概要
組織に最適な自動化ソリューションを選択するのは簡単なことではありません。1 つの「正しい」アプローチがあるわけではなく、組織を自動化する方法はさまざまです。実際に、現在、多くの IT 部門で複数の自動化ツールが使用されており、ビジネス目標を達成するためにそれらをどのようにうまく連携させるかが主な考慮事項になっています。
自動化ツールの評価において留意すべきその他の要因には、アーキテクチャ (エージェントベースかエージェントレスか)、プログラミング (宣言型か手続き型か)、言語 (データシリアル化かドメイン固有か) などがあります。そしてもちろん、オペレーティングシステムも含まれます。また、各製品に対するコミュニティサポートのレベルと、プロビジョニング、構成管理、コンプライアンスなど、それぞれが何に主眼を置いて設計されているのかを理解することも重要です。
ビジネス用の自動化ソフトウェアを選択する際に、多くの考慮事項があることは明らかです。この記事では、Red Hat® Ansible® Automation Platform と他の一般的なオープンソース自動化ツールとの違いについて説明します。
一般的なオープンソース自動化ツール
オープンソースを中核とする Red Hat Ansible Automation Platform は、組織にライフサイクル全体のサポートを提供する、強化されたテスト済みのサブスクリプション製品です。アップストリーム・プロジェクトである Ansible を基盤としており、世界中の何千人ものコントリビューターの経験と知識が活用されています。
では、Ansible は、Terraform、Puppet、Chef、Salt などの自動化ツールの中でどのような位置づけにあるでしょうか。これらの製品はそれぞれサポート付きで、自動化に対して異なるアプローチを採用しており、いずれもエンタープライズ向けソリューションとして別々のソフトウェア会社から販売されています。
- Terraform は 2014 年に HashiCorp によって作成されました。
- Puppet は Perforce でサポートされており、Puppet Enterprise や Puppet Bolt などとともに商用製品として提供されています。
- Chef は 2020 年に Progress に買収され、Chef Enterprise Automation Stack などとともに商用製品として提供されています。
- Salt (商用名 SaltStack) は、2020 年に VMWare に買収され、最近 VMware Aria Automation にブランド変更された vRealize Automation ポートフォリオに含まれています。VMware は 2022 年に Broadcom に買収されました。
ツールによって異なる IT 自動化へのアプローチ
Ansible
シンプルさと使いやすさで知られる Ansible Automation Platform は、オープンソースのコマンドライン型 IT 自動化ソフトウェア・アプリケーションです。YAML ベースの「Playbook」を使用してシステムの構成、ソフトウェアのデプロイ、高度なワークフローのオーケストレーションを行うことで、アプリケーションのデプロイ、システム更新、ネットワークの構成と運用などをサポートします。マネージドノードにエージェントをインストールする必要がないため、デプロイメントプロセスが単純化されます。また、クラウドベースのインフラストラクチャを強力にサポートします。
Ansible と Red Hat Ansible Automation Platform の違いについて、詳細をご覧ください。
Terraform
Terraform は、IaC (Infrastructure-as-Code) アプローチによるクラウド・インフラストラクチャのプロビジョニングおよびプロビジョニング解除ツールです。このツールは、プロビジョニングという特定の目的に特化しています。Ansible と同様、活発なオープンソース・コミュニティがあり、十分にサポートされたダウンストリームの商用製品があります。また、Ansible Automation Platform と組み合わせると、多くのビジネスの効率化に役立つという強みがあります。
Puppet
Puppet は、大規模で複雑なインフラストラクチャの管理用に設計された自動化アプリケーションです。命令型タスク実行と宣言型言語によるモデル駆動型アプローチを使用して構成を定義することにより、多数のシステム間での一貫性を確保します。また、強力なレポート機能と監視機能を備えており、IT チームによる問題の迅速な特定と診断に役立ちます。
Chef
Chef は Ruby DSL で記述された IT 自動化プラットフォームで、インフラストラクチャをコードに変換します。Ansible Playbook と同様、Chef はクックブックおよびレシピ (製品名が Chef となった理由) と呼ばれる再利用可能な定義を使用して、オンプレミス、クラウド、またはハイブリッド環境のいずれにおいても、ネットワーク全体でインフラストラクチャの構成、デプロイ、管理を自動化します。構成のテストと検証を強力にサポートしており、プロダクションシステムに影響が及ぶ前に問題を検出できます。
Salt
Salt は、Python で記述されるモジュール式の自動化アプリケーションです。高速なデータ収集と実行用に設計され、軽量の ZeroMQ メッセージングライブラリと同時実行フレームワークを備えた構成管理ツールであり、サーバーとエージェント間の永続的な伝送制御プロトコル (TCP) 接続を確立します。
Red Hat の強み
Ansible Automation Platform は、組織による自動化ワークロードの作成、管理、スケーリングを支援するように設計されています。ハイブリッドクラウド、エッジロケーション、ネットワーク、セキュリティ、インフラストラクチャ、およびその他の多くの ユースケースの自動化を含む、エンドツーエンドの自動化ソリューションをデプロイするための、柔軟で安定したセキュリティ重視の基盤を提供します。
また、Ansible Automation Platform は、60 を超えるパートナーによる 140 以上の Red Hat Ansible Certified Content Collections と、Red Hat Insights や自動化分析などの機能を備えており、組織で自動化をインストール、設定、サポートする際に試行錯誤する必要がなくなります。