AI と自動化の定義
人工知能 (AI) は、知識を獲得し、情報に基づいた推論を適用して動的な意思決定を行います。一方、自動化は繰り返しの IT タスクやプロセスを実行します。AI と自動化はどちらも手作業の削減につながりますが、本質的に同じものではなく、それぞれ異なる機能を果たします。
AI は知識を獲得し、ほとんどの人間が自力で合理的に処理できる量よりもはるかに多い膨大な量のデータを処理します。AI はそれらのデータから重要なインサイトを抽出し、動的な意思決定を行うことができます。その機能は、基本的なこと、たとえば今後数日間がサーフィンに最適な日かどうかを判断するための天気予報から、複雑なこと、たとえば潜在的なセキュリティ侵害から保護するための多層的な修復プロトコルの作成まで、幅広くカバーできます。
自動化は、手動で設定されたガイドラインに従って、繰り返しの IT タスクやプロセスを実行します。指示された内容を一貫して確実に実行します。自動化は、障害が発生した場合でも人間の介入を必要とせずにそれらのイベントを自律的に処理するようにプログラムできます。自動化により、日々のデータバックアップの実行や、数千台のマシンへの定期的なアップデートの送信、発生した小さな問題への対処などの作業を確実に実行することができます。
エンタープライズ IT において、自動化と AI はそれぞれが異なる重要な役割を担っています。自動化とは、あらかじめ定義されたルールに基づいてタスクを実行する機械のことであり、一方 AI とは、複雑な問題についてルールに基づかない意思決定を行うために学習し、適応する知能のことです。AI と自動化の違いを理解すれば、それぞれから得られるインサイトと計画的なガイドラインを組み合わせることにより、よりスマートな業務運営とより戦略的な成果の達成に向けてビジネスを導くことができます。
AI とは
AI は、知識を獲得してインサイトを適用することで問題を解決できるシステムを指します。人間の知能と同様に、AI は常に環境を解釈し、リアルタイムで意思決定を行い、成果を向上させます。AI はスクリプトに従うのではなく、リアルタイムでスクリプトを作成します。従来の自動化では、反復的なロジックを使用して同じ入力に対して同じ動作を実行します。それに対し、AI は確率推論に基づいて構築されています。入力内容が同一でない場合でも、パターンとコンテキストに基づいて最適な行動を選択します。
AI の主な特徴は以下のとおりです。
AI インフラストラクチャについて
IT 自動化とは
自動化とは、タスクを一貫して繰り返し実行し、エラーのリスクを軽減し、毎回同じ結果を達成できるように設計された、明示的なルールのセットです。IT 運用チームがこれらの事前設定ルールをコード化すると、テクノロジーが人間の介入を必要とせずにジョブの実行やデータベースの更新などの指示を自動的に実行します。そのため、自動化はエンタープライズ IT の円滑な運用の基盤となります。
自動化プラットフォームは、単なるスクリプトのライブラリではありません。システム管理者が playbook を作成する際に使用する一般的なツールです。playbook により、多様な環境にわたって、インフラストラクチャのプロビジョニング、アプリケーションのデプロイ、ポリシーの適用といった複雑なタスクをオーケストレーションできます。自動化は、予期せぬ事態をほとんど、またはまったく起こさずに、毎回同じように業務を遂行する安定したエンジンとなります。
自動化の主な特徴は以下のとおりです。
- 決定論的:入力が同じであれば、ほとんどの場合、出力も同じになります。エラーの余地はほとんどなく、指示は人間が読めるデータ言語の YAML で記述されているため、予測可能です。
- ルールベース:自動化は、与えられた指示のみに従います。予期せぬ問題が発生した場合、それが潜在的な問題として元のワークフローに明示的に組み込まれていない限り、例外的な対応をしたり、そこから学んだり、適応したりすることはできません。
- 一貫性:自動化によって確実に、数千台のサーバー全体で構成を均一化し、スケジュールに従ってパッチ適用を実行し、新しいインフラストラクチャを毎回同様にプロビジョニングできます。
AI と自動化の主な違い
AI と自動化の違いは、ルールに従うのか、それとも学習してルールを提案するのか、という一点に集約されます。
