エンタープライズ・モバイル・アプリケーション開発とは
常時接続されているモバイルの世界では、スマートフォンを持った現場のスタッフは、オフィス内の同僚と同じように接続できることが期待されています。エンタープライズ・モバイル・アプリ開発では、このような接続性を実現しながら、大規模組織のセキュリティと信頼性の要件を満たすことが重要になります。
企業は、途方もない開発時間をかけずにモバイルデバイス上でアプリケーションを提供する方法を模索しています。モバイルアプリを構築する開発戦略には、事前パッケージ、ノーコード・モバイル・ソリューション、完全なカスタムソリューション、モバイル統合開発プラットフォームまで、さまざまな種類があります。
多くの企業にとって、統合モバイル機能を備えたサービスベースの開発戦略が標準的な手法になってきています。モバイルアプリ開発を、クラウドネイティブ・マイクロサービスを中心に構築されたより広範な戦略に統合すると、生産性の向上、コストの削減、セキュリティの向上、可視性と制御の強化といった、多数のメリットが生まれます。
モバイルアプリ開発のアプローチ
パッケージ化モバイルアプリ
短期的な解決策として、パッケージ化したアプリによってモバイルアプリプロジェクトを軌道に乗せることができます。しかし、このようなアプリは機能面で限定されており、複雑なプロプライエタリーのエンタープライズシステムに接続するには力不足の場合があります。そのため、必要なモバイル機能と統合機能を追加するためにカスタムコードを開発しなければなりません。
統合モバイル開発者サービス
モバイル開発者サービスアプローチでは、モバイルを統合された クラウドネイティブ・アプリケーション開発インフラストラクチャの一部であると考えます。このアプローチにより、開発者は多数のアプリとプラットフォーム上で再利用可能なモバイルサービスのセットを使用できます。別の開発プラットフォームを新たに追加することなく、すでにあるプラットフォームをモバイル向けユースケースに拡張することができるのです。
モバイル開発者サービスを使用する理由
エンタープライズレベルのセキュリティ
アプリがサービスレベルでセキュリティ保護されるので、高度なセキュリティ基準を維持しながらエンタープライズアプリをモバイルデバイスに拡張できます。プラットフォームからデバイスまで、デバイスが紛失した場合であっても、データはあらゆるレベルで保護されます。
市場投入までの期間を短縮
開発者は自分が選んだ環境、プラットフォーム、フレームワークで作業できるので、生産性が向上します。また、リソースをオンデマンドでプロビジョニングし、モバイルアプリを独立して作成、テスト、デプロイできます。
運用コストを削減
クラウドネイティブ・プラットフォームでは、組織はオンプレミス、プライベートクラウド、またはパブリッククラウド・インフラストラクチャ上でアプリをデプロイできます。インストール、アップグレード、ライフサイクル管理は、どのインフラストラクチャでも一貫性をもって処理できます。この柔軟性から、コスト削減を実現できます。
モバイルを統合サービスとして開発する理由
事前パッケージされたモバイルアプリは、基本的な個人ユーザーの使用や、データのセキュリティとスケーラビリティが最重要ではない状況では有効な選択肢です。しかしエンタープライズ・モバイル・ソリューションを提供するには、柔軟性、一貫性、セキュリティを重視する開発プラットフォームが必要になります。
先進的な開発者は、マイクロサービスを使用してアプリを小さなコンポーネントの分割することがよくあります。マイクロサービスによって、同じ作業を何度も繰り返す必要がなくなり、モバイルアプリへの機能の拡張がシンプルになります。マイクロサービスをコンテナと組み合わせると、クラウドネイティブ開発の基盤ができあがります。この基盤はモバイルアプリの信頼性、セキュリティ、アジリティ、応答性を確保するための、先進的なデジタル要件をサポートします。
統合モバイルサービスを備えたクラウドネイティブ開発プラットフォームでは、次のことを実現できます。
- モバイル、Web、クラウドネイティブアプリ開発に対する統一アプローチを提供する
- 先進的なクライアントサイドおよびサーバーサイド・アプリケーション・フレームワークをサポートする
- リソースを効率的に使用する
- 一貫したユーザーエクスペリエンスを提供する
- インストール、アップグレード、ライフサイクル管理など、運用業務を自動化する
