てすることができます」とベーリンガーインゲルハイムの化学、製造および品質管理 (CMC) エキスパートである Torsten Sokoließ 氏は語ります。この機能は、Red Hat OpenShift を使用して Kubernetes を利用することで得られる主なメリットの 1 つです」

人材獲得および維持を強化

Kubernetes ベースの Red Hat OpenShift や OpenDevStack などのオープンソース・テクノロジーを導入することで、ベーリンガーインゲルハイムは、製薬市場での継続的なリーダーシップをサポートする IT ソリューションの構築を支援する、非常に革新的で熟練したエンジニアリングの人材を獲得し、維持しています。

「先進的なテクノロジーはすべてオープンソースです」と、ベーリンガーインゲルハイムのディスティングイッシュトバックエンドエンジニアである Michael Sauter 氏は語ります。「ほとんどのエンジニアは、オープンソースを読み、理解し、貢献できるため、オープンソースでの作業を好みます。複数の応募者が、当社が Red Hat OpenShift で何を構築しているかを確認するために、当社のオープンソースコードを見てみたと言っていました。彼らは、当社が行っている作業を見られるのは素晴らしいことだと考えていました」

コンテナの成功を新たな機会へと拡大する

Red Hat OpenShift と Kubernetes によって最初に成功を収めた後、ベーリンガーインゲルハイムは、機械学習 (ML)、オペレーターによるデータベースの実行、アプリケーションのステートフルネスの向上など、新しいユースケースをサポートするテクノロジーをすでに展開しています。

「Red Hat OpenShift は、事実上のエンタープライズ・コンテナ・プラットフォームに進化しました」と、ベーリンガーインゲルハイム、エンタープライズコンピューティングサービスのグローバル統括責任者である Juergen Becker 氏は語ります。「これにより、クラウドおよびオンプレミス環境において、デジタル製品と先進的なアプリケーションのデプロイメントの信頼性向上とコンテナ化が可能になるため、世界中の革新的なサービスをサポートできます」

ベーリンガーインゲルハイムについて

1885 年に設立されたベーリンガーインゲルハイムは、ドイツのインゲルハイムに本社を置く、世界トップ 20 の製薬会社です。そのポートフォリオは、呼吸器疾患、代謝、免疫、腫瘍、および中枢神経系の疾患におよびます。メリアルの買収により、世界第 3 位の動物用医薬品会社になりました。