AI は知識を解釈します。その適応性により、データ駆動型の意思決定に基づいてさまざまな結果を生み出します。ML とディープラーニングを活用して最適な解決策や推奨事項を取得できるため、よりプロアクティブなワークフローを作成したり、IT チームが手動で介入する負担を軽減したりできます。明示的に再プログラムしなくても、新たな異常を検知し、新しい予測モデルを作成できます。
AI は以下のような、適応が必要なタスクに優れています。
- 行動の予測
- 異常の検出
- パターンの分類
- 言語の理解
- コンテキストに基づく意思決定
自動化はルールに従います。自動化ツールは、システム管理者やエンジニアが作成した明示的なルールを実行します。事前定義されたワークフローを実行し、一貫した構成を適用し、人為的なばらつきを排除します。自動化は、入力が変わらない限り、同じ結果を出力します。
自動化は以下のような繰り返し作業に優れています。
- プロビジョニング
- 構成
- コンプライアンス
- パッチ管理
- アプリケーションのデプロイ
総じて、AI は企業のデータ、ワークフロー、環境を分析したうえで、変革のための戦略的な提案を行い、意思決定の質を高めます。管理者が見落としがちなインサイトを明らかにし、結果を動的に最適化します。自動化は効率性を高め、人的ミスを削減します。これによって業務が迅速化され、ミスが発生しやすい手作業が排除されます。自動化は、すべてを指示通りに確実に実行します。AI は、次に何をすべきかを決定します。
AI と自動化の両方を活用する
エンタープライズ IT 環境の構築という観点から見ると、最適な形は AI と自動化を組み合わせてインテリジェントな自動化を実現することです。この 2 つを連携させることで、一貫性のある再現可能なプロセスと AI の適応性を結び付けることができます。
AI が決定を実行に移すためには、信頼性の高い自動化エンジンが必要です。たとえば、イベント駆動型自動化について考えてみましょう。一般的に、イベント駆動型自動化とは、IT チームが「この条件の場合はこの動作をする」という一連のガイドラインを用いて、特定のアクションをいつ、どのようにトリガーするかを管理する方法です。あらかじめ設定されたルールに従って自動化を単独で動作させるのではなく、AI を追加することで、リアルタイムのトリガーに対してより迅速に対応することが可能になります。IT 運用に AI を活用 (AIOps) すれば、エンタープライズ全体でより有益な意思決定ができるようになります。たとえば、障害を事前に予測し、問題が手に負えなくなる前に修復ワークフローを開始することができます。
インテリジェントな自動化により、従業員とリソースをより重要なプロジェクトに集中させることが可能になります。これは、チームの開発能力と拡張性の向上にも役立ちます。AI を活用して開発を行うことで、新しい YAML playbook の生成やアプリケーションの構築に必要な時間を短縮できるだけでなく、組織のニーズの変化に応じて迅速に調整することも可能になります。インテリジェントな自動化により、管理が容易になるだけでなく、IT チームは限られたリソースを最大限活用できます。
Red Hat のサポート内容
Red Hat® Ansible® Automation Platform は、エンタープライズ全体で自動化の作成、管理、および拡張を行うための各種ツールで構成されています。そのツールの 1 つである自動化コーディング・アシスタントを使うと、開発者は自然言語によるプロンプトを使用して自動化タスクを生成し、ベストプラクティスに準拠した Ansible Playbook を作成できます。
特に優れている点は、Ansible Automation Platform を Red Hat OpenShift® AI と統合することで、複数のチーム全体に一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できることです。また、オープン・ハイブリッドクラウド上で動作するスケーラブルなプラットフォームとして使用できる Red Hat Enterprise Linux® と組み合わせることも可能です。これにより、ベンダーロックインを回避しながら優れた柔軟性を得ることができます。
Red Hat Ansible Automation Platform による AIOps 自動化
Red Hat® Ansible® Automation Platform は、幅広い IT 運用に AI 機能とツールを提供するエンドツーエンドの自動化ソリューションです。