- ワークロードの可搬性を実現し、クラウドの境界を越えてアプリを一貫して機能させる
- 水平方向のスケーラビリティを促進し、組織が要求に応じて変化に対応できるようにする
モバイルアプリのセキュリティを維持する方法
データがセキュリティ保護され、機密データが流出せず、アクセスするデバイスが何であってもアプリケーション間でガバナンスが維持されることを、企業は保証しなければなりません。
クラウドネイティブ開発ではこのようなセキュリティのニーズをサポートし、その手始めが一元化された制御と一貫性です。ハイブリッドクラウド・セキュリティ戦略の一貫として確立された自動化により、すべてのシステムにパッチをタイムリーかつ確実に適用してセキュリティを強化できます。適切な API セキュリティにより、不正アクセスを防止し、API を利用するすべてのアプリケーションを保護できます。認証は、さまざまなアプリケーションに対してカスタマイズされたサービスではなく、一元化されたサービスで処理されます。
さらに、統合モバイル開発プラットフォームは、デバイスレベルでセキュリティを提供できます。デバイスが紛失または盗難にあった場合、一元管理ツールからそのデバイスをロックし、機密データにアクセスされないようにします。
先進的エンタープライズ・モバイル・アプリにより、ユーザーは機密データへのアクセス、トランザクションの完了、サービスおよび製品の購入、ビジネスプロセスへの貢献、およびその他多数のアクティビティを実行できます。それと同時に、最新の開発手法により、セキュリティ違反、データ漏洩、その他の重大なセキュリティ侵害の可能性を低減します。
エンタープライズ・モバイル・アプリを従業員と顧客のために活用する方法
現場の作業員がタブレットを使って問題を解決したり、ユーザーがスマートフォンで料金を決済したりできるのは、企業がデジタル統合とアプリ開発に投資してきた結果です。デジタル・トランスフォーメーションの一貫として、多数の企業がミドルウェアテクノロジーを採用してアプリケーション開発プロセスを標準化してきました。
公益事業、通信、石油・ガス、製造などの業界では、モバイルプラットフォームを使用して、現場の作業員がインフラの保守とアップグレードを実施できるようにしています。バックエンドシステムと強固に統合されたモバイル人材管理アプリは、作業員が意思決定を下し、連絡を取り合い、業務を記録し、作業をより効率的に実施できるようサポートします。同様に、企業は顧客向けアプリを使用して顧客サービスを向上させています。
作業員
現場作業がある企業では、モバイルアプリケーションは必要不可欠のツールになっています。場所を問わず従業員にリアルタイムで情報を提供することで、生産性、安全性、リソース管理、意思決定を向上できます。
顧客
エンタープライズ・モバイル・サービスの向上は、顧客にとってもメリットになります。顧客はモバイルデバイスを使用して、アカウントの管理、請求額の支払い、停止状態の確認などを行います。
Red Hat のエンタープライズモバイル開発を選ぶ理由
エンタープライズアプリ開発への統一アプローチをサポートするツールにより、Red Hat はモバイルエクスペリエンスの基盤を築き、セキュリティ、速度、柔軟性を向上させています。Red Hat では、モバイルアプリ開発と統合を迅速化するためのコンサルティングサービスも提供しています。
Red Hat のエンジニアはモバイル・オープンソース・コミュニティに参加して、モバイルソリューションの機能、信頼性、セキュリティの向上に努めています。
あらゆるオープンソース・プロジェクトと同様に、Red Hat はアップストリーム・コードベースにコード提供や機能改良の点で貢献し、技術の進歩に寄与してきました。コミュニティとのコラボレーションは、ただのコード開発にとどまりません。コラボレーションとは、自由に質問したり機能改良を提供したりできるということです。これこそが、The Open Source Way (オープンソースウェイ) であり、オープンな組織の強みです。Red Hat が 20 年以上にわたって信頼されるエンタープライズ・インフラストラクチャ・プロバイダーであり続けている理由が、ここにあります。
コラボレーションとは、自由に質問したり機能改良を提供したりできるということです。これこそが、The Open Source Way (オープンソースウェイ) であり、オープンな組織の強みです。